2019年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, 環境, 文化多様性, 世界遺産・地域の文化財等, 国際理解, 福祉, その他の関連分野

由比地区では、こども園・小学校・中学校を通じ15年で子どもを育てるという共通の思いをもち、子ども同士のかかわりを自然な形で設けたり、教職員の連携を取ったりしている。また、地域が「由比の子は由比で育てる」という高い意識をもっており、子どもたちを由比の宝として大切にしようとかかわってくれる。
そのため園では、持続的に地域の人材や文化を取り入れ、ESDの実践を通して地域を愛し、大切にする力の育成を目標として活動してきた。
具体的には、「地域との連携」を柱に、①文化継承に係わる活動、②自然に係わる活動を行った。
①文化継承に係わる活動
由比には駿河人形の人形師である望月氏が園の近くに店を構えている。年長になると子どもたちは年に5回ほど訪問し、望月氏から五月人形や雛人形等伝統文化についての話をうかがう。はじめのうちは話の内容が難しく、集中力ももたないのだが、回を重ねるごとに“おじさん”への親しみが増し、お話に入り込んだり、自分から質問をする姿が見られた。今年度は、即位礼正殿の儀があったので、望月氏のお話と合わせ、より身近で興味を持つことができた。
望月氏は話をするだけではなく、園の教育に理解を示し、子どもたちが、こどもの日の伝説の事象を「魔法」と捉え興味関心を寄せていることを知ると、マジックを見せてくれるようになった。9月には望月氏のマジック仲間と来園し、マジックショーを見せてくれた。人形店に訪問した時に、園の教育方針について話をしていくことで、地域の方が園の教育を理解してくれ、協力してくださることを感じる事例となっている。
②自然に係わる活動
年長になった4月。お花見に近くの公園へ出かけた。いつもの公園ではあったが、その日の子どもたちの目には満開の桜がジャングルに映った。そこで、今年度は“ジャングル”をテーマに保育を行った。運動会から探検隊になりきり、秋には近隣の中学校へ探検に行った。ジャングルの葉っぱを見つけ、そこからジャングル迷路を作り、遊びを広げていった。友達と協力や工夫を重ね創り上げていくことで、協同性が大きく高まった。
上記以外にも、由比の様々な文化に触れ、保育教諭が「由比を大切にしなければならない」と教え込まなくても、日々の保育の中で、自然に子どもたちの心に地域愛や地域への文化の関心、海の向こうの世界への興味が深まっていると感じる。

来年度の活動計画

文化継承(望月人形展、由比の寺院等)、産業や教育に係わる活動(由比漁港や夏ミカン狩り、陣笠山公園)、小中学校との連携、福祉体験(地域のS型デイサービス訪問、敬老会参加、老人ホーム訪問)等、園外保育を通して、子どもが由比を知り、由比に親しみを持てるような活動を計画している。その際、「なんのために行うのか」を保育教諭はねらいをたて、子どもの心を動かす活動にする必要がある。
ESDカフェや遊びと生活展等に職員は積極的に参加し、意見交換を行ったり、新たな教育の手立てを学んだりすると共に、他校・他園とのかかわりも作っていきたいと考える。