2021年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

環境, 文化多様性, 国際理解, 平和, 人権, ジェンダー平等, 福祉, 持続可能な生産と消費, 貧困

2021年度活動の概要

本校は、「社会に奉仕するための資質を養う」を教育目標の1つに掲げている。その目標に基づいた教育活動を行う上で、ESD(持続可能な開発のための教育)を重要な学びと考えている。

ESDを本校における課題解決型探究学習の核と捉え、地域や国際社会の課題を自分のこととして考え、ESDの実践を行う中で、自分で考え、周りと協働し、主体的に行動することを通して、課題を解決に導く力を育成し、広く社会に奉仕する担い手を育むことを目標としている。

昨年度は新年度間もなく休校が続き、その後も感染症対策のため特に交流面で制約があったため、リモートや校内での学習が中心になってしまい、実施できたものは「天の河プロジェクト」でフードドライブ、ワールドギフト、ライトアップ等の取り組みであったが、医療従事者や困窮する人を支援しようと主体的に取り組みその先の行動を考えることができるようになった。また、昨年度から2年間にわたり、オリンピックパラリンピック教育推進事業の指定校となり、パラスポーツを題材に「障がい」や「共生社会」について学んでいる。

2021年度もこれまでの方針を継続し、「地域や社会とのかかわり・人とのつながり」を柱に、①地域の課題解決に係わる活動、②国際交流・異文化理解に係わる学習、③伝統文化に係わる学習を計画し、昨年度の取り組みを拡大することを目標とした。

また、地域やNPO等と連携し、SDGsの実現に向けた具体的行動を「キャンパスSDGs」の取り組みとして広げていこうとしている。生徒会の「ユネスコスクール特別委員会」が中心となり、SDGsへの理解を深めながら、全校の意識を高めるべく啓発活動にも取り組んでいる。

 

(1)地域の課題解決に係わる活動

①地域を知る活動の実施

地域の歴史・伝統・状況等を調べ、地域の課題を知り、自分たちができることを探るために、1年生全員が地域を歩き、コロナ禍にあえぐ飲食業に従事する関係者へのインタビュー等を行い、PR動画を作成し公開した。また、国際教養科の1年生は、グループごとに地域の子ども食堂や養鶏場等SDGsに取り組む諸団体を訪ね、地域に根差したSDGsの理念を学び、課題を見つける活動を行った。2年生は一人暮らしの大学生に日用品を寄贈する取り組みや、文房具、生理用品等を集めて寄贈する取り組みを行った。3年生も地域の食品等の生産者を支援する取り組みを通して、地域に貢献できる行動とは何かを考え実践する活動を行うことができた。

 

②文化祭における全校活動

地域や社会に対して発信する企画として、「アンブレラスカイ」「フードドライブ」「届けよう、服のチカラプロジェクト」を企画した。「アンブレラスカイ」はコロナ禍でうつむきがちな人々が、空を見上げるようにさまざまな色の傘を300個ほど中庭に吊り上げ装飾し、来場者を楽しませた。「フードドライブ」は生徒、保護者、近隣の住民などから食品を寄贈していただき、フードバンク信州へ届ける活動を行った。まだ安全に食べられるにもかかわらず、捨てられてしまう食料を集め、支援を必要としている方に提供するフードバンク活動に参加することで、「持続可能な生産と消費」、「貧困」、「人権・平和」等を考えるとともに、共生社会の必要性についても認識することができた。「届けよう、服のチカラプロジェクト」ユネスコ委員会が中心となり、着ることができなくなった子供服を回収し、服を必要としている難民キャンプなどの子どもに送るというユニクロの企画に参加した。事前学習として世界の貧困の状況を学び、途上国の子どもの境遇を考えるきっかけになるとともに、服を送ることがどのような国際協力になるのかといった学びを深めていった。

 

(2)地域と連携した活動

①スポーツレストラン

スポーツレストランとは、3年生の選択体育の受講生徒が店員となり、様々なニュースポーツをメニューとして提供し、地域の皆様にスポーツを楽しんでいただけるように公開している授業である。一緒に取り組める日のためにニュースポーツやパラスポーツを中心にメニューを考え地域の方々と交流を深めた。

 

②地域の方々と一緒に行う防災訓練

全校で防災訓練を実施するとともに、避難所となっている本校周辺に住む方々にも避難訓練に参加していただく予定であったが、密を避けるために実施することが出来なかった。その代わりに地域の区長を招き、地域の災害の歴史や人々がどのような防災意識に基づいた行動をしてきたのかを話してもらった。

 

③ボランティア活動

例年積極的に地域に出てボランティア活動を行っているが、今年度は新型コロナウィルス感染症のため地域に出られなかったため、書き損じはがきを集めたり、フェアトレードチョコを販売したり、募金活動などの活動を行った。

落葉や積雪の際には、生徒会や運動系クラブの生徒が中心となって、学校周辺の落ち葉履きや雪かきを行い、地域に貢献する活動を行っている。

開かれた学校づくりを行うとともに、地域について学び、地域が必要としていることを考え、行動に移すことで、社会に奉仕する心の育成につながっている。

 

(3)国際交流・異文化理解に係わる学習

①国際教養科1学年を対象に善光寺ガイド研修を実施した。長野県通訳ガイドネット会員の方2名を招き、実際に自分たちでガイドする時のことをイメージしながら、熱心に取り組んだ。身近な善光寺について新たな発見があったり、ガイドする際に気を付けるべきことを学んだりすることができた。

また、「アートマイル国際協働学習プロジェクト」により、ベルギーの高校との交流を行っている。台湾(台北市)の高校で日本語を学んでいる生徒たちとの交流(リモート)も実施した。大人数での交流ではあったが、日本文化に興味を持つ生徒も多く、活発にやり取りが行われた。発信することに重点を置いた取り組みであった。

 

(4)伝統文化に係わる学習

・1学年の探求学習として、信州(長野県)の歴史、文化、伝統、地域のすがたや課題を再発見し、SDGsと関連させながら、さらに深く追及し、自らの知識で何ができるのか、地域とどう関わっていくのかを学ぶ活動として、信州学のレポート・動画を作成し、信州の魅力や課題についての理解を深めることに取り組んだ。

 

 

来年度の活動計画

2022年度の活動計画

ユネスコスクール認定6年目となる。生徒会のユネスコスクール特別委員会が中心となって「SDGsタイムズ」を発行し、イラストを使ってSDGsの目標を分かりやすく解説し、SDGsへの意識を高める活動を行っている。2022年度はこれまでの取組みを発展させ、地域やNPO等と連携し、SDGsの実現に向けた具体的活動をユネスコスクールとして実践し、広い視野で主体的に課題に向かえる学びを実現したい。

また、本校の取組みの成果として、学校の枠を超え、NPOや長野市等の自治体の取り組みに積極的に参加し、自らの課題を持って活動する生徒も出てきている。

国際教養科を中心とした国際交流事業や、校内ですでに実施している様々な活動が、SDGsの実現に向けたESDであることを認識し、校内の様々な活動を有機的に結び付け、地域や様々な組織と連携して学校全体として組織的にESDの活動を実践していくことを計画している。