2019年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

減災・防災, エネルギー, 環境, 世界遺産・地域の文化財等, 人権

 本校は,「地域文化の伝承と創造,エネルギー・環境問題」をテーマに毎年活動を行ってきた。今年度は,2018年に発生した西日本豪雨災害を受けたことを踏まえ,防災・減災教育についても取り組んだ。SDGsを考慮しつつ,ESDを持続可能な地域・社会の構築について考える教育と捉え,ESDの実践を通して,教科での学習を基に持続可能な社会を実現するために自分たちに何ができるか主体的に判断・行動する力の育成を目標とした。
 具体的には総合的な学習の時間,社会科,理科,技術科,特別の教科道徳の時間を柱に,①組曲や職場体験,筆づくりなど地域の伝統文化・産業を体験する活動,②防災・減災を視点とした,地域の今後の発展に関わる活動,③持続可能な社会の形成に関わるエネルギー・環境教育を行った。

①地域の伝統文化・産業を体験する活動
 総合的な学習の時間を使って「地域文化の伝承と創造」をテーマにして,毎年,「組曲・筆のみやこ」の製作に全校で取組んでいる。これは,町内に現存する「筆まつり唄」や「筆踊り」を発展させ,和太鼓,篠笛等の和楽器を取り入れて創作したもので,約15分間,全校生徒が演じる。和楽器などのパートの他に,踊りのパート,書道部のパートに分かれて活動を行い,本年度学校の体育祭や文化祭に地域に向けても披露した。書道部のパートでは大書を行っている。
 この取組を進めるにあたって,地域の多くの方々から指導・助言等,多くの支援をいただいている。体育祭で組曲の前に,地域に伝わる「彼岸船」の紹介をするが,その彼岸船の飾り付けや引きまわし方など,彼岸船保存会の方の指導を受けている。体育祭で準備した彼岸船は地域の行事である「筆まつり」でも彼岸船保存会の大きな彼岸船とともに町内をねり歩き,町民にアピールしている。
 また,熊野町の伝統産業である筆づくりに関わる活動としては,2学年で筆づくりの事業所で職場体験学習を実施している。

②防災・減災を視点とした,地域の発展に係わる教育
 2018年に西日本豪雨災害で大きな被害を受けたこともあり,防災・減災を視点とした教育活動を実施した。理科では災害発生のメカニズムについて,学習するとともに,社会科では公民的分野において地方自治と防災・減災の関わりについて学習した。また,今年度は「アクサ×ユネスコ協会 減災教育プログラム」に参加し,学習活動の中で活用している。また,地域とは防災士の方の講演や地方公共団体との関連では熊野町長や熊野町危機管理課の職員から説明してもらい,自助・共助について考える時間を設けた。
 また,教科だけでなく生徒会活動においても健康美化委員会が防災・減災コーナーを設置し,災害に関する新聞記事の掲示や避難に必要な物品などの展示を行い,生徒に呼びかける活動を行った。
 近隣の広島県立熊野高校で実施している「くま・みら・カフェ」にも生徒が参加し,地域作りへの提案を意欲的に行った。

③持続可能な社会の形成に関わるエネルギー・環境教育
 理科や社会科の授業で持続可能な社会を形成するために,日本にとって望ましい発電方法について根拠をあげて議論し,エネルギー利用に関する問題点を挙げ,その解決法を話し合う授業を行った。

来年度の活動計画

 「地域文化の伝承と創造」をテーマに,熊野町の伝統文化である「筆」を題材とした,「組曲 筆のみやこ」の第18代目発表に向けて取り組む。
 減災・防災を視点とした,地域の発展に関わる教育においては,課題発見・解決学習の手法を取り入れながら,教科を横断した取組を行い,その成果を地域に発信できるように学習していく。
 また,社会・理科・技術科の教科を中心として,エネルギー環境教育を推進し,熊野中学校の取組を地域へ発信し,地域とともに持続可能な社会の担い手を育成していく。