2020年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

気候変動, 環境, 文化多様性, 国際理解, 持続可能な生産と消費, 健康, 食育, 貧困, グローバル・シチズンシップ教育(GCED), その他の関連分野

本校では国際協力プロジェクトという授業を高校2年総合的な学習の時間にて実施している。本授業ではそれぞれのクラスが割り当てられた開発途上国を担当し、その国の問題を発見、解決のための行動を起こす。その過程の中で生徒たちはSDGsの概念について触れ、それら問題に対する様々なアプローチ方法を体験的に学んでいく。本プロジェクトはJICAを始めとした外部団体、本校OB/OG、東京ニュービジネス協会等の協力得て活動を展開している。

まず、生徒たちは学期当初に自身らが担当する開発途上国の現状について調べ、活動経験のあるJICA青年海外協力隊隊員(以下JOCV)の話を聞いて見聞を深める。例年は各クラス異なる開発途上国をこちらで割り当て担当することになるのだが、コロナ禍の今年はオンラインでの授業展開が主となり、授業時間も限られたことからルワンダ、スーダン、モザンビークから生徒自身で担当したい国を選ぶという形をとった。JOCVから寄せられた3カ国それぞれの国の様子について理解を深める動画を視聴し、また自身らでもその国の事情についてリサーチした後、担当する国の問題を見つけ、その問題を解決するための方策を企画書という形で提案した。提案される企画は「今の自分たちにできる」ということが大前提である。そのアイデアの表出に関しては開発コンサルタントにお願いし、プロブレムツリーという考え方を具現化する方法について特別授業を実施した。それにより、自身らでも気づかなかったアイデアに気づかせるという狙いである。企画書に関しても「社会でも通用する企画書の書き方」というテーマを設定。(株)メインに依頼し、本校独自にビデオ教材を作成してもらった。企画はクラス内でデーター共有し、企画書を見て自分が参加したいと思うプロジェクトについてアンケート調査を実施した。アンケートでは自分のプロジェクトへ応募しても良いし、他の人間が提案したものに投票しても構わない。プロジェクトはアンケートの結果5名以上の応募者があったものを採用としたが、1名の生徒は採用されなかったが自分自身の企画を遂行したいという強い思いがあったので、1人での企画遂行を容認した。ここまでが1学期の授業内容である。

2学期からはグループ活動が主となる。プロジェクトメンバーで集まり、自身らのプロジェクトの内容と期待される効果について10月に行われる外部有識者を招いた中間報告会に向けたプレゼンテーション制作を行った。プレゼンテーションの作成作業に入る前に、グループ内で企画を熟考する機会を設けた。ここではスタートアップ企業が研修会等でビジネス企画をまとめる「リーンキャンバス」というものを本授業に即した形に修正し活用した。こうして完成したプレゼンテーションスライドは中間報告会の際に、外部有識者の前でプレゼンテーションを行い、アドバイスをもらう。今年は外部有識者を校内に招くことが困難であったため、生徒の発表をオンラインで配信する形をとった。有識者には大学教授やJOCV、そしてソーシャルビジネスに精通している起業家を招いている。

中間報告会後はいよいよ自分たちの計画の実践である。仲間と協働しながら、プロジェクトを進めていくのだが、その過程において様々な困難に直面する。例えば、物資を送ることを計画していたが送る先が見つからない。企業と共同しようと計画していたが、その企業からの協力が得られなかった等。その都度、自身らの計画を修正し完遂へと進んでいく。その過程において生徒たちは仲間と協力することの大切さや課題を克服する柔軟性を身につけることを狙った。

3学期に入ると緊急事態宣言の影響により学校の授業がオンラインに切り替わった。このような厳しい環境の中、生徒たちにはプロジェクトを形や手法を変えて続行するか、それとも終了するかという選択肢を与えることにした。2月からは次年度担当する現高校1年生に対するプレゼンテーションの作成に入る。プレゼンテーションでは情報の時間と共同し、技術指導を担当してもらう。現在の様子から鑑みるに集会を開いて発表することが困難であると予想される。そのため、オンライン配信の方向で現在準備を進めている。

来年度の活動計画

コロナ禍の影響を受けた今年度であったが発見もあった。例えば、担当国は生徒たち自身で選んだ方が授業への取り組みが良くなるということである。このような気づきを授業に落とし込み、来年度はオンライン、オフラインどちらへも対応できるプログラムへと進化させたい。また、本格的に国際協力に対して意識が高まった生徒たちのために、自身らでさらに先の学びへとつなげられるような独自のwebサイトも用意したいと考えている。

(1年間の流れ(概要))

4月〜5月 担当開発途上国調べ学習

6月〜7月  課題発見、解決の提案・プロジェクト実行アンケート調査

8月〜10月 中間報告会準備

11月〜1月 プロジェクトの実行

2月 活動報告準備