2022年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

国際理解, 人権, 持続可能な生産と消費, その他の関連分野

活動の概要

本校は全国的にも数少ない公立女子高校として、校訓「より広く より高く」の下、約300名の生徒が在籍している。2021年4月より、学校名を皆美が丘女子高校に変更し、これまでの伝統を生かしつつ、松江市や大学・専門学校等と連携した「未来を創る学び」によって、これからの社会を生きていくための基礎力を備え、グローバルな視点で自分の未来と地域の未来をひらいていくことのできる生徒の育成を目標としている。

日々の学習活動においてはESDの視点を大切にし、単に知識の習得ではなく、習得した知識をどのように活用するかに視点をあてている。また、様々な活動を地域とともに連携して行う教育としてとらえ、ESDの実践を通して生徒の考える力、発信力の育成を目指す。

具体的には以下の3つの柱を置き、実践した。

 

Ⅰ「国際理解・人権教育」を柱にしたエイズに関する教育の充実

 

【2022.6月】校内での発表

生徒会執行部が行っているエイズ啓発活動を全校生徒を対象に発表した。発表の内容は

1)本校のこれまでの取組 2)AIDS/HIVとは 3)感染経路(性感染・血液感染・母子感染)

4)検査について 5)世界と日本のエイズの現状について 6)偏見と差別について

7)児童労働とフェアトレードについて である。

当日はAIDS/HIVに直面している人たちの生活が自分たちの生活にも関わっていることに気づき、自分に何ができるのかを考え、行動することの重要性を伝えることができた。

この活動は、生徒会に中心の活動ではあるが本校の生徒であればだれでも啓発活動できることが本来の姿である。在校生は本校の活動の柱を知り、理解し知識を深める機会となった。例年は体育館で全校生徒に対して行う活動であるが、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、各教室にてリモートで行った。

更に、12月に「四者の語らい」(学校関係者・保護者・地域・生徒会執行部)の中で、プレゼンを行うことで地域や保護者の方にも活動の様子を知ってもらうことができた。

 

【2022.11月・12月】エイズ啓発活動街頭活動

今年度は、事前に一緒に活動を行う松江市保健衛生課および国際ソロプチミスト松江の方々と顔合わせ会および勉強会を行った。世界エイズデーの前日の11月30日(火)、上記の方々と一緒にJR松江駅前で啓発活動を行った。通りかかる方々に「エイズは予防し、治療できる病気ですので、もっとエイズのことを知りましょう」と声をかけながらエイズ感染予防の付箋や手作りのレッドリボンの配布を行った。

 

Ⅱ「気づき・考え・行動する」を柱にした「まつえ学」の充実

教室の学びを基に、学びのフィールドワークを松江市に移し、SDGsに視点を置いた学習内容である。市立高校であるという長所を最大限に生かし、松江市の協力をいただくことで「より実践的な学び」の場を多く設定した。その結果、課題を自分事としてとらえて解決につなげていく視点の持ち方を学び、その視点を持ち、自己のキャリア形成につなげる仕掛けである。

 

【2022.6月】安部榮四郎記念館見学・紙漉き体験・熊野大社見学

出雲民芸紙を中心とした資料や作品・民芸・美術工芸品を見学し、松江市の伝統工芸品である出雲和紙の紙漉体験、および島根県指定文化財である熊野大社の見学を行った。

当日は、現地のガイドボランティアの方にも協力いただいた。分かりやすい説明を受け、自分たちの事前の学習を深めると共に文化遺産の尊重への学びへつながった。

【2022.9月・10月】朝酌地区について学ぶ

(圓流寺・東照宮、松江バイオマス発電、矢田の渡しの見学と体験)

松江藩主堀尾忠晴によって建てられた東照宮、その別寺である圓流寺が本校の敷地にあったことを地域講師の方から学んだ。松江バイオマス発電所では、豊かな山林がある島根県の特徴を生かして発電を行いCO₂排出削減に努めていること、「矢田の渡し」では風土記時代の昔から川の南と北を結ぶ渡し船として人々の暮らしを支えてきたことなど、校区である朝酌地区には、長い歴史、豊かな文化・産業があることなど体験を通して確認することができた。今後もこの学びを深め、地域を理解しようとする意識を高めていきたい。

Ⅲ「多文化共生社会に対応した国際的な言葉の学び」のための語学教育の充実

2年生国際コミュケーション科、3年生国際文化観光科、2年生普通科キャリアデザインコース 観光ビジネスエリアでは、英語だけではなく韓国語・中国語の授業を行うことで文化について実践的に学び、更に多様性を尊重する態度を育み、より高い視点でのキャリア教育に努めた。

【2022.11月】中国の学生とのオンライン交流会(1・2年生希望者)

松江市と友好都市連携を結んでいる中国の杭州第十四中学とのオンライン交流会では、互いの学校紹介や文化に関するクイズに加えて、学校生活や国のイベントに関して知りたいことを質問しあうことで、文化の共通点や相違点について確認することができた。お互いに分かりやすく説明することで異文化交流について興味関心を持つと共に、これからの学習へ更に意欲を持つことができた。

 

【2022.11月】English Day 2022(1年生)

1年生の本校のALTに加えて市内小中学校のALTにも来ていただき、グループに分かれて活動を行った。グループごとに作成したオリジナルストーリーを基に最後は劇を披露した。英語の台本を思考し、グループ内でコミュニケーションを図ることで学習にとどまらず、文化の多様性に繋がるよい機会となった。

来年度の活動計画

上記の3つの柱で活動を継続していく。

コロナ禍での懸案事項は本年度の活動内容のうちⅠに関して以下の通り。①~③を重点的に行う。

①市内小中高等学校へのエイズ啓発出張講座:市内各校へ出張講座実施の案内文を送付し、依頼のあった学校へ出張する。ここ3年間はコロナ禍であることから実施できていないので、コロナ禍でも実施できる方法を思考し、実施する。

②市内公民館、成人向けのエイズ啓発出張講座:市内公民館等への出張講座の案内文を送付し、依頼のあるところへ出張する。また、地域の祭りや文化祭などのイベントに参加することで、広く市民に啓発活動を行っていく。

③エイズ学習会:松江保健所より講師に来校していただき、エイズの現状について学ぶ。