2022年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

環境, 文化多様性, 国際理解, 平和, 人権, ジェンダー平等, 福祉, 持続可能な生産と消費, 貧困

本校は、「社会に奉仕するための資質を養う」を教育目標の1つに掲げている。その目標に基づいた教育活動を行う上で、ESD(持続可能な開発のための教育)を重要な学びと考えている。
ESDを本校における課題解決型探究学習の核と捉え、地域や国際社会の課題を自分のこととして考え、ESDの実践を行う中で、自分で考え、周りと協働し、主体的に行動することを通して、課題を解決に導く力を育成し、広く社会に奉仕する担い手を育むことを目標としている。
2020年度以来、新型コロナウイルス感染症対策のため、教育活動が十分に行われず、特に交流面での制約から、リモートや校内での学習が中心になっていたが、今年度に入り少しずつではあるが、感染症対策を講じながら取り組み始めることができた。また、昨年度まで2年間にわたり、オリンピックパラリンピック教育推進事業の指定校となり、パラスポーツを題材に「障がい」や「共生社会」について引き続き校内で学んでいる。
2022年度もこれまでの方針を継続し、「地域や社会とのかかわり・人とのつながり」を柱に、①地域の課題解決に係わる活動、②国際交流・異文化理解に係わる学習を計画し、これまでの取り組みを再構築していくことを目標とした。
また、地域や企業、NPO等と連携し、SDGsの実現に向けた具体的行動を「キャンパスSDGs」の取り組みとして広げていこうとしている。生徒会の「ユネスコスクール特別委員会」が中心となり、SDGsへの理解を深めながら、全校の意識を高めるべく啓発活動にも取り組んでいる。

①地域の課題解決に係わる活動
□地域を知る活動の実施
地域の歴史・伝統・状況等を調べ、地域の課題を知り、自分たちができることを探るために、1年生全員が長野市内で地域の産業を支えている企業に取材・見学に行き、30余りの企業や公共団体についてグループで担当し、企業の強み・課題・提案等を考え、プレゼンテーションを行った。また、生徒会ユネスコ委員会が有志とともに、過疎が進む長野市西山地区で拡大する竹林を有効活用する「竹紙プロジェクト」を、市内の企業の協力を得て取り組み始めた。高校生目線でのアイデアを形にしていくことを期待されている。SDGsは世界規模だけでなく、地元の身近なところでの取り組みでもあることを再認識し、課題解決に向け自分たちにできることを模索している。
□文化祭における全校活動
地域や社会に対して発信する企画として、「届けよう、服のチカラプロジェクト」を今年度も企画した。ユネスコ委員会が中心となり、着ることができなくなった子供服を回収し、服を必要としている難民キャンプなどの子どもに送るというユニクロの企画に参加した。事前学習として世界の貧困の状況を学び、途上国の子どもの境遇を考えるきっかけになるとともに、服を送ることがどのような国際協力になるのかといった学びを深めていった。また「アルクマとポラロイド写真をとろう」という企画を初めて実施した。長野県のゆるキャラであるアルクマと写真を撮って展示していくものであるが、来客者の笑顔があふれ、地域の振興について考えるきっかけとして大きく貢献した。

②地域と連携した活動
□スポーツレストラン
スポーツレストランとは、3年生の選択体育の受講生徒が店員となり、様々なニュースポーツをメニューとして提供し、地域の皆様にスポーツを楽しんでいただけるように公開している授業である。一緒に取り組める日のためにニュースポーツやパラスポーツを中心にメニューを考え地域の方々と交流を深めた。
□地域の方々と一緒に行う防災訓練
全校で防災訓練を実施するとともに、避難所となっている本校周辺に住む方々にも避難訓練に参加していただく予定であったが、密を避けるために実施することが出来なかった。
□ボランティア活動
例年積極的に地域に出てボランティア活動を行っているが、今年度は新型コロナウィルス感染症拡大で地域に出られなかったため、書き損じはがきを集めたり、フェアトレードチョコを販売したり、募金活動などの活動を行った。
落葉や積雪の際には、生徒会や運動系クラブの生徒が中心となって、学校周辺の落ち葉履きや雪かきを行い、地域に貢献する活動を行っている。
開かれた学校づくりを行うとともに、地域について学び、地域が必要としていることを考え、行動に移すことで、社会に奉仕する心の育成につながっている。
□生理用品無償配置の取り組み
長野市内のNPO法人の、困窮・孤立支援の取り組みを一緒に行い、女子トイレに生理用品を無償設置する活動を行っている。取り組むにあたり、困窮・孤立するひとり親家庭の親子の食を守りながら関係性を築き、孤立を防ぐことの意義を学んだ。次にできる行動を考えている。

③国際交流・異文化理解に係わる学習
□善光寺ガイド研修
国際教養科1学年を対象に善光寺ガイド研修を実施した。長野県通訳ガイドネット会員の方2名を招き、実際に自分たちでガイドする時のことをイメージしながら、熱心に取り組んだ。身近な善光寺について新たな発見があったり、どのような英単語を知っていると良いか、ガイドする際に気を付けるべきことを学んだりすることができた。ガイドのテクニックと日本文化を英語で捉え直すきっかけとなった。
□ワールドフェスタ
国際教養科1年生が「ワールドフェスタ in 長野2022」において、「クイズで世界を知ろう」というブースを出し、クイズを通して来場者に国際理解を深めてもらう取り組みを行い、日本語・英語で外国の人々と交流した。
□外務省高校講座
モルディブ大使竹内みどりさんに異文化交流についての話を伺った。職場(外務省)での女性の活躍等について話された際に「前例にとらわれず、あなたがロールモデルとなりなさい」という強いメッセージを受け、社会の現状に目を向けるとともに自らの未来について考えるきっかけとなった。

③その他
□平和活動
有志によるウクライナ侵攻反対行進や募金活動を行い、学校の枠を超えて学生や大人たちと世界のために行動する意識が高まった。

来年度の活動計画

ユネスコスクール認定7年目となる。生徒会のユネスコスクール特別委員会が中心となって「SDGsタイムズ」を発行し、イラストを使ってSDGsの目標を分かりやすく解説し、SDGsへの意識を高める活動を行っている。2023年度はこれまでの取組みを発展させ、地域やNPO等と連携し、SDGsの実現に向けた具体的活動をユネスコスクールとして実践し、広い視野で主体的に課題に向かえる学びを実現したい。
また、本校の取組みの成果として、学校の枠を超え、NPOや長野市等の自治体の取り組みに積極的に参加し、自らの課題を持って活動する生徒も出てきている。
国際教養科を中心とした国際交流事業や、校内ですでに実施している様々な活動が、SDGsの実現に向けたESDであることを認識し、校内の様々な活動を有機的に結び付け、地域や様々な組織と連携して学校全体として組織的にESDの活動を実践していくことを計画している。