2022年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, 減災・防災, 環境, 文化多様性, 世界遺産・無形文化遺産・地域の文化財等, 人権, 持続可能な生産と消費

「生徒が主体となるユネスコスクール活動を目指して」

1.はじめに

本校は2006年からESDの理念に基づく学校づくりを標榜し、学校の教育活動全体でESDを具現化するべく取り組んでいます。2008年にユネスコスクールに加盟し、大学とその3附属校園全てがユネスコスクールであるという全国的にもユニークな存在となっています。生徒に、自主・自立・自治の力を育むことを旨とし、生徒が主役の学校づくりをおこなっていることに加えて、2021年から創設したユネスコクラブにおいても、生徒の主体的な活動を尊重し、その活動を学校全体で共有し、生徒が主体のユネスコスクールとするためのリーダーを育んでいきたいと考えてます。

2.今年度の取り組み

①ユネスコクラブの活動の本格化
昨年度春に、本校でのユネスコ活動の中心となるべく、ユネスコクラブを創設しました。現在の部員は15名です。他の部活動とも兼部でき、負担感を軽減し、緩やかに身近な活動や楽しい活動から始めて、一般生徒のESDへの関心を引くようにしながら、少しずつ学校全体にユネスコ活動の輪を広げていってくれています。またこの活動は、奈良教育大学にあるユネスコクラブの学生の支援も受けて行っており、さらに連携を深めていいければと考えています。
(1)アースデイ奈良への参加
・奈良公園の会場に出向き、クラブの活動や学んだことについて発表しました。発表後には奈良市長とも対談し、「ESDについて学べる施設を作ってほしい」とお願いをしました。ごみゼロイベントや環境に優しい素材を使ったブースについて知り、他の同様の活動を推進する人々とも繋がることができて心が温かくなるのを感じました。

  

(2)Tシャツエコバッグづくり
・昨年に引き続き、古着のTシャツを用いてエコバックを作成しました。作品を校内に展示して他の生徒たちにもエコへの関心を高めてもらうようにしました。

(3)牛乳パック紙漉き
・他の団体との交流の際に使用する名刺を作成するために、その元になる紙を牛乳パックから作りました。保護者にも参加していただいて紙漉きを行いました。

(4)アクアポニックスの設置
・水耕栽培と養殖を掛け合わせた次世代型の循環型農業技術であるアクアポニックスを簡単に再現した水槽を校内に2つ設置しました。メダカを飼い、飼育水で植物を育てる仕組みになっています。

  

(5)和歌山での化石発掘と防災学習
・江戸末期の安政南海地震の際に起こった大津波で、多くの人々を救った「稲むらの火」について学び、防災学習とESDのつながりを意識するようになりました。

  

(6)森林生態系から考えるESDワークショップへの参加
・自然環境の保全や野生動物と人との関係のあり方を学ぶために、奈良県の大台ヶ原に1泊2日で出かけました。翌日は黒滝村で林業体験をし、巨木の伐採にも立ち会うことができました。

(7)奈良文化財研究所バックヤードツアーへの参加
・奈良文化財研究所と共同で行った学習プログラムです。数日前に実際に地面から掘り出された貴重な瓦の破片を水で洗うなどの作業に参加させていただくことができました。

  

(8)文化の森(文化祭)でのユネスコクラブの展示
・文化系クラブの発表を一堂に会して行う「文化の森」で展示発表を行いました。不要なダンボールや包装紙を利用して巨大な「生命の樹」を作成しました。

  

(9)ユネスコスクール学校間交流プログラムへの参加
・奈良市主催の世界遺産ユネスコスクール交流事業に応募し、福岡県宗像市立玄海中学校とオンラインで交流する機会を持ちました。互いの学校紹介やESD活動について発表を行い、遠く離れた学校ともオンラインで繋がって交流学習ができることを改めて実感しました。

  

(10)奈良市「あつまれエコキッズ」への参加
・奈良市主催のイベントに参加し、私たちはAR地球儀を用いてSDGsを学べるブースを展示したり、生物多様性の意義について伝えるためのワークショップを行ったりしました。多くの方に見学してもらえました。

(11)アクサ・ユネスコ防災減災プログラムへの参加
・奈良の文化財に対する防災・減災について学ぶプログラムに参加しました。初日は、実際に東大寺に出向き、防災への取り組みについて学習し、翌日は奈良市南消防署で模擬仏像を用いた仏像避難訓練を体験しました。

  

②その他の活動
例年と同様に、地域をフィールドとし、人々と出会いながら地域の課題を学ぶ1・2年生合同奈良めぐり、奈良教育大学主催のESDティーチャープログラムへの参加、附属幼稚園とのコキアによる共同での手箒作り、アクサ・ユネスコ防災減災プログラムへの参加、生徒用机の天板を奈良県産材のものに保護者と共に手作業で交換するプロジェクトなど、ESDにかかわるプログラムを年間を通して実施しました。

来年度の活動計画

引き続き、学校のどの教育活動においてもESDに取り組む「ホールスクールアプローチ」を進めていきたいと思っています。また、来年度からは、これまでの沖縄での平和学習に代わって、新たに、熊本県水俣市をフィールドとして、公害問題、環境保全や人権、人々の努力などを中心として学習する修学旅行を開始する予定です。水俣での学習を通じて、地域の実情や課題を知る段階で終わるのではなく、さらに具体的に自分たちで何ができるかを考え、実際の行動に移していくことまで追求するような活動にしたいと考えています。また来年度は、幼小中の3附属校園において、12年間を通して一本筋の通ったESDカリキュラムを設定できるよう、取り組みを進めていきたいと考えています。