2021年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

環境, 世界遺産・無形文化遺産・地域の文化財等, 人権, エコパーク, ジオパーク, グローバル・シチズンシップ教育(GCED)

本校は全国的にも数少ない公立女子高校として、校訓「より広く より高く」の下、約290名の生徒が在籍している。今年度4月より、学校名を皆美が丘女子高校に変更し、これまでの伝統を生かしつつ、松江市や大学・専門学校等と連携した「未来を創る学び」によって、これからの社会を生きていくための基礎力を備え、グローバルな視点で自分の未来と地域の未来をひらいていくことのできる生徒の育成を目標としている。
日々の学習活動においてはESDの視点を大切にし、単に知識の習得ではなく、習得した知識をどのように活用するかに視点をあてている。また、様々な活動を地域とともに連携して行う教育として、ESDの実践を通して自ら考え、発信していく力の育成を目指す。具体的には以下の3つの柱を置き、実践した。

Ⅰ「国際理解・人権教育」を柱にしたエイズに関する教育の充実

【2021.6月・7月】市の図書館にて活動内容をパネル展示
市の図書館の展示ブースに市民対象に本校が行っている上記活動のパネル展示を行った。昨年度の反省より、児童労働とフェアトレードに関する知識が浅いと感じたために、市場に出回っているフェアトレード商品の調査及び研究を行った。得た情報が単に知識としてとどまるだけではなく、そのことについて深く考え、発信していく力に発展した成果である。また、ここでのパネルは再度本校文化祭でも展示した。

【2021.6月・12月】校内での発表
生徒会執行部が行っているエイズ啓発活動を1年生と2年生を対象に発表した。発表の内容は以下の通りである。
1)本校のこれまでの取り組み       2)AIDS/HIVとは
3)感染経路(性感染・血液感染・母子感染) 4)検査について
5)世界と日本のエイズの現状について   6)偏見と差別について
7)児童労働とフェアトレードについて
当日はAIDS/HIVに直面している人たちの生活が自分たちの生活にも関わっていることに気づき、自分に何ができるのかを考え、行動することの重要性を伝えることができた。
この活動は、生徒会中心の活動ではあるが、本校の生徒であればだれでも啓発活動に参加できることが本来の姿である。在校生は本校の活動の柱を理解し、知識を深める機会となった。例年は体育館で全校生徒に対して行う活動であるが、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、各教室にてリモートで行った。
更に、12月に行われた「学校関係者・保護者・地域・生徒会執行部の4者の語らい」の中でも、プレゼンを行うことで地域や保護者の方にも活動内容を知ってもらう良い機会となった。

【2021.11月】エイズ啓発活動街頭活動
今年度は、事前に一緒に活動を行う松江市保健衛生課および国際ソロプチミスト松江の方々と顔合わせ会および勉強会を行った。世界エイズデーの前日の11月30日(火)、上記の方々と一緒にJR松江駅前で啓発活動を行った。通りかかる方々に「エイズは予防し、治療できる病気ですので、もっとエイズのことを知りましょう」と声をかけながらエイズ感染予防の冊子や手作りのレッドリボンの配布を行った。

Ⅱ「気づき・考え・行動する」を柱にした「まつえ学」の充実

教室の学びを基に、松江市を学びのフィールドとし、SDGsに視点を置いて学ぶ内容である。市立高校であるという長所を最大限に生かし、松江市の協力をいただくことで「実践的な学び」の場をより多く設定した。その結果、課題を自分事としてとらえて解決につなげていく視点の持ち方を学び、自己のキャリア形成につなげる取組とすることができた。

【2021.6月・7月】安部榮四郎記念館見学・紙漉き体験・熊野大社見学
出雲民芸紙を中心とした資料や作品、民芸・美術工芸品を見学し、松江市の伝統工芸品である出雲和紙の紙漉体験を行うとともに、島根県指定文化財である熊野大社の見学を行った。
当日は、現地のボランティアの方にも協力いただいた。分かりやすい説明を受け、自分たちの事前の学習を深めると共に文化遺産の尊重への学びにつながった。

【2021.9月】島根半島・宍道湖中海ジオパーク見学(桂島での漂着ゴミ回収作業を含む)
ジオパーク公認ガイドである山田先生を講師として招き、事前学習を行った。見学当日は、松江ビジターセンターでの展示学習をはじめとし、桂島では、漂着ゴミの回収を行った。日本ジオパークに認定されている場所をできる限り美しく保ちたいという気持ちが募り、集中して取り組むことができた。机上の学習が地域に生きる一人の活動としてつながった瞬間であった。

Ⅲ「多文化共生社会に対応した国際的な言葉の学び」のための語学教育の充実

国際コミュケーション科では、英語だけではなく韓国語・中国語の授業を行うことで言語や文化について実践的に学ぶ。更に多様性を尊重する態度を育み、より高い視点でのキャリア教育に努めた。

【2021.10月】イギリスの学生とオンライン交流(1年生)
異文化理解の授業では、イギリスの学生とオンライン交流を行った。英語で松江市についてプレゼンしたり、英語で質問したりすることで文化の違いを感じ、深い学びに繋がった。

【2021.11月】中国の学生とのオンライン交流会(1・2年生希望者)
松江市と友好都市連携を結んでいる中国の杭州第十四中学とのオンライン交流会では、互いの学校紹介や文化に関するクイズに加えて、学校生活や国のイベントに関して知りたいことを質問しあうことで、文化の共通点や相違点について認識を深めることができた。お互いに分かりやすく説明することで異文化交流について興味関心を持つと共に、これからの学習へ更に意欲をもつことができた。

【2021.11月】English Day 2021(1年生)
本校のALTに加えて市内小中学校のALTにも来ていただき、グループに分かれて活動を行った。グループごとに作成したオリジナルストーリーを基に最後は劇を披露した。英語の台本を思考し、グループ内でも英語を用いてコミュニケーションを図ることで学習にとどまらず、文化の多様性を肌で感じるよい機会となった。

来年度の活動計画

Ⅰ「国際理解・人権教育」を柱にしたエイズに関する教育の充実
①市内小中高等学校へのAIDS啓発出張講座
:市内各校へ出張講座実施の案内文を送付し、依頼があった学校へ出張する。
②世界エイズデーでの啓発活動
:AIDS予防の啓発カードやレッドリボンを製作。JR松江駅で各種団体と一緒に配布する。
③エイズ学習会
:松江保健所より講師に来校していただき、エイズの現状について学ぶ。

Ⅱ「気づき・考え・行動する」を柱にした「まつえ学」の充実
①地域の教材を生かした授業内容の選定
:松江市の協力を得ながら、「実践的な学び」の充実を図る。
②地域に発信する力の育成
:①での学習内容を生かした松江市への施策提言を思考し、発信する力を育成する。

Ⅲ「多文化共生社会に対応した国際的な言葉の学び」のための語学教育の充実
①実践的な語学力を高める機会の充実
:学校設定科目である「異文化理解」を中心にオンライン交流の機会を多く設定する。
②English Dayの実施
:市内ALTと交流することで、学習にとどまらず文化の多様性を感じる機会を設定する。