2022年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

環境, 人権, 福祉

本校はESDを「探究的な学習を進め、自己の生き方を考えられる」と捉え、その実践を通して「よりよく問題を解決する資質や能力を育成し、学び方や考え方を身に付けさせるとともに、主体的、創造的、協働的に取り組む態度」の育成を目標としている。地域資源の自然、人(街)、環境、郷土を柱に、子供たちに持続可能な未来をつくる力を育むことを目指し、生活科や総合的な学習の時間を中心としながらESDの視点にたった学習活動を行い、SDGsの目標を意識しながら全学年で計画的に実施した。

【各学年の主たる学習活動の様子】
【1年】
生活科「しぜんとともだちになろう」 生活科「もうすぐ2年生」

1年生は、朝顔とチューリップを育てた。植物はどんな気持ちなのかを考えながらお世話をすることで、毎日の水やりが日課となった。綺麗な花が咲いたときは大喜びで、また別の花を育てたいという気持ちをもつことができた。
春夏秋冬、それぞれの季節を五感で感じられるように、校庭巡りをしたり、近くの公園へ遊びに行ったりした。改めて身の回りの植物や生き物を探すことで、季節の変化に気付いたり、たくさんの新しい発見があったりした。また、自分の発見を教え合うことで、さらに活動を広げることもできた。
地域との交流では、保育園の年長さんや老人会の方々と一緒に取り組むことができた。老人会の方々には「むかし遊び」を教えてもらい、楽しく活動することができた。保育園の年長さんに向けて、小学校の素敵なところを紹介したり、年長さんと一緒に遊んだりして、数か月後にはお兄さんお姉さんになる自覚が芽生えた。

【2年】
生活科「町探検をしよう」 生活科「めざせ野さいづくり名人」 生活科「あしたへダッシュ」

2年生になって、学校探検や仲良し遠足を通して、1年生との関りを深めてきた。ひとつ上の学年として、1年生を引率して学校内を案内したり、遊びを考えて一緒に遊んだりすることで、他者への思いやりや言葉遣いなどを学んでいた。仲良し遠足では、きまりを守ることや集団活動の楽しさを、上級生として教えたり、自らも学んだりした。
野菜の栽培をすることで、植物や食への興味・関心が高まった。観察によって植物の作りに注目する児童や、水やりを毎日行い、栽培の楽しさに気付く児童がいた。給食で育てた野菜や調べた野菜が出ると、学習したことを思い出し、話題にしながら食べる様子が見られた。
図書館や公園見学、警察官の方との交流で、地域社会と自分自身のつながりに気付く姿が見られた。直接見たり聞いたりすることで、身近な地域への学習が深まった。

【3年】
総合的な学習の時間「わたしの町 すてきな人 ゆたかな自然」

地域の「からきだの道の会」の方と一緒に年間を通して地域の自然について教えていただいた。
春、カブトムシの生態と育て方を学び、カブトムシの林にて幼虫を預かった。成虫になるまではすみかの環境を整え、成虫になってからは毎日餌やりをし、どの子も愛情をもってカブトムシに関わる姿が見られた。夏には、学校や家庭で愛情深く育てたカブトムシを林に放し、お別れや励ましの言葉をかけるなど、かけがえのない命に対する思いを一層深めていた。秋には、その雑木林に生息する木々の樹名板作りを通して、雑木林の木々への関心や知識を高めていた。冬には、次の世代のカブトムシ達のために、林の中の落ち葉を集めての腐葉土作りに、元気いっぱいに取り組んだ。そして、年間を通して学んだことをまとめて、地域の方を招待して発表した。

【4年】
総合的な学習の時間「広げよう!わたしとわたしの町」

4年生は、社会科や理科の学習と関連させて、地球温暖化、ごみ問題、食品ロス、プラスチックごみ問題など、身近な環境問題について考えた。地球温暖化対策の一つとして、ツルレイシで緑のカーテンを作った。毎日の水やりや観察を進んで取り組んだり、緑のカーテンから涼を感じたりすることができた。ツルレイシの葉が生い茂り、立派な緑のカーテンが出来たことをとても喜んでいた。ごみ問題では、ごみ処理場を見学したり、資源の利用について調べたりして、自分で情報を集め、整理する様子が見られた。そして自分にできることは、ごみの分別や食品ロスを減らすことであると考え、実践した。また、ごみ減量標語を作り、周囲に協力をお願いするなど、発信する力が育った。

【5年】
総合的な学習の時間「環境問題について考えよう」

「米作りをしよう」の学習を通して、米農家の仕事の大変さを理解することができた。
1年間の米作りを調べるに当たって、米に関して興味のあることを各自で調べた。「いろいろな米の活用方法を調べていた人(米の粘土など)もいれば、米の種類や昔と今の米の変わり方などを調べている人もいて凄いと思った。」「米の種類が900種類以上あることを知って驚いた。」という感想をもち、米作りを進めた。学校の田んぼだけでなく、公園緑地課と連絡を取り合い、鶴牧西公園の田んぼでも田植えから稲刈りを実施することができた。機械で実施している作業を手作業で行うことで、普段食べているお米を口にするまでにたくさんの工程があり、大変な作業であることを学んだ。また、収穫した米の消費を促進するにはどうすればよいのか、自主的にタブレットを活用して調べたり、家族に聞いたり、家庭科の教科書を読んだりして美味しく食べる方法を調べている児童もいた。食料自給率や廃棄量について考えを深め、身近な食事である給食で食べ残しを減らす努力をする姿も見られた。

【6年】
総合的な学習の時間「わたしたちの郷土」

はじめに自分たちが住んでいる多摩地域の成り立ちや多摩市の良さを中心にまとめる活動を行った。それから、カリキュラムマネージメントの一環として、国語科と関連させて学習した。国語科「日本文化を発信しよう」では、自分たちの町の良さや文化を発信するパンフレットを作成した。その上で、児童それぞれが関心のある国を調べ、衣・食・住を中心として、様々な国との文化の比較を行った。普段生活をしていて、自分たちは当たり前だと思っていることが、他地域・他国の方にとっては、当たり前ではないということを知り、驚きを感じている児童の姿が多くあった。また、お金の価値の違いや言葉の違い調べ、まとめていく中で「異文化」を理解し、共生していくことの大切さを知ることができた。
最後に改めて自分たちの住む地域の特色や文化を振り返った。外国の文化や歴史を知ることで、自分たちの町の利点、欠点に気付くことができたようだ。そして、外国の方々と共生する町づくりについて、一人一人が考えをもち、実行しようとしている。

来年度の活動計画

本校としては、①地域資源の有効活用とカリキュラム・マネジメント②地域の人とのネットワークづくりを目指して活動を展開したいと考える。豊かな体験を通した探究的な学び、主体的・対話的で深い学びの実践を進めていく計画である。
活動を通して児童の期待される変容として、
①地域に愛着をもち、地域の一員としての自覚をもっている
②課題に気付き、それを解決するための学び方を身に付け、活かすことができる
③互いの意見を尊重し合い、協働しながら、解決しようとすることができる
④自己の生き方を見つめ、自分ができることを実践しようとすることができる
を目指していく。