2019年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, 海洋, 減災・防災, 気候変動, エネルギー, 環境, 文化多様性, 国際理解, 平和, 人権, ジェンダー平等

成蹊学園では、100年に及ぶ栽培活動の歴史、90余年の気象観測の歴史に代表されるように、体験型・観察型の理科・環境教育を行ってきた。そして、成蹊の各学校は、本物にふれる教育、本物を体験する教育を基に、持続可能な未来に向けた教育実践を蓄積し継続している。具体的には、観察、観測、体験を柱に、①ESD理念と成蹊教育に係わる活動、②地域理解・地域実践、③自然・環境理解に係わる教育、④国際理解に係わる学習、⑤人権理解・共生社会に係わる活動を行った。
①ESD理念と成蹊教育に係わる活動
本学の各学校におけるESDの取り組みを学園関係者及び地域住民、広く教育関係者に紹介し、相互の意識啓発を図るため、2019年4月に、第4回ESD成蹊フォーラムを開催した。高校生徒会の震災復興活動を始めとした各校からの実践報告、講演会、講演内容に関連するウォーキングツアーを行った。また、2018年度の活動報告を掲載した紀要「サステナビリティ教育研究」第1号を発刊した。
②地域理解・地域実践に係わる教育
小学校では身のまわりの環境について関心を持ったこと、考えたこと、調査したことを地図にする「環境地図作品展」を開催した。応募者のうち代表の児童が、11月に本学で開催されたHESDフォーラムにおいて発表を行った。
③自然・環境理解に係わる教育
小学校では「こみち科」(本校独自の生活科や総合的学習の時間)における栽培活動(園芸実践、植物観察及び食育)を始め、夏の学校における浜辺の生物観察などを引き続き実践している。また、大学教授の指導の下での化石採集、国立極地研究所の協力による特別授業も行った。中高においては、付設の成蹊気象観測所の観測設備を活用して生徒自らによる気象観測を継続しているほか、生物の授業における深海魚の解剖、夏の学校等における野外技術学習、高層湿原の生物観察など、自らの五感で環境科学的関心と素養を身につけられるよう指導している。
④国際理解に係わる学習
小学校では「国際理解」授業として、国際学級児童による発表会を行い、長期海外生活した児童から、様々な国の話を聞くことで、日本以外の外国の文化や習慣を知ること、さらに日本の文化や習慣をあらためて知ることが出来た。また、11月には図書室で「アフリカを読む、知る、楽しむ 子どもの本」展と関連講演会を行った。中高では交流70周年を迎えたアメリカのセントポールズ校を始めとした多彩な留学先に生徒を送り出すとともに、多くの留学生を受入れている。9月には、留学生達が中学校で開催された歌舞伎のワークショップに参加して生徒達と一緒に日本文化を体験した。
⑤人権理解・共生社会に係わる活動
高校では「マイノリティ性や多様性を可能性として認め合う」ことを目標に掲げ、スクール・ダイバーシティという活動を2013年度から行っている。秋の文化祭では、性の「あたりまえ」について問題提起する企画として、編み物・フラワーアレンジメント体験、毛糸を木に繋いで編んでいくゲリラ・ニッティングを開催した。今年度からは、ダイバーシティの発想で研究をしている先輩大学生の報告の場として「ダイバーシティ・ゼミ」を実施している。

来年度の活動計画

引き続き、各校が、①自然・環境理解、②地域理解・地域実践、③国際理解、④人権・共生社会の4領域から独自の取り組みを行って行くとともに、サステナビリティ教育研究センターはこれを支援し可視化するために、①普及啓発、ネットワーキング、②人材養成、③コンテンツ発信と行った事業を推進していく。地域、企業との連携も含め、ユネスコスクール、地域ESD活動推進拠点、ASPUnivNet加盟校(成蹊大学)として、然るべき責任を果たしていく。