2020年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, 海洋, 環境, 文化多様性, 国際理解, 持続可能な生産と消費, 世界遺産・地域の文化財等

本校は、世界自然遺産知床国立公園のふもとにある街の学校として、「ふるさと知床学習」を位置づけ、9年間一貫の義務教育学校の強みを生かし、身近にある豊かな自然環境やそれを生かした人々の営みを学び、段階的に世界やSDGsを意識しながらふるさと知床を考え未来像を創造する総合的な学習を展開している。

① 前期課程3・4年生の環境学習

3年生では、身近な磯や森を探検し、そこに生きる様々な動植物を観察し、パンフレットや絵地図にする活動を行った。児童は身近な環境に多様な生き物が生息することを実感し、知床の自然の豊かさを理解した。4年生では、知床の自然保護の歴史を周辺の森の様子と、地元の自然保護運動をリードしてきた午来元町長の話や資料から調べ、壁新聞にまとめた。

② 前期課程5年生の産業学習

5年生では、知床を支える観光、農業、漁業について、体験やゲストティーチャーの話や、統計資料から現状と課題を学び、それを解決するための方法について考え保護者の前で提案した。鮭の漁獲量の減少を解決する海面養殖と水中水族館をつくり複合施設で地元の人による鮭さばき体験をする企画が好評価を得た。

③ ユネスコスクール同士の交流

本校6年生が、同じ知床にある羅臼小学校の6年生との交流発表会をZoomによるオンオンライン交流ラインで行った。羅臼は昆布、ウトロは鮭マスという違いはあるものの、温暖化による漁獲量の減少や海洋ゴミの漂着など共通する課題を抱えていることを子どもたち自身が自覚を深め、その解決に向けて取り組みを始めなければいけないという認識を共有できた。

④ 後期課程の学習へのSDGsの位置づけ

7年生からは、SDGsについて学ぶ単元を今年度から位置付けた。具体的には、7年生は、まず新聞でSDGsターゲットに関わる記事を見つける活動をスタートに、地元に勤務する外国人労働者との交流をおこない、外国人労働者の受け入れの問題や、多文化共生に取り組む日本全国の各自治体の取り組みを調査し、斜里ウトロにはどのような対策が必要か立案する学習を行った。また、8年生では、同様に新聞調べとD-net(北海道開発教育ネットワーク)によるプラスチックごみの出前授業をスタートに、興味を持ったテーマについて、新聞や書籍やインターネットから調べまとめる学習を行った。これらの新聞記事の掲示は廊下に張り出し他学年の生徒も見られるようにしている。

⑤ 9年間の知床学習の総括

9年生では、これまでの学習の総括として、これまでの学習でわかった魅力や課題を思考ツールを用い整理し、生徒自身の手で絵コンテと撮影計画をつくり、ナレーション撮影ディレクター役を分担し動画を撮影編集した。この動画を素材にして、修学旅行先の千歳まちライブラリーや千歳市立東小学校で一般市民や児童向けのワークショップを開催した。また8年生でおこなっているヒグマレクチャーも合わせておこない、ヒグマの出没に悩む石狩周辺の市民の関心をよんだ。これらの活動はNHK「おはようにっぽん」でも紹介された。またこれらの経験をもとに、地域に向けて未来の知床活性化のアイデアを発信し、廃校を活用し宿泊農業体験や近所の直線化された河川を自然にもどしビオトープをつくる提案が好評価を得た。また、この動画は学校HP(http://shiretokoutoro.co-site.jp/htdocs/)上に公開されている。

来年度の活動計画

次年度は、計画の骨格今年度を踏襲し、前期課程で地域の環境や産業や歴史を学び、後期課程でSDGsを含めた世界に目を向け、最後は足元を見つめる年間計画を立てている。また、その中で、すでに同じ世界自然遺産を抱える学校を含む、いくつかの学校から交流の投げかけがあり、前向きに検討している。さらに、地元の知床財団や知床博物館をはじめ観光教育の専門である玉川大学の寺本潔教授やD-netの北海道教育大学大津和子名誉教授などたくさんの外部機関の専門家にご協力をいただき進めてきた今年度の流れは、次年度も可能な限り継続していきたい。