2018年度活動報告
本年度の活動内容
気候変動, エネルギー, 環境, 平和, 人権, 減災・防災, 世界遺産・地域の文化財等, 貧困
本校は,「地域文化の伝承と創造」をテーマに毎年活動を行ってきた。昨年度から「エネルギー環境問題を正しく捉え,判断し,主体的に行動できる生徒の育成」を活動テーマに加えた。ESDを持続可能な地域・社会の構築について考える教育と捉え,ESDの実践を通して,教科での学習を基に持続可能な社会を実現するために自分たちに何ができるか主体的に判断・行動する力の育成を目標とした。
具体的には総合的な学習の時間,社会科,理科,技術科を柱に,①組曲や職場体験,筆づくりなど地域の伝統文化・産業を体験する活動,②地域の今後の発展に係わる活動,③持続可能な社会の形成に関わるエネルギー・環境教育を行った。
① 地域の伝統文化・産業を体験する活動
総合的な学習の時間を使って「地域文化の伝承と創造」をテーマにして,毎年,「組曲ふでのみやこ」の製作に全校で取組んでいる。これは,町内に現存する「筆まつり唄」や「筆踊り」を発展させ,和太鼓,篠笛等の和楽器を取り入れて創作したもので,約15分間,全校生徒が演じる。本年度学校の体育祭や文化祭に加え,地域の行事である「筆まつり」のふれあいステージなどで披露した。昨年度から書道部による大書も取り入れている。
この取組を進めるにあたって,地域の多くの方々から指導・助言等,多くの支援をいただいている。体育祭で組曲の前に,地域に伝わる「彼岸船」の紹介をするが,その彼岸船の飾り付けや引きまわし方など,彼岸船保存会の方の指導を受けている。体育祭で準備した彼岸船は「筆まつり」でも彼岸船保存会の大きな彼岸船とともに町内をねり歩き,町民にアピールしている。
また,熊野町の伝統産業である筆づくりに関わる活動を行っている。1学年では熊野筆協同組合から伝統工芸士の方を招いて筆づくり体験をし,2学年では筆づくりの事業所で職場体験学習を実施している。
② 地域の発展に係わる教育
毎年,3年生の公民的分野の地方自治の授業を中心に熊野町役場と連携し,熊野町長による出前授業を行ってもらい,熊野町の町づくりについておしえてもらった。税理士による租税教室では地域の発展のための税金の使われ方を教えていただいたあと,意見交換を行った。また,今年度は西日本豪雨災害で大きな被害を受けたこともあり,道徳の時間などでも防災,減災について,自助,共助についても考える時間を設けた。
③ 持続可能な社会の形成に関わるエネルギー・環境教育
本校は今年度までエネルギー教育モデル校に指定されている。本年度は理科や社会科の授業で持続可能な社会を形成するために,日本にとって望ましい発電方法について根拠をあげて議論し,エネルギー利用に関する問題点を挙げ,その解決法を話し合う授業を行った。
来年度の活動計画
「地域文化の伝承と創造」をテーマに,熊野町の伝統文化である「筆」を題材とした,「組曲ふでのみやこ」の第17代目発表に向けて取り組む。
総合的な学習の時間においては,課題発見・解決学習の手法を取り入れ,地域の伝統工芸士や筆事業者との連携を行いながら,伝統文化の持続的な発展を考えさせていく。
また,社会・理科・技術科の教科を中心として,エネルギー環境教育を推進し,熊野中学校の取組を地域へ発信し,地域とともに持続可能な社会の担い手を育成していく。