2018年度活動報告
本年度の活動内容
生物多様性, 環境
大谷中学校では,小さなハチドリが大きな山火事を消そうと懸命にしずくを落とすという南アメリカの民話にちなみ,ふるさとのために私たちにできることをしようという思いから「ふるさとを知り,ふるさとを愛し,ふるさとを創る心を育てる」(大谷ハチドリ計画)をテーマに環境保全活動を行っている。
ESDを地域の自然や環境,暮らしを守り,持続可能な地域づくりに貢献するものと捉え,ESDの実践を通して地域の課題を見いだし他者と協調しながら,その課題解決に取り組む力の育成を目標とした。
具体的には,大谷の森,大谷の海,ふゆみずたんぼを柱に,①松枯れに関わる
活動,②海に関わる活動,③ウニの生態調査,④ふゆみずたんぼに関わる活動を行った。
① 大谷の森に関わる活動
1年生は「大谷の森」に関する活動として,学校周辺での木の種類の観察や地域での松林の下草刈りを行った。東北緑化環境保全株式会社の菅野洋氏の講話により,木の葉で名前や特徴,人との関わりなどを知ることができる事を学び,学校周辺の林を調査した。また松林は防潮林や魚付き林としての役割を果たしているもので,今年も地域の方々の協力を得て作業を実施した。この活動を継続し,地域の自然環境を自分たちの手で守る意識付けを行っている。
② 海に関わる活動
海に関する学習として,海のゴミについて調べ学習を行った。大谷海岸の砂浜
へ行き,漂着したゴミの調査,海水を採取しその中に含まれているゴミの観察や大谷からとれた魚を解剖し胃の中を顕微鏡で調べるなどの活動を行った。大小様々なゴミが確認された。今後さらにゴミが増え続けることが予想され,どうしたらゴミを減らせるのか考える良いきっかけとなった。
③ ウニの生態調査
7月に行われた環境講話では,ウニの専門家である東北大学の吾妻行雄先生から大谷の磯焼けの現状や,世界規模で起きている海水温の上昇などについて全校生徒に向けて講話をいただいた。その後2年生は,前もって生息数調査を兼ねて採取したウニを吾妻先生の指導のもと,解剖して観察した。普段,家庭でウニ漁を手伝う生徒も,改めて各器官の働きなどを学ぶのは初めてのようで,アリストテレスのランタンと呼ばれる咀嚼器官をはじめ,ウニの各器官がどのような働きをしているのかなどを,解剖しながら興味深そうに学んでいた。
④ ふゆみずたんぼに関わる活動
3年生は「ふゆみずたんぼ」との関わりを中心に田植えから収穫まで農作業を通しての体験学習を行っている。水田の生態調査などを行った。稲刈り後は,たんぼに水を張り,藁やワカメの茎を蒔くことで,小さな生物が生息し,土を肥やしていく。無農薬・有機栽培で育てた米を地域のボランティア団体の協力のもと,全校生徒でいただく収穫祭を行っている。田んぼに繁殖する栄養価の高いコナギを使った調理実習や水田の生態調査も行った。稲を鳥の被害から守るため,案山子の製作も行った。
① 大谷の森に関わる活動
② 海に関わる活動
③ ウニの生態調査
④ ふゆみずたんぼに関わる活動
来年度の活動計画
これまで続けてきた大谷ハチドリ計画に沿って環境保全活動を継続していく予定である。
学年ごとのテーマ「大谷の森」「大谷の海」「ふゆみずたんぼ」を3本柱で進めるが,内容は,学年主任を中心に検討し,生徒がより興味を持ち,意欲的に活動できるものにする。「大谷の森」については松枯れの調査や対策の他に,地域の樹木の種類を見学し,木の活用について考えさせる。「大谷の海」に関しては,磯焼けの現状を知り,それに関連したウニの生態調査を継続して行う。また,ゴミについての環境調査なども行う予定である。「ふゆみずたんぼ」については,米作りを通して,環境問題や稲作文化の歴史などテーマを設定し意欲的に活動できるものにする。