2021年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

環境, 文化多様性, 国際理解, 人権, ジェンダー平等, 福祉, 持続可能な生産と消費

調査研究名

持続可能な未来をつくる人材の育成の研究

テーマ

差別の現実に学び、差別解消に主体的に取り組む生徒の育成

活動内容

ア 一人ひとりが大切にされる授業の実践
授業により身に付けさせたい力を「知識的側面」「価値的・態度的側面」「技能的側面」の3 つの側面について、どの側面の資質・能力を育成していくか「人権・同和教育の視点」として指導案に示し実践した。特に、それぞれの成長段階において配慮しながら行う、特別の教科 道徳や学級活動、総合的な学習の時間については、人権・同和教育の視点や教材の内容を吟味し、ねらいを達成するための発問の在り方や時間配分などを学年で協議した。そして、生徒の実践力を育てる「丁寧な授業づくり」を目指して、授業を行った。

イ 生徒会活動の充実
生徒会が中心となり、各委員会で担当の曜日を決め、挨拶運動やボランティア活動を継続している。
挨拶運動は、始業前の15分間、正門前に各専門委員が立ち、登校してくる生徒に挨拶をしている。朝の始まりに笑顔で挨拶を交わすことで、気持ちの良い学校生活をスタートできている。
ボランティア活動は、毎朝、挨拶運動と並行して校庭や学校周辺の草引きや落ち葉取りをしている。令和2年12月から美化委員会の発案でポイント制を導入したことで、主体的に楽しく取り組む生徒が増え、さらに活気ある活動となっている。さらに清掃のボランティア活動として、部活動単位で、校舎内の掃除や放課後にトイレ掃除を自主的に励む光景が見られるようになった。
また、家庭で溜まったペットボトルのキャップを学校に持ち寄り、各クラスの福祉委員が回収・集計している。集まったキャップはリサイクル業者に受け渡すことで収益金が生じ、その収益金がNPO法人等に寄付され、世界中の子どもたちのワクチン代となっている。昨年度は、ワクチン310人分に相当する約88,000個のキャップが集まった。
その他にも、赤い羽根共同募金や「届けよう、服のチカラ」プロジェクトなどへの参加もしている。このように、全校生徒がボランティア活動を通して、学校や社会に貢献していくことで、自己有用感が高まり、一人一人の存在の大きさに気付くことにつながった。

ウ 保護者や地域への啓発を通して行う人権尊重の意識高揚
(ア)人権・同和教育講演会
令和3年6月19日、本校にハンセン病問題に取り組まれている方をお招きし、「私とハンセン病問題」と題してハンセン病の歴史や差別をなくすための活動についての実践等を話していただいた。講演後は本校の卒業生2名が、西中在学時に訪れた国立療養所大島青松園で感じたことや、差別をなくしたいという強い思いを在校生に力強く語り掛けた。
講演会後に生徒が書いた感想には、学級担任が丁寧に言葉を紡ぎ、学級通信などを通して家庭への啓発に繋げた。また人権・同和教育便り「共に生きる」にも保護者の感想を掲載し、全校で一丸となり差別をなくしていくのだという意識を共有することができた。


(イ)西中人権の日
愛媛県の差別をなくする強調月間に合わせ、本校でも「西中人権の日」として人権参観日を開催し、人権教育の実践を保護者に公開している。今年度は12月9日に人権劇と人権集会を全校生徒が体育館に集い、保護者に参観していただきながら開催した。
3年生は総合的な学習の時間に「地域の未来を考えよう~人権・環境・福祉~」というテーマに対する探究学習を3つの講座に分かれて学習している。その中の人権班が、人権劇を通して人権について全校で考える集会を毎年行っている。今年度はスクールカーストを主題に選び、タイトルを「where am I ~勇気を出して~」に決定した。昨年度に引き続き、新型コロナ感染症対策のため、劇による発表ではなく、ビデオ収録での発表とした。台本作成、撮影、編集、当日の司会進行は全て人権班が行い、西中人権の日の当日は、ビデオ上映と意見交換という流れで進めた。ビデオ上映後、全校生徒で行った意見交換では、どの生徒の感想からも自分のこととして考えを深めたことが伝わってきた。また、役者からの感想発表もあり、他人事ではなく自分事としてより一層深く考えることができたように感じた。参観授業と人権集会の後には学級別保護者懇談を行い、参観授業や人権劇の内容に絡めた生徒の実態や保護者の願いなどを共有することができた。また保護者アンケートを実施し、参観授業や人権劇についての意見を聴取した。その内容は人権・同和教育便り「共に生きる」で家庭・地域へ発信し、啓発や人権教育の改善に役立てている。
例年は近隣小学校の生徒が来校し、人権劇を一緒に見て意見交換を行っている。しかし令和2・3年度は新型コロナウイルス感染対策のため小学生が来校できなかった。そこで、人権劇のDVDを小学校に送り、小学校で鑑賞してもらうことで、人権侵害をなくしていこうという西中生の思いを発信した。小学生の感想も人権・同和教育便り「共に生きる」で西中生や保護者に伝え、互いに学び合うことができた。


また例年は校区文化祭と地区文化祭に出向いて、地域の中学生として、人権同和問題へのアンケートと「身元調査お断り運動」のステッカーの配布を行っているが、新型コロナウイルス感染対策のため活動できなかった。そこで、「西中人権の日」に参観に来られる保護者の皆さんに身元調査お断り運動のステッカーを配布した。

 

 

来年度の活動計画

SDGsにおける人権を次のようにとらえ、さらに活性化したい。

1 人間関係づくりと自己肯定感の育成
美術と音楽のワークショップを取り入れ、学校の新しい生活様式における話合い活動や発表の場を設定し、仲間と共に生活していくことの大切さと友人から認められる喜びを味わわせたい。
2 人権尊重の意識の高揚
他者を深く理解し、相手の立場に立った言動ができるようになるために、3年生の総合的な学習の時間における人権学習の取組から学んだことを全校に発信し、全校生徒の人権意識の高揚を図りたい。
3 差別をなくす側に立つこと
共に差別やいじめなどの不合理に立ち向かっていくことのできる生徒を育成するために、学習のあらゆる場面で「差別をなくす側に立つこと」を意識させたい。

取り組む人権課題
①女性 〇
②高齢者 〇
③障害者 〇
④同和問題 ◎
⑤アイヌの人々
⑥外国人 〇
⑦-1HIV感染者等
⑦-2ハンセン病患者等 〇
⑧刑を終えて出所した人
⑨犯罪被害者等
⑩インターネットによる人権侵害 〇
⑪北朝鮮当局による拉致問題等
⑫性的指向、性自認
⑬ その他(コロナ差別) 〇
なお、新型コロナ感染症対策のため、直接具体的に連携することが困難である場合も考えられる。