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加盟年 2009

2023年度活動報告

活動分野

生物多様性, 気候変動, 環境, 文化多様性, 国際理解, 平和, 人権, 福祉, 貧困, グローバル・シチズンシップ教育(GCED), その他の関連分野

本校は,「進取創造」「至誠貢献」という校訓に基づき,「地域・日本・世界に貢献できるグローバルリーダーの育成」を目指している。これに関し,ESDを地球市民としての資質育成にとって重要な教育活動として捉え,特に「世界の水問題の解決」を学校全体の活動テーマとし,中学校と高校で連携・連動して,主に課題研究を通した探究活動を展開している。具体的には年間を通して,教育課程に組み込まれている「総合的な学習の時間」(中学校)と「グローバルスタディ(GS)課題研究」(学校設定教科),「総合的な探究の時間」(高校)を柱にし,フィールドワークや研修旅行等の行事と連動しながら,例年の中軸である①環境学習に係わる活動,②課題研究に係わる教育,③国際理解に係わる学習の3点に加え,④福祉に係わる学習,⑤平和に係わる学習を行った。2023年度は新型コロナウイルス感染症(Covid-19)以前の形態に戻し,感染に留意しながら積極的に活動を行った。

環境学習に係わる活動

中学:中学校1年生では, 通年3回の野外巡検(定点観測)を通じて,四季の移ろいによる植生の変化や生命の多様性を感じ取らせ,その体験的・感覚的事象をデータ化し,実証的かつ科学的に問題を捉えさせる取組を行った。また,中学校2年生は「北上川フィールドワーク」において, 身近な川について探究学習を行った。被災したヨシ原の再生活動を通して生物・地学・水問題の分野を考察するとともに,震災と防災に関しても理解を深めることができた。

高校: 9月に高校1年次生全員参加で,1泊2日の「北上川フィールドワーク」において,鉱山の汚染にあった地域の学習や防災施設の見学,専門家による講義または東日本大震災で津波被害を受けた地域の現地調査を通して,水や環境等について総合的かつ体験的に学んだ。高校2年次は11月に4泊5日の台湾研修旅行において,現地での調査・研究を通して,台湾開拓の歴史や現地の水問題をはじめとする社会問題について考えることによって,学習へのより一層の意欲の喚起と積極的な態度を育成した。この体験的な学習の効果は大きく,今年度の学習全体の土台となった。

課題研究に係わる教育

中学:中学校2・3年生はグループ毎にテーマを設定し,観察・実験を行い,ポスターやプレゼンテーション形式で発表した。文化祭や課題研究発表会で発表することで,中学や高校の他学年や保護者と意見を交換する場となった。

高校:高校1年生は全員「GS課題研究Ⅰ」に取り組む。高校1年次生は水問題や環境問題等についての書籍を読んで取り組む「ブックレビュー」,「広瀬川フィールドワーク」,「模擬国連」,「北上川フィールドワーク」,その後の研究発表などを行った。高校2年次は個人または少人数のグループで「GS課題研究Ⅱ」あるいは,総合的な探究の時間における探究活動に取り組み,2023年度は,メコン川のフィールドワークや研修旅行先の台湾で調査・研究を通して,多文化共生について考えることによって,国際的な視野を広げ,豊かな国際感覚の育成を図るとともに,将来の日本の社会の在り方を考える機会とした。高校3年次は「GS課題研究Ⅲ」を選択した生徒が研究成果を英語でまとめ,全国規模の学会で発表する学習を行った。

 

 

国際理解に係わる学習

本校の特徴でもある活発な国際交流は,新型コロナ感染症の位置づけが5類に変更になった本年より再開した。感染予防に努め,工夫しながら実施できる方法を模索した。

中学:中学校1年生は,「総合的な学習の時間」で広く国際理解について学ぶために「国際理解ワークショップ」を実施した。海外出身の講師を招いた「世界の国からこんにちは」では,外国への文化の知識を得ることで世界への関心を抱き,「世界がもし100人の村だったら」では,世界を身近に感じる機会となった。中学校2年生では,外国人講師との交流体験を通して異文化理解を深めることを目標として,3日間の「イングリッシュキャンプ」を行った。その活動を通じて,英語での会話やコミュニケーションをとる際のマナーやルールを身に付けることができた。また,中学校3年生では,本校の特色ある教育の一環として今年から始まった「イングリッシュ・プレゼンテーション」を通じて,「平和教育」や「ジェンダー平等」等の社会問題についても国際的な観点から理解を深めることができた。また,英語でのコミュニケーション能力や論理的思考,さらに表現力を高めた。例年なら行っているシンガポールの姉妹校との交流については,昨年度に引き続き今年度もZoomを用いた4回のオンライン交流で,相互理解・異文化理解を深めた。また,研修旅行の一環で,京都大学農学部の教授による講話に参加し,日々の研究が国際的な協力の下で行われていることを理解した。本年度もコロナ対策をしながら様々な場で国際理解の学習ができたと考えている。

高校:
・メコン川フィールドワークで,カンボジアのバイヨン中学校を訪問

・ベトナムのチョウタイン高校を訪問

・アメリカ・デラウェア州へ交流生徒派遣研修を昨年より再開。今年度は,3月に本校生徒が20名派遣予定。

・インドネシアからの長期留学生を受け入れており,生徒たちの日常的な異文化理解の場となっている。

・国際バカロレア(IB)の授業担当者として様々な国籍の外国人講師が来校しており,生徒たちと交流を深めている。

・高校2年次からのバカロレア類型の授業では,主に英語で書かれたテキストを用いて,外国人講師による授業が行われている。

・全日本高校生模擬国連大会に参加した。

 

福祉に係わる活動

高校:

・JRC部はワクチン普及のためのエコキャップ回収運動やユネスコ寺子屋運動(書き損じはがきの回収)を実施中である。

・今年度,JRC部は地区の事務局校として地区大会を企画・運営し,宮城県聴覚支援学校の協力のもと「聞こえのサポーター養成講習会」を開催し,聴覚障害や手話についての学びを通して他者理解を深めるとともに,共生社会の一員として,目の前にいる相手のニーズに気づき,自発的に行動できることを考える機会を設けた。

・令和6年1月に発生した能登半島を震源とする地震で被災された人々を支援し,また復興に役立てるために,生徒会とJRC部が中心となり義援金活動を行った(1月29日~30日)

 

平和に係わる活動

中学:一昨年度より国内になった研修旅行では,グループでの京都探究学習と広島の平和学習を実施した。その事前学習は,総合的な学習の時間で行い,より平和についての知識と共に国際理解も深めた。広島において平和学習の一環として平和記念資料館で見学をした後,伝承者による被爆伝承講話を体験した。またボランティアガイドによる平和記念公園のツアーで,原爆の子の像や世界遺産の広島平和記念碑をガイドの解説と共に訪れて,平和への知識と理解を総合的・体験的に学んだ。

高校:新型コロナ感染症の位置づけが5類に変更になった本年より,研修場所を国内の沖縄からから国外の台湾に変更した。台湾では,現地の大学生や先住民族との交流を通して友好を深め,平和の大切さを考える良い機会となった。また,英語部を中心に,ロシアの軍事侵攻のため隣国のポーランドに避難しているウクライナ人のためにメッセージや絵を送る活動を昨年度から継続して行っている。ポーランドとウクライナの生徒との交流を通して,戦争の酷さや国境を越えて繋がることの大切さを学んだ。

 

<総括>

本校のユネスコ活動は,日常の学校生活や教育活動の中に定着してきている。中軸となる「課題研究」はもちろん,諸行事,部活動等を通して,世界が抱える問題に関心をもつことが自然になっている。今年度は新型コロナウイルス感染症が5類に変更されたことで,メコン川フィールドワークやアメリカ姉妹校交流,国際学会参加等,感染対策を十分に行った上で,できる限りの工夫をして行事を実施し,本校らしい生徒の体験的な学びの場の確保に努めた。実際の体験を伴う学習は,知識の活用や視野の拡大等,学習面またESDの理解促進の面で有効性が認められた。次年度も,高2生徒全員参加による海外研修旅行や,教育課程に定位した課題研究等をベースにし,生徒たちがグローバルイシューを自分たちの課題として捉えて,これからの社会に貢献しようとする姿勢を涵養していきたい。

来年度の活動計画

2024年度についても,今年度と同様に意欲的にユネスコ活動を進めていきたい。

中学:2023年に引き続き「総合的な学習の時間」を通じて,以下のユネスコ活動を計画的に実施する予定である。

① 環境学習(巡検,植生研究,水問題学習,国内研修旅行等)
② 課題研究学習(課題研究,ポスター発表等)
③ 国際理解学習(国際交流,イングリッシュキャンプ,国際理解ワークショップ等)
④ 平和学習(国内研修旅行)

高校:「課題研究」を通して,以下の3本柱で,年間を通して教育活動を展開していく。その際,SDGsを課題研究にからめながら,ホールスクールで展開していきたい。

①環境学習(広瀬川フィールドワーク,北上川フィールドワーク,メコン川フィールドワーク,世界の水問題等)
②課題解決学習(課題研究,台湾研修旅行での学習,ポスター発表等)
③国際理解学習(海外交流校との交流,留学生や外国人講師との異文化理解等)

同時に,中学・高校合同で,文化祭におけるチャリティー活動,災害時募金活動,また地域への貢献活動やボランティア活動を,関係機関と協力しながら,充実させていきたい。

過去の活動報告