2018年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

環境, 国際理解, 福祉, 健康, 食育, 貧困

本校では国際協力プロジェクトという授業を高校2年生総合的な学習の時間にて実施している。本授業ではそれぞれのクラスが割り当てられた開発途上国を担当し、その国の問題を発見、解決のための行動を起こす。その過程の中で生徒たちはSDGsの概念について触れ、それら問題に対する様々なアプローチ方法を体験的に学んでいく。本プロジェクトはJICAを始めとした外部団体、近隣大学生、そして本年度からは東京ニュービジネス協会の協力も得て活動を展開した。

まず、学期当初に自身らが担当する開発途上国の現状について調べ、活動経験のあるJOCVの話を聞いて見聞を深める。本年度高校2年生は6クラス編成であった。それぞれの担当国は1組ルワンダ、2組ミクロネシア、3組スーダン、4組インドネシア、5組タイ、6組モザンビーク。その国の事情について理解を深めた後、生徒たちは各自で担当する国の問題を発見、その問題を解決するための方策を企画書という形で提案する。提案される企画は「今の自分たちにできる」という枕詞が置かれる。つまり、現地に行けず、さらに金銭的な支援も無い中(厳密には1プロジェクトに3000円の補助は割り当てている)でのプロジェクトの実行が求められるのである。自身の考えた方策はクラス内で発表。その後、自身が参加したいと思ったプロジェクトへのアンケート調査を実施する。アンケートでは自分のプロジェクトへ応募しても良いし、他の人間が提案したものに投票しても構わない。プロジェクトはアンケートの結果5名以上の応募者があったものを採用としているので、各クラス約6プロジェクト程度が最終的に実施となる。ここまでが1学期の授業内容である。

2学期からはグループ活動が主となる。プロジェクトメンバーで集まり、自身らのプロジェクトの内容と期待される効果について10月に行われる外部有識者を招いた中間報告会に向けたプレゼンテーション制作を行う。2学期からは情報授業とも共同するので、プレゼンテーションスライド作成に関する技術指導はそちらの時間が担当することとなる。近隣大学生も要所毎に支援に入り、プレゼンテーションに落とし込む過程において、自身らのプロジェクトの課題点等について指摘を受けながら修正する作業も実施する。こうして完成したプレゼンテーションスライドは中間報告会の際に、日本私学研究所山崎吉朗先生、亜細亜大学新井敬夫教授、JICA職員、JOCV等の外部有識者の前でプレゼンテーションを行い、アドバイスをもらう。本プロジェクトは世界課題を解決することを最終目標としているため、ソーシャルビジネス的な要素を含む。そのため、東京ニュービジネス協会の協力を仰ぎ、起業家を中間報告会に招き、生徒たちが立てた計画と実社会のニーズという観点という従来とは異なる視点でのコメントを頂いた。

中間報告会後はいよいよ自分たちの計画の実践である。仲間と協働しながら、プロジェクトを進めていくのだが、その過程において様々な困難に遭遇する。例えば、物資を送ることを計画していたが送る先が練られていない。企業と共同しようと計画していたが、その企業からの協力が得られなかった等。その都度、自身らの計画を修正し完遂へと進んでいく。その過程において生徒たちは仲間と協力することの大切さ、プロジェクトが行き詰まった時にも元のアイデアを大切にしつつ異なる方法を目指す柔軟性を身につけることができるのである。

プロジェクトは1月一杯で終了し、2月からは次年度担当する現高校1年生に対するポスタープレゼンテーションと報告書の作成に入る。ポスタープレゼンテーションでは再び情報の時間と共同し、技術指導を担当してもらう。2019年3月に予定されている成果報告会では高校1年生全生徒に加え、中間報告会にお越し頂いた外部有識者や教育関係者を招き、各クラスの取り組みについて発表する予定である。

来年度の活動計画

プロジェクトの実行段階に入ると生徒たちは自身らの力で企画の完遂に向け始動する。要所で大学生のサポートや教員の指導が入るが、それでも10月からプロジェクトが始動し、1月までの間に自身らの力で物事を進めることは困難がある。次年度は実行段階途中で中間報告会を設け、自身らの活動の進捗状況と課題について検討する機会を設けたいと考える。また、中学3年では地元への貢献をテーマに授業を展開している。この二つの学年が混じり合えば、相互に刺激し合い、より良いプロジェクトが実行されていくのではないかと感じる。これらの要素を取り入れつつ今年度のカリキュラムをベースに進めていきたい。

4月~5月担当開発途上国調べ学習

6月~7月 課題発見、解決の提案・プロジェクト実行アンケート調査

8月~10月 中間報告会準備

11月~1月 プロジェクトの実行

2月活動報告準備

3月成果報告会