2022年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

環境, 文化多様性, 国際理解, 人権, 福祉, 食育, グローバル・シチズンシップ教育(GCED)

1.本校の国際教育活動の特徴

附属坂戸高等学校(以下「本校」) では平成 20 年に校内の国際教育推進委員会 Committee of International Studies、以下「 CIS 」) を設置し、それ以来本校独自の取り組みである「国際的視野に立った卒業研究の支援プログラム」、 ブラジル、タイ、カナダ、 台湾、インドネシアなど各国からの留学生の受け入れ、ユネスコスクールへの加盟、学校設定教科「国際」及びその科目の設置、及び本校が主催する「高校生国際 ESDシンポジウム」 などを通して、総合学科高校だからこそ可能である多角的な国際教育のあり方を模索しながら実践を積み重ねてきた。そして、これまでの本校の実践の成果をベースとして、平成26年から5年間、文部科学省のスーパーグローバルハイスクールSGH として、「グローバル社会において、自分自身は社会とどのようにかかわり、平和で持続可能な社会を実現するために何ができるか」を生徒自身が考え、実践できることを重視した国際的な視野に基づく探究学習プログラムを展開してきた。1946年に地元の農業高校として発足してから76年、1994年からは日本初発の総合学科高校のパイオニアとして30年に迫る歩みを重ね、平成26年度のSGH指定後は、総合学科を生かしたグローバル社会におけるキャリア教育の実践を積み重ねている。本年度は本校が大切にしてきた海外との直接交流ができる機会が増加してきた。タイ・カセサート大学附属カンペンセン校からの3年ぶりの訪問、SEA teacherパイロット事業の3年ぶりの再開、そしてACCU教職員交流を通じた国際比較研究事業にも採択された。これまでの3年間は、思うような活動がなかなかできなかったが、2022年度は、次の5年間につながっていく起点となる年となった。

2.タイ・カセサート大学附属高等学校カンペンセン校来校

2017年度に、教員視察団の訪問を受けてから、2018年度に本校の教員が訪問。その後、高校生国際ESDシンポジウムへの参加など探究学習をベースとした交流を続けてきたが、COVID19の影響により、オンラインによる年1回のオンライ国際シンポジウムのみの交流となっていた。
2022年10月25日に、生徒59名、引率8名の訪問を受けた。1 年次生全員との交流や4つの授業への参加など、久しぶりの直接交流で、両国の生徒、教員が交流を深めた。今後、国際連携協定の調印に向け、両校で協議を重ねていくことで一致した 。

3.SEA teacher パイロットプロジェクトについて(筑波大学国際局、 CRICED との連携)

SEA Teacher プロジェクトは、東南アジア教育大臣機構 SEAMEO(Southeast Asia Ministers of Education Organization)が行う、各国大学間交換教育実習 (Internship)である 。 教員養成課程の中で重要な必修科目である教育実習を東南アジア地域内で国境を越えて行っている。
SEAMEOにおける国内唯一の提携機関 (Affiliate)である筑波大学には、当初より参加打診があり、2020年2月に本校が協力校として日本ではじめて参画し、筑波大学国際局との連携によりパイロットプロジェクトとして実施 した。COVID19の影響で、3年間中断していたが、2023 年 2 月に再開した。タイ、インドネ シア、フィリピンの大学生の受け入れだけではなく、筑波大生も3か国に渡航し実習を行っている。今回は、パイロットプロジェクトの第2回目として、インドネシア教育大学、セントラルルゾン州立大学、コンケン大学から各3名、計9名の大学生を受け入れた。教科は、英語、数学、理科、地歴公民、体育、芸術である。「グローバル人材を育成できる教員の育成」につながる本事業は、参加した
学生だけではなく、受け入れる高校の教員や生徒にとっても価値のある事業である。今後、本校だけではなく、日本全国に事業が広まっていくよう、本校での受け入れ経験を外部に積極的に発信していきたい。

4.教職員交流を通じた国際比較研究事業 (ACCU 委託事業)

ACCUが公募を行った、令和4年度文部科学省委託事業「新時代の教育のための国際協働プログラム」に採択された 。「ESD for 2030 を担う教員養成のための国際協働教育実習プログラムに関する国際比較研究」をテーマに、SEA teacher パイロット事業に関連した国際交流事業を推進した。本校が国際連携協定を締結しているアセアン各国の3校、SEA teacher 協力校であるアセアン3校、計6校の海外大学の附属高校の教職員 との交流を、ESDとSDGsをベースに行った。 6校はすべて筑波大学が国際連携協定を締結している大学の附属高校である。大学と附属学校が連携することで、多様な国際教育が展開できる可能性を見出すことができた。

来年度の活動計画

令和4年度のユネスコスクール定期レビューにて指摘された事項を改善できるよう活動を進めたい。

  • 学校設定科目「国際社会」において、ユネスコスクールを意識した授業展開を取り入れる。
  • 国内フィールドワーク(那須町・掛川市・飯田市・笛吹市・西海市など)の実施。
  • 海外フィールドワーク(インドネシア・オーストラリアなど)の実施。
  • 姉妹校(インドネシア・タイ・フィリピン)との相互交流。
  • 地域イベントへの積極的な参加促進。
  • 協力企業とのSDGs学習会の開催。
  • 積極的な留学生の受け入れ。
  • 本校生徒の留学意識向上に向けた取り組み。
  • SGHやWWLなどで築いた学びのネットワークの維持・拡大。