2021年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, 気候変動, 環境, 文化多様性, 世界遺産・無形文化遺産・地域の文化財等, 国際理解, 福祉, 健康, 食育, 貧困, グローバル・シチズンシップ教育(GCED)

.2021年度のWWL事業について(拠点校の視点から)

WWL事業は、SGH事業の後継事業に位置付けられている。これまでのSGH事業と大きく異なる点は、学校を指定するのではなく、管理機関を指定し、そこに拠点校、そしてコンソーシアムを組成することによりさらに共同実施校、連携校を置くことである。WWL事業で各コンソーシアムにおいて求められている主な開発単位として、1)グローバル人材育成のためのカリキュラム開発(社会課題を掲げたPBL)、2)高校生が主体となった国際会議の開催、3)高大接続による高度な学習機会の提供、4)教師教育等があげられている。

1)については、ASEAN校外学習及び「国際フィールドワーク」が中止に追い込まれたが、2021年7月に代替措置として「国内校外学習」を企画・実施することができた。2)については、初めての試みとしてSEAMEO(東南アジア教育大臣機構)を通じて広報した。その結果、東南アジア諸国から約200校が参加し、真に国際的なシンポジウムとして変貌しつつある。3)については、高大連携科目である「国際演習」が中止になった。4)の教師教育は、昨年度受け入れた、SEAMEOのプログラムである「SEA-Teacherプログラム」は中止となったが、あらたにオンラインによる教育実習も模索されている。東南アジアの大学生を教育実習生として受け入れたが、熱心に教育実習に取り組み、本校生徒・教員にもポジティブなインパクトを与えてくれたプログラムだった。今年度は実施されなかったが、来年度以降の展開を期待したい。

コロナ禍によって大打撃を受けたWWL研究開発事業であるが、ステイクホルダーの皆様からの協力のおかげで、スムーズに代替措置を作り上げることができた。特に、ASEAN校外学習の代替措置である「国内校外学習」は、急な案件であるにも関わらず、企業・受け入れ先自治体の協力のおかげで、実現までこぎ着けた。SGH指定以来、日頃から課題研究活動のパートナーとのネットワーキングがWWL研究開発においても功を奏したと思われる。

.The 3rd SDGs Global Engagement Conference On line version について

 2012年度から本校では、高校生国際ESDシンポジウムを開催しており今年で10回目となった。SGH指定期間中は、これとあわせて全国SGH校生徒成果発表会を実施していたが、WWL指定後から、The SDGs Global Engagement Conference Tokyoとし、WWLで掲げているSDGsに関する国際会議として開催している。

今年度のESDシンポジウムは、WWLのネットワークを最大限に生かし、質的・量的な拡大を目指した。本学附属学校からは、小学校、中学校、高等学校、駒場高等学校、桐ヶ丘特別支援学校、及び視覚特別支援学校の生徒・教職員が参加した。また、国内連携校からは東京学芸大学附属国際中等教育学校の生徒が課題研究活動についてプレゼンした。国内参加校のプレゼンはいずれも質が高く、参加者にインスピレーションを与えることができた。

加えて、海外参加校も劇的に増加した。その背景は、本校がSEAMEO(東南アジア教育大臣機構)に加盟することができ、SEAMEO School Networkを通じて本シンポジウムへの参加を呼びかけたことである。その結果、465件の問い合わせをいただき、約200校の高校及び大学から生徒・教職員が参加した。英語セッションの参加者は大幅に増加し、本シンポジウムを東南アジア諸国の高等学校に広める機会になったと思われる。これまでのネットワーク、新たなネットワーク、オンラインの利点、対面の利点などを整理しながら、来年度、11回目を迎えるシンポジウムの在り方を検討したい。

来年度の活動計画

1.SGHおよびWWL事業の成果を活かしたグローバル教育の推進

WWL事業は、令和3年度が指定最終年度となった。今後は、ALネットワークの自走と発展が求められている。そのため、国内外において実施可能なフィールドワークのプログラム開発・実施を進める。活動の成果を高校生が主体的に発表し、共有し、世界に発信する場として、国内外の高校生が一堂に会する「高校生国際SDGs会議」(オンライン)を継続する。これまでの国内外連携校・国内外の大学と研究機関・アセアンの国際機関や企業等とネットワークとともに実施する。海外に13のオフィスを持つ筑波大学の世界展開力を附属学校として活用し、アジアから世界にネットワークの輪を広げ、世界を舞台としたグルーバル教育を拡充していく。

2.外部機関・大学等との連携活動

(1)「高校生国際ESDシンポジウム@東京」「高校生国際SDGs会議」

本校の国際教育を推進する核となる活動である。アセアン 各国の高校生および教員を招待し本校の生徒・教員とともに持続発展可能な社会づくりに向けたシンポジウムを開催することを通して、参加者とその在籍校生徒・教員が持続発展 可能な社会を目指して地球的課題に主体的に取り組む姿勢を涵養することを目的に実施している。Covid-19の影響も鑑み、本年度もオンラインによる開催の予定である。

(2)地域連携「つくさか地域食育支援プロジェクト」

これまで長年、筑波大学社会貢献プロジェクトに採択され、本校における農業教育の実績とノウハウを原資として、地域貢献の一環として、近隣の小中学校における食育活動を支援するものである。具体的には、①中学校への給食食材の提供、②小学校における農業体験学習の支援を実施している。

(3)筑波大学との連携

①地球規模課題学位プログラム(BPGI)との連携

②大学教員による特別講義

③SEAMEO(東南アジア教育大臣機構)との連携

(SEAMEO共同機関(Affiliate Member)である筑波大学CRICEDおよび国際室と連携して、アセアンの大学生の教育実習を受け入れるなど、グローバル教育に関するパイロット事業を実施している。本年度もオンライン実施を含め、国際室と連携して連携活動を進めていく )

 

3.国際バカロレア日本語ディプロマプログラムについて

平成29年2月に国際バカロレア機構(本部ジュネーブ)が提供する国際的な教育プログ ラム「国際バカロレア」の「日本語ディプロマプログラム」の認定校となった。平成 30年4月から第1期生が入学し、令和3年3月に1期生が、令和4年3月に2期生が卒業した。これまで、最終試験の成績は世界平均を上回っており、海外大学への進学者も複数、輩出している。

本校においては、単にIBで定められた教育の仕組みやコンテンツを実施するだけでなく、従来型の日本の教育とIBの教育との比較研究から、お互いによいものを取り入れ、学校全体の教育活動の向上につなげていき、その成果を、日本の他校でも活用できるように発信していきたい。

なお、令和4年度にはIB機構の確認訪問 が予定されており、その対応を進めていく。