2022年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, 海洋, 気候変動, エネルギー, 環境, 文化多様性, 世界遺産・無形文化遺産・地域の文化財等, 国際理解, 平和, 人権, ジェンダー平等, 健康, 貧困, グローバル・シチズンシップ教育(GCED)

本校は、「自調自考」、「国際人」、「高い倫理感」を学校理念とし、ESDをグローバル・イシュー解決の一助となる人材育成と捉え、その実践を通して地球規模の思いやりと自調自考力の育成を目標とした。具体的には、教科横断型アクティブ・ラーニング授業、サービス・ラーニング活動、国際高校生会議を柱に、①グローバル・シチズンシップに係わる活動、②次世代グローバルリーダーの育成に係わる教育、③世界遺産に係わる学習、④社会参画に係わる学習を行った。さらに、これらの教育活動をより活発化させ、志を同じくする国内外の学校や企業、教育団体とのネットワークを構築するために⑤オンライン国際イベント「学びのオリンピック SOLA 2022」(Shibuya Olympiad in Liberal Arts 2022)を開催した。

 

グローバル-シチズンシップに係わる活動

例年、シンガポールに出向き、現地の高校生とSDGsに関する会議を行っているが、今年度もコロナ禍であったため、本校生徒の企画・運営によりオンラインで実施した。高2生は世界のトップ校の1つであるラッフルズ・インスティテューション、渋谷教育学園渋幕張高等学校と「異文化共生」をテーマに会議を開催した。高1生はダンマン校の生徒と「文化と日常生活」をテーマに自国について紹介し合った。また、3月に中3生を対象にしたグローバル研修、8月に山梨県西湖で高1生を対象にしたグローバルキャンプを実施。日本の大学院に通う様々な国の留学生をメンターに招き、SDGsに関するディスカッションや文化の紹介を行った。9月からは、ドイツ、フランスからの留学生を1年間受け入れ、校内で文化紹介をする機会を多く設けている。(主な活動分野:国際理解、GCED)

 

次世代グローバルリーダーの育成に係わる教育

地球社会が抱える問題を理解し、その解決策を考える教科横断型アクティブラーニング授業を行った。高1、英語科では「核兵器」をテーマに探究型学習を行い、米国フロリダのパートナー校の世界史の授業で使用する教科書を作成した。また、アジア、アフリカ、中東、欧州の様々な国から来た大学院生と議論を行い、発表につなげた。高2は、複数の教科が連携し、水、エネルギー、イスラム教、生物多様性などを複眼的に学んだ。こちらも海外の方を招いてインタビューを行うことにより各国の実情について認識した。その他、サンゴ礁の人工産卵やウクライナ問題、資本主義と気候変動など、専門家を招き、講座やワークショップを実施した。以上の活動を通して、生徒たちは、課題解決のためには、深い学びと意欲が大切であると実感し、発信力も向上した。(主な活動分野:環境・エネルギー・生物多様性・気候変動・人権・平和・貧困)

 

世界遺産に係わる学習

事前学習を十分に行った後、中学で信州、奈良に、高校では広島、九州に赴き、各地の世界遺産や地域遺産について学んだ。現地では研究テーマ別に集まったチームで活動し、インタビュー等を行った。研修後は、現地で取材してきたことをもとにプレゼンテーションや論文集作成を行った。(主な活動分野:世界遺産や地域遺産等)

 

社会参画に係わる学習

高2を中心に、各人がこれまでの経験と学びを活かし、地域社会が抱える課題の解決にむけた社会貢献活動に取り組み、その経験を通して学んだことを発信するサービス・ラーニング(社会貢献活動教育)を実施した。生徒たちは、課題の実態を知り、社会変革に対する意欲を高めた。活動内容は、ウクライナ問題について現地の方とのオンラインディスカッション、小学校での水問題をテーマにした出張授業、CO2を楽しく削減するアプリの開発、化粧品の有効活用など、多岐に渡った。(主な活動分野:GCED・地域貢献活動)

▲高2生による水問題についての出張授業を熱心に聞いてくれる幸ケ谷小の生徒さんたち

 

SDGs達成に向けてのネットワーク構築

8月18日、オンライン国際イベント「学びのオリンピック SOLA 2022」(Shibuya Olympiad in Liberal Arts 2022)を開催した。オリンピックがSDGs達成に必要な2大要素「多様性と協働」で成り立っているイベントであり、リベラルアーツがSDGs達成の鍵となる学問であること、そして「空」が世界を1つに繋げていることから名づけた。教員が決めたのはこの大会名と開催日だけで、それ以外はスローガンや種目の決定、バイリンガルの公式ウェブサイトの構築、要項やポスターの作成と募集、大会の進行等、企画・運営は徹底して生徒が行った。生徒が立ち上げた種目は、模擬国連、模擬G7サミット、ビブリオバトル、パーラメンタリーディベート大会、中学生Actions Not Wordsプレゼン大会、地球温暖化会議、ディベートを通して考える2050年の日本、国際ブックトーク、地域に縛られない平等な教育会議、未来のスマートシティを作るロボット×SDGs、メンタルヘルスの未来など、合計で18であった。リベラルアーツということで内容は多岐に渡ったが、いずれもSDGs達成を目指すというコンセプトで企画された。結果として、14ヶ国から600名が参加するという非常に大規模なイベントとなった。また、13団体のサポート、40名のゲストの協力も得られ、国内外の学校関係以外のネットワーク構築にも成功した。

来年度の活動計画

グローバル・シチズンシップに係わる教育

シンガポールのトップ校であるラッフルズ・インスティテューションを訪問、寮生活とホームステイし、SDGsに関する会議を行う。その他、地元のダンマン校の生徒との交流をするなど、現地の文化について学ぶ。その他、英国やオーストラリアなどの海外研修を復活させる。9月からは、複数の長期留学生を受け入れ、校内で文化紹介をする機会を多く設ける。(主な活動分野:国際理解、GCED)

 

グローバルリーダーの育成に係わる教育

地球社会が抱える問題を理解し、その解決策を考える教科横断型アクティブ・ラーニング授業を行う。複数の教科が連携し、人権、環境、エネルギー、貧困、戦争や紛争などを複眼的に学習する。その学びを校外研修や大学院生との議論を通して深め、まとめとしてプレゼンテーションを行う。高1では、広島をテーマに平和への思いを考えるプログラムを実施する。チームで、米国フロリダのパートナー校において歴史の授業で使用してもらう教材を作成し、最も高い評価を受けたものを作成したチームは、フロリダに行き、原爆についての授業を行う。(主な活動分野:環境・エネルギー・生物多様性・気候変動・人権・平和・貧困)

 

世界遺産にかかわる教育

世界遺産をめぐる研修を実施し、その意義や残るための努力について理解を深める。また、現地の学校交流を通じて、次世代へつながるネットワークの構築をはかる。ユネスコ活動への理解を深め、ユネスコスクールの一員であることの重要性を理解する。(主な活動分野:世界遺産や地域遺産等)

 

社会参画に係わる学習

授業や研修などで得た経験と学びを活かし、地域社会が抱える課題の解決に向けて高校生である自分が今できることを各自で考え、行動に移し、それを通して学んだことを発信する社会貢献活動教育サービス・ラーニングを実施する。社会課題を自分事として考えるようになる機会とし、卒業後の進路選択を考える材料にもする。(主な活動分野:国際理解・平和・GCED・地域貢献活動)

 

SDGs達成に向けてのネットワーク構築

過去2回行った「学びのオリンピック」を今年度も開催する。今年度中に高校2年生を中心に実行委員会を立ち上げ、種目なども確定し、来年度早々に参加募集を行う。今回は海外や遠方の県の中高生が気軽に参加できるオンラインで行う種目と、本校に来ていただいて対面で行う種目を設ける予定である。(主な活動分野:GCED・SDGs全般)