2020年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, 海洋, 気候変動, エネルギー, 環境, 文化多様性, 世界遺産・地域の文化財等, 国際理解, 人権, ジェンダー平等, 健康, 食育, 貧困, その他の関連分野

シュタイナー教育のカリキュラムに基づき、成長段階に応じて世界への興味・関心を広げ、また理解を深め、内面の豊さと行動力に繋がっていくことを目指している。持続可能な社会をつくっていくために必要な「内面の変容」を促すために、日々の授業内容を充実させ、ESDが背後にが息づいているような実践を目指した。

具体的には、次のような学習内容・活動を行った。

①生物多様性・環境・文化多様性に関わる学習

(ア)衣食住の営みを柱に様々な自然のつながり、環境、文化の多様性を学ぶ(小学3年):「衣」に関しては、地域の牧場に出かけて羊の毛刈りを行い、自分たちが刈った羊毛を洗い、梳き、毛糸にした。「食」に関しては、一年を通しての米作りや畑仕事、伝統的な保存食づくり(梅ジュース、梅干し、干し柿など)を行った。「住」に関しては、世界の様々な地域の気候・風土に適した家々と工夫について学び、自分たちの環境に適した小さな家を自分たちの手で校庭につくった。

(イ)地球についての学び:4年生では「動物」、5年生では「植物」、6年生では「鉱物」に重点をおいて、それぞれがどのように地球環境と結びついてそれぞれの役割を担っているか、地球の様々な循環を感じつつ学んだ。植物観察、岩石を採集・分類しての鉱物標本をづくり、石灰岩からのモルタルづくりなどを行った。

(ウ)気象・海流・世界環境に関する学び(中学2年・高校3年):様々な気象現象がどのような仕組みで起きているのか、実験や講義を通して学び、地球全体の営みを概観したり、環境問題について考えたりした。高校3年生のクラスでは、海洋問題(マイクロプラスチップなど)に焦点を当て、プラスチックの種類を仕分けする作業を体験。海洋汚染についての啓発のための壁新聞を作成した。中学2年生のクラスでは、高校3年生で卒業プロジェクトとして海洋問題やエネルギー問題に取り組んでいる先輩をクラスに招いて話を聞き、身の回りのプラスチックの仕分け、河川の清掃作業を行った。

②食育・健康に関する学習

(ア)中学1年生を対象に「人間の健康」に関する集中的な授業を行った。睡眠と1日のリズム、健康的な食事、人体と姿勢などについて学び、献立づくりと家庭において調理実践を行った。

(イ)中学3年生を対象に、食と農業の関係を詳しく学び、「もくもくファーム」において宿泊を伴った1週間の農業実習を行った。

③国際理解、ジェンダー平等、人権に関する学習・活動

コロナ禍の影響により、毎年行っている異文化体験(立命館アジア太平洋大学での宿泊実習・台湾、オーストラリアとの国際交流)は中止された。

中学2年生の生徒たちが、「困難な状況下にある子どもたちに何かをしたい」とバザー活動計画し、不用品を集め、リサイクル販売会を数度に渡って行った。第1回目は、国際子どもデーに行われた。

教員の活動として、ブラジルやアメリカ、カナダ、ドイツなどの国々の先生たちとzoomなどの会議を通して、貧困・ジェンダー(LGBTQ)、マイノリティーの課題などについて話し合った。教員研修に東海大学の小貫大輔先生をお招きし(zoomで)性教育(ジェンダーの課題を含む)についてのお話を伺った。

④地域の文化財・文化・伝統の継承に関わる活動

(ア)地域(京都)の文化財訪問と伝統文化の体験(中学1年):日本史の京都に関わる学びを経て、二条城、等持寺、千本釈迦堂などに出かけ、お抹茶体験、お坊さんの説話を聞くなどの活動をした。また、京都国立近代美術館における友禅の展覧会に出かけ、人間国宝の森口邦彦さんにお話を伺った。学校において、保護者の方の協力を得て、茶道体験を3度行った。

(イ)伝統文化:狂言の取り組みと発表:室町時代の歴史・文化を学び、狂言師の先生をお呼びして講習会を行い、狂言の作品を作り、保護者を招いて狂言を発表。袴の着付けも自分たちで行えるようにした。

(ウ)伝統行事「竹送り」への参加(小学4年):自分たちの郷土の学びとして、長年続けられている伝統行事「竹送り」に参加し、地域の方々との交流を深めた。

(エ)鉄打ち実習(中学2年)、銅の鍛造実習(高校1年)、銀細工実習(高校2年):伝統の技に触れる体験を通して、鉄を打ってナイフをつくり、胴の器を鍛造し、銀のブローチを制作した。

⑤その他

(ア)ACCU主催による第4回共同研究会「評価手法開発事業」に参加

(イ)環境省近畿地方環境事務所、近畿地方ESD活動支援センターの主催による近畿ESDフォーラム「”レジリエントで持続可能な社会”の創造を目指して」における、授業研究発表

 

 

 

来年度の活動計画

当校では日々の授業の中でESDの総合的学習を行っており、その内容はシュタイナー教育のカリキュラムに基づくため、新たな視点を加えつつ、基本的な項目は毎年のカリキュラムとして来年度も行う。2020年度にコロナ禍の影響により行われなかった活動の再開を含め、具体的な活動項目は以下の通り。

また新たに、他校との学び合いや、これまでのESDの実践を発信していく活動も計画している。

①自然環境に関わる学習
(ア)衣食住の営みを柱にした体験(小学3年)羊の毛刈り、米作り、畑仕事、家づくりなど

(イ)(ウ)学年ごとにテーマを設定した地球についての学び(小学4年〜中学2年)

(エ)自然の自然環境・循環を体感することを目的とする、研修旅行・修学旅行(小学6年、中学2年)

②食育・健康に関する学習

(ア)健康に関する学習(中学1年)

(イ)食と農に関する学びと農業実習(1週間)(中学3年)

②国際理解に関する学習
(ア)立命館アジア太平洋大学での異文化体験

(イ)オーストラリア、台湾のシュタイナー学校との国際交流

③文化・伝統の継承に関わる活動
(ア)伝統文化財の訪問・見学、伝統文化の体験(茶道)

(イ)狂言発表会

(ウ)伝統行事「竹送り」への参加

(エ)鉄打ち実習、銅の鍛造実習、銀細工実習

④その他

(ア)他のユネスコスクール との交流や研究会への参加

(イ)シュタイナー学校でのESDの実践を広く発信していく方法の検討と実施