2019年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

世界遺産・地域の文化財等, 国際理解

本校は、「国際理解教育」を学校理念として、ESDを持続可能な社会づくりの担い手を育むための教育と捉え、ESDの実践を通して、我が国の文化や伝統などに対する理解を深め、これらを愛する心を育成するとともに、広い視野を持って異文化を理解し、異なる習慣や文化をもった人々とともに生きていくための資質や能力の育成を目標とした。
具体的には、ふるさと学習、国際交流を柱に、①世界遺産や地域の文化財等に関する教育、②国際交流に係わる活動を行った。
①世界遺産や地域の文化財等に関する教育
私たちが住む和歌山県には世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」があり、本校はその一部である高野山のふもとに位置している。空海の開いた高野山は1200年を超える歴史を有し、仏教の聖地として信仰の中心地であるだけでなく、国宝や重要文化財に認定された多くの仏教美術や建築物を保有している。この地域の宝である世界遺産や文化財を学ぶことにより、歴史や文化、伝統などに対する理解を深め、自分たちの地域に誇りを持ち、そのよさを発信し、地域の発展につなげることを目標に取り組んでいる。
中学校では、総合的な学習の時間にふるさと学習を行っている。3年間を通して、ふるさとに誇りを持ち、自らが次世代に向けてふるさとのよさを伝える担い手となるよう意識づけをすることを目標としている。1年生は、「わかやま何でも帳」を使って自作のわかやまクイズを作成した。2、3年生は町石道を、地域で活躍している世界遺産マスターの方々のガイドで歩き、学んだことをスライドにまとめた。また、全学年で「わかやまふるさと検定」を受検した。高校では、1年生の「総合的な探究の時間」に、橋本市の協力を得て、橋本市の課題解決に取り組んだ。グループでの調べ学習やフィールドワークを中心に、地域のよさや課題を発見し、持続可能な地域の発展を目指して、自分たちの考えをパワーポイントを使って、市に提案するという形で発表した。
②国際交流に係わる活動
本校は中国山東省の姉妹校と、隔年で学校訪問による交流を行っている。今年度は姉妹校より8名の生徒が本校に来訪した。学校交流では、中国の生徒による伝統楽器の演奏や歌の披露、日本の生徒による茶道部の茶道体験や邦楽部の琴の演奏など、お互いの伝統文化の紹介を行った。また、授業見学や、調理実習や中国語の授業参加、またホームステイを通して、お互いに共通する点や異なる点を発見し、異文化に対する理解を深め、友情を育むことができた。また英語の語学研修と異文化理解を目的として、3月にオーストラリア短期海外研修を実施した。ホームステイや現地の生徒と交流を通して、語学力の向上とともに、異なる習慣や文化を持った人々とともに生きていくための資質やコミュニケーション力の向上を目指した。中学校では12月の台湾へ修学旅行に行き、台湾の文化や歴史を学ぶとともに、現地の中学校の生徒と英語で交流をして、異文化に対する理解を深めた。
また中国からの長期留学生や韓国、アメリカからの短期留学生の受け入れを通して、多くの生徒に異文化に対する理解を深め、国際交流への興味関心を喚起することができた。

来年度の活動計画

➀中学校では今年度に引き続き、3学年とも「ふるさと学習」を総合的な学習の時間の中心として取り組む予定である。世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」について、世界遺産マスターに指導を受けながら、1年は学習、2、3年は現地学習と発表を実施する予定である。3年生は台湾修学旅行で現地の中学生に、「ふるさと学習」の成果を英語で紹介し、SDGsの調べ学習と発表も行う。高校においても、SDGsを核に学習活動に取り組む。「総合的な探究の時間」で、1年次では、地域の課題発見と解決のために何をすべきなのかを考え、2年次では、世界にも目を向け、環境問題や社会問題について自分たちとのかかわりや問題点について調べ、発表する予定である。また、地域の施設等に全員がボランティアにおもむき活動するとともに、生徒会でボランティアセンターを運営し、地域を活性化する活動に取り組むこととしている。持続可能な地域の発展のために、ユネスコスクールの生徒としてどのように地域活性化に関わっていけるのか、地域と協力しながら、学びと話し合いを通して考える力をつけたい。

②国際交流事業では、中国の姉妹校への訪問、オーストラリア短期海外研修、アメリカへ橋本市の親善大使としての短期交換留学を通して、異文化理解と、語学力、コミュニケーション力を向上させる機会としたい。また、「ふるさと学習」での発表や「総合的な探究の時間」でのプレゼンの経験を生かして、日本の魅力を現地で発信できるよう、英語でのプレゼン力をつけたい。