2018年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

環境, 減災・防災, エコパーク, その他の関連分野

本校は、「地域とともに創る学校」を学校理念として、ESDを「持続可能な地域社会の担い手を育成する教育」と限定的にとらえ、町内の各小学校や高等学校、関係機関等との連携のもとで教育活動を推進している。
只見町は少子高齢化による集落機能の低下、若者を中心とした人口流出などが続き、将来的には自治体の存続自体も危ぶまれる状況にある。そのような中で、ふるさとを愛し、様々な形で地域に貢献できる人材を育成することは、町や町民全体の切実な願いであり、学校に課せられた重大な使命である。
そのような視点から、只見町では、小学校3校でそれぞれに「只見愛」をはぐくむ教育に取り組んでいる。本校ではその成果をさらに発展させ、生徒一人一人の地域を愛する心情を高め、地域に貢献できる力を育成したいと考えた。
今年度も学校全体で様々な取り組みを行ってきたが、ここでは ①エコパークを活用した自然体験活動、②地域を巻き込んだ合同防災訓練 の2つに絞ってその概要を報告する。
① エコパークを活用した自然体験活動
 只見町は、全国有数のブナの原生林など、手つかずの自然が多く残っており、「ユネスコエコパーク」に登録されている。しかし、その自然のすばらしさを実感している生徒は少ない。
そこで、第1学年では、広大なブナ林「恵みの森」での自然体験活動を行い、様々な動植物など、豊かな自然環境を体感することにより地域のよさに気づけるようにした。また、事前に「只見学ガイドブック」を利用して調べ学習を行うとともに、体験を通して気づいたことを壁新聞等で発表した。
さらに第2学年では、南会津郡内にある「尾瀬」での自然体験活動を行い、前年度の体験と比較することにより只見の自然についての理解を深めた。
② 地域を巻き込んだ合同防災訓練
東日本大震災と同年の2011年7月、新潟・福島豪雨災害で只見町も甚大な被害を受け、その痕跡は今も町内の各所に残っている。この教訓を生かし、本校では3年前から、隣接する小学校と連携し、町当局や警察・消防・町内の各団体等の協力を得て「地域合同防災訓練」を行っている。これは、集中豪雨による川の増水という想定で、防災無線で近隣の地域住民に避難を呼びかけ、中学生が避難者の誘導と避難所への受け入れを行うものである。
今年度は、過去2年間の反省を踏まえ、無線の指示を受けてから生徒自身の手で避難所を設置するとともに、避難訓練終了後の体験活動では、町の防災担当者を講師に避難所運営の机上訓練を行った。また、南会津建設事務所と連携し、水災害・土砂災害を想定した防災教育出前講座も同日に実施した。

来年度の活動計画

平成31年度はこれまでの取り組みをさらに充実・発展させるために、大幅な計画の見直しを行う予定である。
1 ESD教育のねらい      
只見をよく知り、只見に誇りと愛着を持ち、只見に貢献できる人材を育成する。
2 取り組みの概要
 上記のねらいを達成するために、只見町についての学年別の大テーマを設定し、さらに生徒個々の興味・関心に応じて小グループを編成し、グループ別に小テーマを設定させ、年間を通して追究させる。
学年別の大テーマは次の通りとする。
〇1学年 只見の自然
〇2学年 只見の歴史
〇3学年 只見の現状と将来
町内の各小学校で「只見学」を学んできた生徒が、1年で「自然」、2年で「歴史」を深く学び、現在の只見町の「強さ」と「弱さ」を客観的に把握し、最終的には3年で、「持続可能な只見町」をつくっていくための具体策を立案し、広く町民に発信できるようにしていく。
学年ごとの学習の成果は、秋の紅葉祭(校内文化祭)で保護者、地域住民に発表するとともに、研究論文の形で記録に残す。さらに、校内での研究発表会を行い、生徒間で成果を共有する。次年度はその成果を踏まえて、さらに内容を深めていく。このようにして、年々研究が深まっていくようにしたい。
平成31年度はそのスタートとなる1年である。試行錯誤の1年となることも予想されるが、全職員で知恵を出し合い、ねらいにせまる取り組みができるようにしたい。