2022年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

減災・防災, 気候変動, 環境, 人権, 福祉, 持続可能な生産と消費, 健康, 食育

本校では,ユネスコスクールとして,ESDの推進を実践している。ESDのねらいを「SDGsや障害者福祉,地域交流学習,防災学習に対して,自ら課題を見付け課題解決に向けた活動を計画・実施することにより,持続可能な社会を創造していくための新たな価値観や能力を身に付ける。」と設定した。ESDの実践を通して, 情報の読解力,批判的思考力,自己決定の力,科学的思考力,挑戦する力,協働して価値を生み出す感性と志といったコンピテンシーの育成を目指している。

3学年では,総合的な学習の時間において,今年度も個人毎に探究的な学習を進めた。Will(自分が関心のあること),Can(実現可能なこと),Need(社会や地域で求められていること)について考え,日常や社会の事象に対し問題意識を持ち,自ら問いを立てた。年度始めのオリエンテーションにおいて,SDGsやSociety5.0について知ったり,探究学習コーディネーターから問いの立て方について助言してもらったりする活動を通して,生徒の学ぶ意欲や活動への関心を高めた。生徒が立てた問い(課題)には「幼い子どもに気仙沼のことを伝えるにはどうしたら良いか」「ポイ捨てされるごみを減らすためにはどうすれば良いか」「カルタで気仙沼の魅力を伝えるには」「震災の風化を防ぐためにはどうしたらよいか」など,地域貢献や社会問題,環境問題を意識したものが多く見られた。生徒たちは課題解決のために,アンケート調査や公共施設へのインタビュー, フィールドワークなどを進んで行い,必要な情報を積極的に収集した。また,収集した情報を比較・分類したり,関連付けたりすることで,根拠を踏まえて,考えを主張することができるようになった。まとめについては,12月の授業参観日にポスターセッション方式で発表を行った。課題解決に向けて実践したことや提言などを,保護者や探究学習コーディネーター,級友の前で堂々と発表した。振り返りでは,成果と課題を明確にし,新たな課題の発見へつなげようとする生徒がいた。

2学年では,気仙沼市内にある企業の中から,生徒に希望を取り,11月に職場体験を3日間実施した。職場体験で学んだ「働きがい」や「働くことの大切さ」を,タブレット端末に入っている学習アプリ「ロイロノート」でまとめ,保護者の方々の前で発表した。地元を支えている産業について学ぶ活動を通して,今後の進路選択へ向けた自己決定の力や,挑戦する力を高めた。

1学年では,地域福祉の学習を行った。地域の障害者福祉(気仙沼支援学校),社会福祉(松岩公民館),児童福祉(赤岩児童館),高齢者福祉(地域包括支援センター)に従事している方々を講師に迎え,福祉には様々な種類があることを知ることから探究的な学習をスタートした。その後,生徒それぞれが興味のある福祉を選択し,「○○福祉×△△(例:交流,ICT機器,スポーツ,外出,暮らしやすい町,支援など)」を考えさせた上で,個々の問い(テーマ)を決定した。生徒は,調査活動やフィールドワークを通して学んだことを踏まえ,まとめ活動や,気仙沼支援学校との交流会を実施した。学習の成果などは,学習アプリ「ロイロノート」や「Key Note」を活用し,保護者や同学年の生徒たちの前で堂々と発表することができた。福祉について考え,体験的な活動を通して,協働して価値を生み出す感性が芽生えた。

来年度の活動計画

今年度の活動をベースに来年度も教育活動を実践する予定である。来年度も,総合的な学習の時間と各教科の時間との関連について生徒自身が気付いたり,考えたりできるようにより工夫をする計画である。どの学年でも,更にフィールドワークの回数を増やし,より実体験を踏まえたまとめや発表を目指す。また,夏休みや秋休み中にも自分で,フィールドワークや実験を行う機会を設けるなどして,一層実践を基にした探究的な学習を展開する。同時に,「地球規模で考え,地域で行動する」ことにも目を向けさせ,地域での活動が,後に地球的な課題や世界的な問題の解決につながっていることも意識させながら,学習に取り組ませたい。また,思考ツールを用いた意見交換や話合い活動を行う機会を設けるなどして,持続可能な社会の担い手に必要とされる「自己決定の力」,「情報の整理・分析や他者と協働して,新しいものを創造していく力」,「新しい価値を生み出す志」を育みたい。以上のことを踏まえつつ,学校教育と社会のつながりを生徒たちが実感できるように,各単元や一単位時間の学習を通して「どのように学ぶか」「何ができるようになるか」などを明確に意識した往還的な活動としていきたい。