2020年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

減災・防災, エネルギー, 環境, 世界遺産・地域の文化財等, 平和

本校は,「地域文化の伝承と創造,エネルギー・環境問題」をテーマに毎年活動を行ってきた。今年度も昨年度に引き続き,2018年に発生した西日本豪雨災害を受けたことを踏まえ,防災・減災教育についても取り組んだ。また,コロナ禍で修学旅行の行き先の変更などや休業期間があったこともあり,地域学習の一環として,平和学習の取組を始めた。これらの学習において,SDGsを考慮しつつ,ESDを持続可能な地域・社会の構築について考える教育と捉え,ESDの実践を通して,教科での学習を基に持続可能な社会を実現するために自分たちに何ができるか主体的に判断・行動する力の育成を目標とした。

具体的には総合的な学習の時間,社会科,理科,技術科,特別の教科道徳の時間を柱に,①組曲や職場体験,筆づくりなど地域の伝統文化・産業を体験する活動,②防災・減災を視点とした,地域の今後の発展に関わる活動,③持続可能な社会の形成に関わるエネルギー・環境教育④平和学習を行った。

 

①地域の伝統文化・産業を体験する活動

総合的な学習の時間を使って「地域文化の伝承と創造」をテーマにして,毎年,「組曲・筆の都くまの」の製作に全校で取組んでいる。これは,町内に現存する「筆まつり唄」や「筆踊り」を発展させ,和太鼓,篠笛等の和楽器を取り入れて創作したもので,約15分間,全校生徒が演じる。和楽器などのパートの他に,踊りのパート,書道部のパートに分かれて活動を行い,本年度学校の体育祭や文化祭に地域に向けても披露した。書道部のパートでは大書を行っている。

しかし,今年度はコロナ禍の影響もあり,体育祭,文化祭が中止となり,発表する機会がなくなってしまったが,2,3年生のみ活動を続け,組曲のみの発表会を実施した。例年であれば,全校での取り組みになるが,1年生だけは,上級生の練習などを参観したり,今までの取り組みを学習したりと違う形での地域学習を行い,「地域文化の伝承と創造」の学習を継続させた。

また,今年度は職場体験学習も中止となり,熊野町の伝統産業である筆産業に関わる機会がとれなかったので,来年度は実施していきたい。

 

②防災・減災を視点とした,地域の発展に係わる教育

平成30年に西日本豪雨災害で大きな被害を受けたこともあり,防災・減災を視点とした教育活動を実施した。今年度は,「全国子ども防災作文コンクール」への出品にむけて,綴る活動を通して,自然災害への対応について,考える機会を設けた。

1年生は小学生に向けて,2年生は中学生に向けて,3年生は大人や行政担当者に向けて,自分の意見をまとめる活動を通して,自分自身の行動を「自助」の観点から,また,大人や行政担当者に向けての意見では「共助」「公助」の観点から考えていけるように設定した。

さらに,1年生では防災マップと実際の土砂崩れの現場を見比べて,効果的に防災マップを読み取れる技能の育成を予定している。

また,教科だけでなく生徒会活動においても健康美化委員会が自然災害時の対応や防災マップの掲示を通して,災害への備えの啓発を行った。

 

③持続可能な社会の形成に関わるエネルギー・環境教育

理科や社会科の授業で持続可能な社会を形成するために,日本にとって望ましい発電方法について根拠をあげて議論し,エネルギー利用に関する問題点を挙げ,その解決法を話し合う授業を行った。

 

④平和学習

次年度の修学旅行がコロナ禍の影響で鹿児島・知覧への訪問を予定している。平和に関する学習を行うにあたり,広島の原爆の被害についての学習を行い,鹿児島での平和学習と合わせ,発信できる取組を予定している。

来年度の活動計画

引き続き「地域文化の伝承と創造」をテーマに,熊野町の伝統文化である「筆」を題材とした,「組曲 筆の都くまの」の第19代目の発表に向けて取り組む。

防災・減災を視点とした,地域の発展に係わる教育においては,綴る活動を生かし,さらにその成果を地域に発信できるような取組を行う。

エネルギー環境教育においては,生徒会活動とリンクし,校内でのエネルギー利用について,生徒自身が考え,発信する取組みを行う。

平和学習では,広島と鹿児島の平和についての学習から,現代の世界において平和に向けて課題をベースとしているSDGsを踏まえた社会科などの学習を行う機会を保障する。