- たかだ ちゅうがっこう・こうとうがっこう
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高田中学校・高等学校
- Takada Junior & Senior High School
- 種別中等教育学校または中高一貫校等 地区近畿地区
- 主な活動分野生物多様性, 気候変動, エネルギー, 環境, 世界遺産・無形文化遺産・地域の文化財等, 国際理解, 平和, 人権, ジェンダー平等, エコパーク
所在地 | 〒514-0114 三重県津市一身田町2843 |
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電話番号 | 059-232-2004 |
ホームページ | https://www.mie-takada-hj.ed.jp/hj4/ |
加盟年 | 2022 |
2023年度活動報告
生物多様性, 気候変動, エネルギー, 環境, 世界遺産・無形文化遺産・地域の文化財等, 国際理解, エコパーク
本校は真宗高田派の宗門立の学校で、仏教精神を基として宗教的情操を培い、人間性豊かな社会人を育成することを建学の精神とし、「知を育む・知を伸ばす・知を進化させる」を教育目標に掲げ、これまで行ってきた環境教育・国際理解の活動は継続し、今年度からは文化財保護とサステナブルツーリズムを新たなテーマに加え、ESDの実践に取り組み、持続可能な社会の担い手の育成に努めています。
【環境教育の分野】
2016年11月パリ協定発効、2020年10月政府による2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル宣言」を背景に、本校では、名古屋産業大学・地元企業の(株)赤塚植物園と協力し温室効果ガスの一つである二酸化炭素の濃度に注目した地球温暖化防止をテーマとする産学連携の環境教育を行っています。
《具体的な取り組み内容》
①温室効果ガスの現状を伝える
本校屋上に二酸化炭素濃度測定器を設置し、24時間体制で学校周辺の二酸化炭素濃度を測定し、生徒たちは、データの収集・分析を行い、自治体主催の環境フェア等での発表を目標に活動しています。
②地球温暖化防止の啓発
観測データは常時ホームページや校内のモニターで表示し、全校生徒・職員の目に触れるようにし、日常の学校生活の中で地球温暖化の原因である二酸化炭素濃度値を見える化することで、地球温暖化防止を常に意識できる環境づくりに努めています。
③課題解決(カーボンニュートラル実現に向けて)
カーボンニュートラルを実現するには、二酸化炭素の排出量と吸収量を釣り合わせなければいけません。そのためには、二酸化炭素の排出量を減らすための啓発活動や吸収量を増やすための植樹活動を行うことなどが一般的な取り組みだと思われます。そのような中、持続可能な社会を構築するため、これからの時代を担う若い世代に二酸化炭素の吸収源である樹木・森林がもつ二酸化炭素貯蔵能力について、より一層理解を深めてもらい、我々が取り組んでいる地球温暖化防止のための環境学習活動の裾野を広げ、受け継いでもらうことが重要と考えました。本校の活動として具体的には、二酸化炭素濃度測定器を用いて樹木・森林が光合成によってどれほどの二酸化炭素貯蔵能力を持っているのかを示す実験をビデオにまとめ、二酸化炭素貯蔵能力を見える化し、分かりやすくした小・中学生向けのビデオ教材を作成し、それをyou tube配信したり、地元の小・中学生との学習交流会を行うことで活動の輪を広げています。
また、今年度から新たに始めた活動としては、環境省が「30 by 30」[2030年までに生物多様性の損失を食い止め、 回復させる(ネイチャーポジティブ)というゴールに向け、 2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする目標]の達成を目指すため国立公園等の拡充のみならず、 里地里山や企業林及び、社寺林等のように 地域、企業、団体によって生物多様性の保全が図られている土地を OECM(Other Effective area-based Conservation Measures)として 国際データベースに登録し、その保全を促進していく方針であることを知り、本校の母体である真宗高田派の本山(国宝専修寺)の寺院林について生徒たちが生態調査を行い、彼らの活動によってOECMに認定されるよう現在取り組んでいます。
【国際理解の分野】
本校の環境教育は、名古屋産業大学との高大連携の一環として行っています。名古屋産業大学は、これまで、この環境教育を日本国内のみならず、台湾・ベトナム・インドネシアの国々の学校と展開してきましたが、今年度新たにネパールの学校との交流が加わり、インドネシア、ベトナムが4校、台湾が6校、ネパールが14校、そして日本が4校の計32校で環境学習ネットワークを構築しています。本校を含めた加盟校間では学術交流提携を結び、測定データの共有は勿論のこと、定期的にオンライン学習成果発表会を開催し、意見交換を行なっています。また、本校が作成した植物の二酸化炭素貯蔵能力を測る光合成実験ビデオに英語、中国語、ベトナム語の多言語翻訳を本校の生徒が名古屋産業大学の留学生の協力を得て行ないYou Tubeで全世界に配信し、ビデオ教材として、「地球温暖化防止:カーボンニュートラル実現を共に」をスローガンに啓発しています。このビデオ配信は、文部科学省のEDU-Portニッポンの「日本の教育を海外に紹介する取り組みが、相手国、日本双方の持続可能な開発目標(SDGs)達成に貢献する可能性」でも取り上げていただき、我々の活動の励みにもなりました。このように世界は、相互に繋がっており、地球温暖化は地域や国内の取り組みだけで完結するものではなく、国境を越えて広がっていることを実感し、地域に根ざしながらも地球視野をもってESDを推進して行くことの意義を感じています。
【文化財保護活動とサステナブルツーリズムの分野】
今年度から環境学習活動に加え、日本政府観光局(JNTO)が示す
・地域の「環境」を守る・育む
・地域の「文化」を守る・育む
・地域の「経済」を守る・育む
を軸に地元三重県の観光資源に注目し、地域の自然環境や文化、伝統などを守りながら、地域資源を持続的に保つことができる観光スタイルを国内外に発信し、地域の活性化に貢献する目的でサステナブルツーリズムに関する活動を開始しました。
【この教育を通じて】
この環境学習を通じ、生徒は、地球温暖化を身近に感じるようになり、現実社会に対し批判的思考力をもち、カーボンニュートラル実現に向けて動き始めています。具体的には、校内の委員会活動として全校に節電やリサイクル運動を啓発する動きが活発になったことが挙げられると思います。また、同世代の海外の生徒と同じ問題に対して協働して取り組むことで、「多面的・総合的に考える力」や「 コミュニケーション能力」は言うまでもなく、「 他者と協同する力」「 つながりを尊重する態度」を伸ばすことができたと感じています。また、大学・企業とのパートナーシップにより専門的知識を身につけ、体験活動等を通して体感的・実感的なESDの学習の場が提供され、生徒の学習意欲もより一層高まっていると感じています。
来年度の活動計画
【次年度活動計画】
現在、名古屋産業大学との連携の中で、地元自治体に対して「気候変動対策アクションプラン」として、学校単位でカーボンニュートラルを目指す「ゼロカーボンスクール」の実現に向けた取り組みに挑戦したいと考えています。