2020年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

海洋, 減災・防災, 環境, 食育

※気仙沼市立大島中学校は、令和3年度に閉校し、令和4年度より気仙沼市立鹿折中学校に統合されました。

気仙沼市立鹿折中学校

震災から約10年が経ち,震災を知らない世代の入学や震災の記憶の風化が危惧される現状をふまえ,今年度より新たな防災学習を展開した。本学区は,特に被害が大きかった地域であり,地形的にも今後も津波の被害が危惧されていることから,3・11の事実を学び,教訓として何を伝承すべきかを考えさせるとともに,防災・減災意識の高揚と地域の一員として,主体的に防災・減災に向けた行動をとることができる生徒の育成を目指した。具体的には,防災学習における探究的な学習,体験的な学習を柱に,①震災伝承学習 ②コロナ禍対応避難所初期設営訓練の実施とマニュアルの作成,③簡易防護服づくりなどに取り組んだ。

①震災伝承学習への取組

地域の被災者から調査協力をいただき,避難行動の可視化を通して教訓や気付き,学びを伝承する学習に取り組んだ。「聞く」「学ぶ」「共有する」という視点を大切に学習を進め,発表会は,ポスターセッション形式とし,調査協力者や保護者の方々を前に,学んだ事実や教訓をポスターやパワーポイント,クイズ形式など,聞き手に分かりやすく伝わるように,創意工夫を凝らして行った。1月には代表グループが,近隣の小学校へ学びを発信・共有し,防災・減災意識の啓発活動を行った。

②コロナ禍対応避難所初期設営訓練の実施

市の総合防災訓練日に,避難訓練と共にコロナ禍対応避難所初期設営訓練を実施した。活動における目標(①教師不在でも生徒中心に設営できる力を身に付ける,②設営完了20分以内,③避難所初期設営マニュアルの作成)を明確に設定するとともに,活動を通して委員会ごとの連携・協働体制の構築やリーダーの育成を図った。委員長会を適宜開催し,進捗状況や準備物,協力体制について協議・確認する場を設け,準備計画を協議・立案,委員会毎に設営の役割を分担し,訓練に備えた。訓練は地域の自治会(PTA含む)方々に参観していただくとともに,生徒の取組について全体の場で講評をいただいた。訓練後は活動を振り返り,課題を検討し,避難所初期設営マニュアルとして,冊子にまとめた。

③簡易防護服づくりへの参加

全国的に不足していた簡易防護服づくりに取り組んだ。ボランティア団体の方々を講師に迎え,全校をあげて作成し,10月末現在で,約500着以上完成し,東京の医療機関や気仙沼市へ届けた。

(旧)気仙沼市立大島中学校

1 本校のESDでめざすもの

(1)ESDのねらい(※本校がESDを通じてねらいとする重点)

 海洋教育を中心とした総合的な学習の時間や防災・安全,福祉等様々な学習活動や体験活動を通して,地球規模の課題を自分のこととして捉えつつ,地域に根差し,地域の未来や自分の生き方を見つめながら,持続可能な社会の創造を目指した実践に取り組む態度や能力を育成する。

(2)ESDを通じて育てたい資質・能力(※本校ESDを通じて児童生徒に育む資質・能力)

①大島という海に囲まれた地域の特色を生かした様々な学習活動や体験活動を通して,主体的に課題を見つけ,探究する能力。

②課題の解決に必要な情報収集を行う能力,相手に思いを伝えるためのまとめや情報発信を行う能力。

③積極的に多くの人と関わり,自らの将来や生き方を考え,未来ことを考えた新たな価値観や行動を生み出そうとする態度。

2 本年度のESDの主な実践内容

(1)ホタテ養殖体験学習

①ねらい

大島ならではの地域資源を活用し,故郷の良さを知り,体験活動で身に付けた知識や技術を生活に生かす力を育成する。

②方 法

・海に設置した「いかだ」で実際にホタテの養殖を行う。

・小学6年生で体験した学習を継続,中学校においても1,2年生で体験学習を行う。

③学習内容

1学年:背ばたき(異物除去),耳吊り【7月17日(金)実施】

2学年:背ばたき(異物除去),水揚げ【6月25日(木)実施】

3学年:創作料理【11月25日(水)実施】

④その他

・体験学習実施に当たっては,大島漁協青年研究会の助言のもと進める。

(2)漂着物調査・海浜清掃【7月1日(水)実施】

①ねらい

・海上保安署で実施する「海洋環境保全推進活動」の一環として行う漂着物調査に協力することにより,海洋環境保全思想の普及・啓発を図る。

・自分たちの住んでいる地域の浜を清掃することにより,地域の美しい自然を大切にする心を育てる。

・協力して清掃することにより,協力することの大切さに気付かせる。

②方 法  気仙沼海上保安署の方々のご指導のもと,漂着物を集めその種類などの調査を行う。

(3)櫂練り体験(1学年)【9月30日(水)実施】

①ねらい

櫂練り活動を通して,地域の伝統文化に触れ,ふるさとの良さを見つめ直す。また,その良さを教えてくれる地域の人々とのふれあいを通して,地域との関わりを深める。

②方 法

地域の方々を講師とし,船を用意していただいて櫂練り体験を行う。

③学習内容

3艇ほどの船に生徒が分乗し,1人ずつ櫂練り体験を行う。

(4)島ゼミ個人探求活動

①ねらい

大島について様々な視点から個々に探究課題を見つけ,その解決方法を考え,計画的に活動する力を高める。また活動を通して知ったこと,身に付けたことを発信するとともに,効果的に伝えるための手段を身に付けさせる。

②方 法

・課題設定のためのウェビングや講話などを計画する。

・見学,体験活動等の計画と指導を行う。

・発表へ向けての計画,指導を行う。

③学習内容

○これまでの経験や学習を基に大島に関する探究課題を設定する。

○探究活動を行う。

・実験・実施踏査(浜)・インタビュー(水産試験場・漁業従事者)・アン  ケート(市内小中学校生徒・教員,民宿,市役所,消防署,観光客

○知ったこと,身に付けたことなどを発表する。

・学年ごとに中間発表会【8月28(金)実施】,発表会【9月18日(金)実施】を行い,全員が自分の探究内容について発表

・A4用紙1~6枚程度のレポートを作成

来年度の活動計画

気仙沼市立鹿折中学校

今年度の活動の成果と課題を踏まえ,見直し・改善を図りながら,防災学習を中心とした探究的な学習,体験的な学習を柱に活動を進める予定である。主な活動計画は,6月:防災学習ガイダンス,避難訓練(地震) 7月:震災を知る学習(1年),救急救命講習(2年),震災遺構・伝承館研修(3年),簡易防護服づくり(全学年:通年)9月:震災伝承学習(聞き取り調査等)のレクチャー,10月~:震災伝承学習(避難行動詳細調査,テーマの設定,活動計画の立案,整理・分析・考察,発表準備),11月:避難訓練(火災・地震),市総合防災訓練参加→避難所初期設営訓練,マニュアル作成,12月:防災学習(震災伝承学習)発表会,活動の振り返りとまとめ,1月:小学校への啓発活動を予定している。

(旧)気仙沼市立大島中学校

・基本的な活動内容については今年度と同様の内容とするものの,活動の振り返りを十分に行い,計画の改善のために見直しを図る。