2022年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

エネルギー, 福祉, 持続可能な生産と消費, 健康

本校は、肢体不自由のある児童生徒が通う特別支援学校で、小学部、中学部、高等部合わせて12学年が学んでいます。本校でのESDは、「つながり」というキーワードを軸として、身近な場所や人からスタートして校内、校外、世界の人々とつながりながら、かかわった人と影響を与え合って、障害のある本校の児童生徒も取り残されることのない共生社会の実現を目指しています。

今年度、本校でESDを推進する分掌では、教職員に「ESDとは何か」「何をすればESDなのか」が伝わることが、教職員のESDへの負担感を減らし、本校ESDを盛り上げることにつながると考え、活動に取り組みました。

本校でESDを行う上で立ちはだかる一番の障壁は、児童生徒の過半数を占める、肢体不自由と知的障害とを併せもつ児童生徒に対する実践事例が見つかりにくいことだと考えています。ESDに興味をもち、文献やインターネットで調べても、小中高等学校の実践ばかりで、本校の児童生徒に合ったものを見つけるのは至難の業でした。そこで、今年度は、「自信をもってESDに取り組める環境づくり」をテーマに分掌が行った活動と、重度重複障害のある児童生徒に向けて行われた実践をご紹介します。

(1)分掌の活動

本校ESDを紹介する研修の実施

ESDとは何か、本校ではいつから始まり、どんなことをしているのか、を紹介しました。高等学校学習指導要領に沿って学習を進めるグループが毎年SDGsについて学習していることは知られていましたが、小中学部でも、また、障害が重い児童生徒でも、教職員の工夫によりESDを取り入れた授業が行われている例を紹介し、学校全体でESDに取り組もうと呼びかけました。

本校で行われている実践の収集・まとめ

小学部・中学部・高等部に加え、児童生徒に深くかかわり指導を行う自立活動部、寄宿部や、医療的ケアを行う看護師、養護教諭など、学校中の教職員に呼びかけ、ESDの実践を1グループにつき1例以上挙げてもらいました。集めた実践は校舎の中心部にあるピロティに掲示し、教職員や保護者が自由に見ることができるようにしています。4月以後も掲示することで、新しく来た教職員にもESDを知ってもらい、持続可能な桜が丘ESDにしていきたいと考えています。

(2)全校の実践

(1)②で集めた実践には、学部や教育課程を超えて同じようなことを意識した取り組みもあれば、一見同じ取り組みでも、ねらいが異なる取り組みもありました。また、集まった実践をSDGsの17の目標について整理してみると、桜が丘特別支援学校で今行われているESDは、目標3「すべての人に健康と福祉を」、目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」、目標12「つくる責任 つかう責任」に関連する取り組みが多いことも分かりました。

 

実践①「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」 実践②「海の豊かさを守ろう」 実践③「すべての人に健康と福祉を」  実践④「質の高い教育をみんなに」

(今年度各グループが取り組んだESDの例)

来年度の活動計画

今年度の活動により、重度重複障害のある児童生徒を対象としたESDへの教職員の負担感は少しずつ減ってきています。また、上記以外にも、近隣の高等学校との交流の中で一緒にSDGsについて学び合う機会を設けたり、本校がユネスコスクールに加盟しESDに取り組んでいることをミニ集会を通じて地域の人々に広めたりして、昨年度成しえなかった、児童生徒自身がESDでの学びを振り返り地域や校外の人々に紹介する活動も実現することができました。次年度も引き続き、ESDの実践が学校教育目標である「児童生徒の自分らしい人生を歩んでいくための力を育成する」ことにつながるよう、児童生徒自身が考え表現できるような活動を推進していきたいと考えています。同時に、ESDがどのように目の前の児童生徒のためになるのか、教職員一人一人が納得し「私のクラスの児童生徒に合ったESD」作りを進められるよう働きかけていくことで、学校全体でSDGsの目標4.7の達成を目指していきます。