2019年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, 海洋, 気候変動, エネルギー, 環境, 文化多様性, 世界遺産・地域の文化財等, 国際理解, 平和, ジェンダー平等, 福祉, 持続可能な生産と消費, その他の関連分野

本校では、これまで総合学科が25年間の間に培ってきた実践をベースに、2014年度から2018年度の5年間、スーパーグローバルハイスクール(SGH)の指定を受け、「国際シンポジウムの開催、留学生の受け入れといった実践的な英語活用、家庭基礎をベースとしたSGH開発科目「グローバルライフ」による地球市民性の醸成、インドネシアにおける国際フィールドワークやカナダ校外学習による海外現場での調査活動の提供によりSGH活動を進めた。この総合学科とSGHでの実践をベースに、2019年度からワールドワイドラーニング(WWL)コンソーシアム構築事業の拠点校となった。

① 国際フィールドワーク

SGH初年度から、からインドネシアにおける現地高校及び国立公園と連携したフィールドワークを行っている。滞在期間は約20日間。これまでも交流の深い現地高校(Kornita HighSchool, Bogor Agricultural University:国立ボゴール農業大学附属コルニタ高校、Forestry VocationalHigh Schools, Center for Forestry Education and Training, Republic of Indonesia:林業省附属高校)の生徒と本校生徒の協働活動として、「環境・教育・地域開発」の3チームに分かれてフィールドワークを行っている。

具体的には、インドネシアのゴミ問題に関するとりくみや、リサイクル活動、小学校での環境教育活動、地域特産品の開発を目指した社会的調査活動等を行っている。本年度もグヌングデ・パングランゴ国立公園周辺で活動を行った。また、新しい取り組みとして、国立公園周辺の村落で、共同合宿を実施した。グローバル人材の定義は様々であるが本校では「バックグラウンドの違うメンバーで協働し、課題解決にむけた活動を実践できる」ことを重視している。本FWの特徴として、課題研究活動を現地の高校生とともに行っていることがあげられる。先進国の立場で発展途上国を訪問するという姿勢ではなく、共に考え共に行動し、問題解決を行う。インドネシアの森林の減少は、日本も大きくかかわっている。そのなかで、共通の課題として、どうすれば森林減少を抑えることができるか、寝食をともにしながら活動を行っている。この国際フィールドワークで共に学んだ高校生たちが将来、研究活動やビジネス、外交や政治の分野で継続して協働できることを期待している。「20年先への投資」として実施している。

プログラム開発は、国際協力機構(JICA)青年海外協力隊員としてインドネシアでの2年の活動経験のある教員が中心に行っているが、事業の継続性を考えた場合、より多くの教員が対応できる形にしていく必要がある。「グローバル人材の育成には、グローバル人材を育成できる教員の育成」が重要である。海外での滞在経験がないあるいは少ない教員であっても、もちろんグローバル人材の育成を行える。これまで、本校の教員のなかで10名以上がインドネシアに渡航経験がある。本校では経験豊富な教員と、これまで海外引率の経験が少ない教員がチームを組んで引率を行うことで、学校全体のチーム力を上げていこうとしている。

また、2019年度から、校外学習をこれまでのカナダからASEAN3コース(インドネシア、タイ、シンガポール・マレーシア)から各自の将来のキャリア選択に合わせた選択制に変更することにした。内容も、海外コンサルティング企業と連携するなど、海外における課題研究活動の基礎を全員が経験できる内容を検討している。

② 高校生国際ESDシンポジウム・The 1st SDGs Global Engagement Conference

本校では、平成23年度から「高校生国際ESDシンポジウム」を開催している。タイ、フィリピン、インドネシアから高校生を招聘し、各学校のESD活動について報告及び討論を行っている。また、SGH指定を受けた平成27年度からは「全国SGH校生徒成果発表会@Tokyo」を同時開催し、全国のSGH校の生徒の皆さんが、国内外の高校生と日頃の成果を共有し、未来に向けたネットワークづくりができる場を提供している。WWL指定後の2019年度からは「The 1st SDGs Global Engagement Conference」とし、オーストラリアなど海外ネットワークを拡充、ユネスコスクールも加わり、AL-Networkを活かした大会としている。毎年、会場の250席がすべて埋まり、補助席を設置するなど好評をいただいている。WWL関連校、SGH校、ユネスコスクール、タイ、フィリピン、インドネシア、オーストラリアの高校生をSDGsを共通言語として、国際色豊かな課題研究発表会となっている。今後も、国際シンポジウムを主催し、課題研究活動の経験が豊富な総合学科高校や専門学科高校に参加を呼び掛けさらなる発展を目指していきたい。

来年度の活動計画

本校では総合学科の特性を生かした様々な活動を行ってきた。5年間のSGH事業では「共創的対話力で新しいアイデアを生み出せる。グローバルに活躍できる」リーダーを育成することを目標のひとつとして掲げ活動を行い、現在も継続している。先頭に立って引っ張るだけでなく、現地の人と共に考え、問題を解決できるグローバル人材を総合学科として育てたいと考えている。また、学校の役割として「オープンプラットフォーム」を掲げている。これは、学校に関わる様々なステークホルダーが出会い、学びあい成長しあえる場を提供できる学校でありたいということである。グローバル人材育成は、個人や単独の活動ではなかなか難しい場面もある。そこで、本校がその「中間支援」をおこない、多くの活動が促進される触媒の役を果たしたいと考えている。本分科会でも、ぜひ、全国の先生方や教育関係者の方々がつながり、未来につながる出会いがあることを期待している。また、本校は、関東ESD支援センターの埼玉県拠点に登録されており、この面からも高校と国内外の様々なステークホルダーがつながっていく場面を提供していきたい。