2021年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

減災・防災, 環境, 国際理解, 福祉, グローバル・シチズンシップ教育(GCED), その他の関連分野

本校は、全校230名ほどの小規模校である。ESDを特色ある教育活動に位置づけ、2012年からユネスコスクールとして教育活動を推進してきた。

学校教育目標を『健康でたくましい子ども』『よく考え最後までやりぬく子ども』『仲良く助けあう子ども』とし、2020年度からは、オランダのイエナプランのコンセプトを取り入れ、異年齢集団の活動を通して、社会性や、コミュニケーション能力を育む教育実践を開発している。

自ら考え、自ら課題をもち、自分の問いを解決するために、学級だけでなく、異年齢グループでの意見交換も取り入れていく体験を増やすことに取り組んできた。2020年度、2021年度は、低学年、中学年、高学年ごとの異年齢集団をグループに分けた。一人の教員が、22名ほどの集団を担当し、生活科と総合的な学習の時間に主体的な活動を仕組んできた。その際、イエナプラン教育の【ワールドオリエンテーション】の発想を取り入れてみた。

また、モジュールの時間には、15分でできる国語学習を全校で一斉に実施し、コミュニケーション能力の土台である言語活動を活発にするためのエクササイズや、サークル対話などを盛り込み、人間の社会で生き抜くための基本的な資質能力を追究している。

1 人間理解のための学びの機会を増やす=多文化理解に関わる活動

イエナプランのコンセプトを参考にし、中里レインボープランと称し、異年齢集団を形成して学習環境を整えた。

異年齢集団をファミリーグループと呼び、毎週木曜日は原則的には、生活科・総合の時間とし、全校的に探究活動をすることとした。

高学年ファミリーグループの活動  日本の文化との違いについて探究学習を行い、調べたい国を決め、グループでまとめた上で、プレゼン発表を行った。最終的には、下学年に知らせる活動としての発表会を開催し、下学年の学習の成果も見た上での交流を楽しむ活動を繰り広げた。

中学年ファミリーグループの活動  防災教育の一貫で、安全マップ作成のプロセスを3年生と4年生のグループで行い、協働して一つの物を作り上げる達成感や、発表をして、相手に伝える達成感を味わう学習を行った。

低学年ファミリーグループの活動  身近な物を使って楽器を作ろうという活動で、上学年に向け、発表をした。いろいろな音を発見することで、感性を研ぎ澄ませるきっかけづくりができた。

2 食育に関わる活動

月に1回以上【世界の食事】【日本の郷土料理】を献立に組み入れている。世界の給食、日本の郷土料理のメニューも年々増え、バラエティーに富んだ給食を提供することにより、世界の食に興味関心をもち、自らの食の豊かさを求める姿勢を育てている。また、各地方の特産物や、調理法から、文化に対する興味関心を深めた。栄養士の働きにより、掲示物や、昼の放送等で紹介する食への知識は、貧困な国の子どものことや、気候による作物の実り方の違い等にも気づくことができ、社会科や理科、総合的な学習の時間の学習への問題意識をもつ学びとなっている。

1年生は、とうもろこしの皮むき、えんどう豆の鞘取り、2年生は、野菜の学習、4年生は、八丈島の魚を捌いたり、味比べをしたりする学習、5年生は、鰹の一本釣りや水産業の学習、等、ゲストティーチャーを招いてのスペシャル授業を実施している。

3 環境に関わる学習

4年生は、『浜の母さん』による八丈島の自然についての学習で、トビウオや鯵をさばくことで、魚料理や、栄養について関心をもち、生活の中で、その学習を生かすことで、伊豆七島についての環境問題などを知り、自分はどうしたらよいかを考える学習をしている

また、『海の落語』という授業では、ゲストティーチャーが、落語を通して海の環境汚染の実態と、次に自分たちが何をしたらよいかを考えることをしている。ファミリーグループによる総合的な学習の時間での課題把握(自ら問いをもつ)ことに関連させて、様々な場面で、環境について考えるきっかけを与えている。

4 本物に触れる体験

伝統的な文化芸能、日本の文化への理解を目標に、文化庁や東京都、地域の方による本物体験を多様に授業に取り入れた。

東京フィルハーモニー交響楽団、日本奇術協会、手話劇団の方、夢の教室等、文化芸術のコンサート、舞台、アスリート自身の体験談等を授業に取り入れ、感性を育む本物体験を充実させる努力をした。

来年度の活動計画

令和2年度の『ESDカレンダー』を見直し、全教職員共通理解を図り、令和4年度は、ファミリーグループの活動を入れたカリキュラムマネジメントを実現する。『ESDカレンダー』を学校・地域・保護者が知っていて、さらに新しいアイデアを加筆修正していくPDCAを確立する。

1 ファミリーグループによるSDGsカリキュラムの実現=環境教育  食育  体力向上への取組

6月 教職員のSDGs研修  ファミリーグループごとのSDGs研修  自分の問いをもつ  グループのリレーション形成

7月まで  探求型の学習を展開

教職員、児童の振り返りから、2学期以降の見通しをつくる

2 SDGsとは何かを理解し、自分の考えや、問いをもち、協働する喜びを味わい、共に生きる人に自ら関わる心の素地をつくる

異年齢集団(3学年混合のファミリーグループ)で学ぶ体験  この学習を通して学級担任ではない教師と関わる体験

3 自由な思考を働かせ、問題解決を図る体験から、発想を広げたり、コミュニケーション能力を高める