2022年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

減災・防災, 世界遺産・無形文化遺産・地域の文化財等, 平和

本校は,今年度,「地域文化の伝承と創造」,「防災・減災」をテーマに活動を行った。これらの学習において,SDGsを考慮しつつ,ESDを持続可能な地域・社会の構築について考える教育と捉え,ESDの実践を通して,教科での学習を基に持続可能な社会を実現するために自分たちに何ができるか主体的に判断・行動する力の育成を目標とした。

具体的には総合的な学習の時間,社会科,理科,技術家庭科(技術分野),特別の教科道徳の時間を柱に,①組曲や筆づくりなど地域の伝統文化・産業を体験する活動,②防災・減災を視点とした,地域の今後の発展に関わる活動を行った。

①地域の伝統文化・産業を体験する活動

総合的な学習の時間を使って「地域文化の伝承と創造」をテーマにして,毎年,「組曲・筆の都くまの」の製作に全校で取り組んでいる。これは,町内に現存する「筆まつり唄」や「筆踊り」を発展させ,和太鼓,篠笛等の和楽器を取り入れて創作したもので,約20分間,全校生徒が演じる。和楽器などのパートの他に,踊りのパート,書道部のパートに分かれて活動を行い,これまで文化祭で披露してきた。

今年度も昨年度同様,コロナ禍の影響を鑑み,組曲のみの発表会を実施した。例年であれば,全校での取組になるが,密集を避けるために1年生だけは,上級生の練習などを参観したり,今までの取組を学習したりと違う形での地域学習を行い,「地域文化の伝承と創造」の学習を継続させた。

2,3年生が組曲の取組を行ったが,教師主導ではなく,上級生が下級生に指導を行う形が定着し,上級生が主体的に下級生に分かりやすく,工夫しながら技術の伝承を行った。

例年であれば,熊野町の伝統産業である筆産業に多数の生徒が関わる職場体験学習はコロナ禍の影響もあり,中止となった。

②防災・減災を視点とした,地域の発展に係わる教育

平成30年に西日本豪雨災害で大きな被害を受けたこともあり,防災・減災を視点とした教育活動を継続して実施している。1学年では自助の視点,2学年では共助の視点,3学年では公助の視点での学習を行った。1年生は自然災害の基本的なメカニズムや避難について学習し,防災カードゲーム「クロスロード」を使い,避難時の行動についてシミュレートした。2学年は「マイ非常用持ち出し袋をつくろう」というテーマをもとに,自分の家庭をベースにした非常用持ち出し袋の内容を考え,お互いに交流した。また,避難行動訓練「EVAG」を行い,住む地域に応じて避難行動に違いがあることも疑似体験した。3学年では地域の防災センターと連携を図り,避難所のあり方について地域へ提案を行った。防災・減災学習においては熊野町防災安全課の全面的な支援があり,熊野町にある熊野東防災交流センター,熊野西防災交流センターでそれぞれ避難所設営訓練,避難訓練を行い,学習を深めることができた。

来年度の活動計画

引き続き「地域文化の伝承と創造」をテーマに,熊野町の伝統文化である「筆」を題材とした,「組曲 筆の都くまの」の第21代目の発表に向けて取り組む。また,地域の伝統産業としての筆作業との関わりを職場体験学習などでもち,どのように地域を振興できるかを考える機会を設ける。

防災・減災を視点とした,地域の発展に係わる教育においては,学年ごとに「自助」「共助」「公助」を視点とした学習を生徒一人ひとりが自分事として捉えられるように行い,さらにその成果を地域に発信できるような取組を行う。