2019年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

環境, 国際理解, 平和, 人権, 福祉, 持続可能な生産と消費

本校は、「一人ひとりを生かす教育の創造」を教育目標として、ESDの実践を通して系統的・継続的に、「自ら考え、行動できる力の育成」に取り組んできた。
具体的には、地域学習、人権学習を柱として、①農業体験に係わる活動、②国際理解に係わる学習、③出会いから学ぶ学習、④安心安全な学校づくり などを行った。
① 農業体験に係わる活動

本校の校区は古くから農業の盛んな地域にある。本校では以前から地域の伝統文化の学習や稲作体験を通じて、環境問題や地域の環境保全を考える学習に取り組んできた。米作り体験は、三宅地区土地改良区の協力を得て、5年生が中心となって取り組んだ。田んぼの草抜き、田植え、かかしづくり、稲刈り、脱穀、収穫祭、しめ縄づくりなど、年間を通じて米作りに関わった。収穫したお米は、中学校区の「いきいき交流フェスタ」や、松原市の地産地消フェア「まつばらマルシェ」で配布し、大好評をいただいた。また、校区内の神社で行われる「とんど祭り」では、地域青年団のみなさんの協力により雑煮やきなこ餅にして食べていただいた。取組を通じて農作業の苦労や収穫の喜びなどを知り、身近で具体的な食育や環境教育の教材となっている。

他学年も、5年生の活動を見学し、れんげ摘みやトマトケチャップづくり、土地改良区の会館内に展示されている農機具の見学など、取組を積み重ねている。地域の方々とのふれあいの中で、昔からいろいろな工夫を重ねてこられた農家の方々の智恵や、現在の便利な道具・機械などにふれて、地域への愛着心が育っている。

② 国際理解に係わる学習

松原市では外国語・外国語活動の学習に英語指導協力員やALTを派遣し、教員と協働で英語学習に取り組んでいる。本校ではその集大成として、6年生で「ナラクエスト」と題して取り組んでいる。今年は5月16日に奈良公園への遠足の行程で行った。外国からの観光客へ英語でインタビューをし、コミュニケーション活動を体験した。事前準備では、英語での質問を練習する時に、ALTや英語指導協力員から大きな支援をいただいた。当日も、児童は初めての人へ声をかけたり、質問への答えを聞き取ろうとしたり、お礼の品物を渡すなど、短時間でも貴重な経験や学びを得ることができた。

また、5年生の農業体験でも、近隣の阪南大学から留学生に参加してもらい、共に体験し交流する場面をもっている。中国を中心とした留学生の方々と、共通体験をした一体感の中で、楽しい交流の場となった。

③ 出会いから学ぶ学習

本校は創立146周年をむかえる学校で、古くから校区におられる地域の人々と、密接な関わりの中で子ども達を見守り育ててきた。校区老人会の「きらく会」は、毎日の登下校時の見守り活動や、集団下校時の付添、学年との交流活動など、様々な場面で関わって下さっている。2学期の終業式には全校で「感謝の会」を開き、お礼の気持ちを伝えることができた。また、1年生が遊び交流会を行い、身近なところに自分たちを見守って下さっている人の存在を知ることができた。3学期には3年生とも交流会を実施する。

介助犬トレーナーとユーザーの方から、障がいのある人の暮らしや思いを知る学習も例年実施している。今年度は11月19日に「障がい理解学習」として1,2年生がお話を聞いた。介助犬がどんな仕事をしているのかを知ることで、障がいのある人がどんなことに困っているのかを知り、自分たちが介助犬を連れている人と出会ったときにはどのようにすれば良いのかなどを考える貴重な機会となった。また、3,4年生では10月9日に、盲導犬のトレーナーやパピーウォーカーからお話を聞き、介助犬を育てる苦労や介助犬の必要性などを学んでいる。

6年生は、修学旅行に向けた平和学習の一環で、10月15日に戦時中の大阪の様子についてお話を聞く機会をもった。食べ物や着る物・道具など、今とは大きく異なっている様子を、当時使っていた道具を再現し見せていただくことで、イメージをもって聞くことができた。修学旅行当日(11月8日)にはヒロシマで被爆者の方から体験を聞き、戦争・原爆の悲惨さと平和の大切さを実感し、全校への報告会で一人ひとりが自分の学びを振り返る機会となった。
 その他、様々な出会いの場を取り入れた取組を実施しているが、いずれも児童の成長段階に応じためあてをもって、ていねいな振り返り活動を行うことで、児童の学びへとつながっている。
④ 安心・安全な学校づくり

今年度は、平成29年度より取り組んでいる「インターナショナル・セーフ・スクール(ISS)」の国際認証取得にむけた最終審査の年であった。ケガの件数や場所・種類の記録を残し、ケガの原因を環境面、行動面の二つの側面から分析し、ISS児童委員会を中心に「自分たちにできること」を考えて子ども達が主体的に活動した。取り組んだ結果、児童は「環境面よりも行動面に課題が大きい」ということに気づき、呼びかけをくふうしたり、雨の日の安全な遊び方を教えてあげるなどに取り組んだ。ケガの件数も減っていくとともに、児童自身の安全に対する意識の高まりや自主性の向上が顕著に見られた。

来年度の活動計画

令和2年度も、地域学習、人権学習を柱に、これまでの取組をさらに積み重ねていく。児童の状況に応じて内容の修正も柔軟に行いながら、目標をしぼって取組を継続することで、学年が上がるごとに学びを積み重ねていけることに、大きな意義がある。

また、「インターナショナル・セーフ・スクール(ISS)」の国際認証をうけ、さらに取組の検証と再構成を行っていく年でもある。自分たちにとっての安心安全な学校づくりにむけて、校区の小・中学校ともさらに連携しながら、子ども達が主体的に取組をつくっていく中で自己有用感や自己肯定感をさらに育みたい。