2021年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

世界遺産・無形文化遺産・地域の文化財等, 国際理解, 人権, 福祉, 健康, その他の関連分野

本校は、「自治と自由」の校訓のもと、「新たな未来を創造する人の育成」を教育目標に掲げ、ユネスコスクールが重点的に取り組む3つの分野を通して、地域の文化や社会的な課題に対する理解を深め、地域社会を維持し、担っていく力を培うとともに、広い視野を持って、異なる習慣や文化を持った人々とともに生きていくための資質や能力の育成を目標とした。
具体的には、ふるさと学習国際交流を柱に、①世界遺産や地域の文化財等に関する学習、②SDGsの達成を視野に入れた学習を行った。

①世界遺産や地域の文化財等に関する学習

私たちが住む和歌山県には世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」があり、本校はその一部である高野山のふもとに位置している。空海の開いた高野山は1200年を超える歴史を有し、仏教の聖地として信仰の中心地であるだけでなく、国宝や重要文化財に認定された多くの仏教美術や建築物を保有している。この地域の宝である世界遺産や文化財を学ぶことにより、歴史や文化、伝統などに対する理解を深め、自分たちの地域に誇りを持ち、そのよさを発信し、地域の発展につなげることを目標に取り組んでいる。

中学校では、「総合的な学習の時間」にふるさと学習を行っている。3年間を通して、ふるさとに誇りを持ち、自らが次世代に向けてふるさとのよさを伝える担い手となるよう意識づけをすることを目標としている。1年生では、①世界遺産講座 ②みかんの話 ③和歌山市への校外学習 ④「わかやま検定」などを行い、「ふるさと」について理解を深め学んだ。和歌山県にある世界遺産、和歌山の歴史・特産品、和歌山に関連する著名人などについて学びを深めることができた。今年度はふるさと学習の現地学習が中止となったため、2、3年生は、世界遺産の「紀伊山地の霊場と参詣道」について調べ、パワーポイントで発表活動を行った。また3年生のグループは学校説明会で発表を行った。

高校では、昨年に引き続き、中国西安外国語学校の生徒と「観光とSDGs」をテーマにオンラインで交流を行った。フィールドワークとして高野山へ行き、奥の院と霊宝館の国宝や重要文化財を見学した。霊宝館では創立100周年を記念した特別展が開催されており、普段目にすることのできない、弘法大師ゆかりの秘宝や、運慶、快慶作の国宝や重要文化財に指定されている仏像を見学することができた。現地で高野山の歴史や文化を学ぶことにより、改めて地域にある世界遺産・高野山の素晴らしさを認識し、大切にしていかなければならないことを実感した。

②SDGsの達成を視野に入れた学習

中学校では「総合的な学習の時間」において、SDGs の17のゴールについて学習した。1年生は、それぞれが自分の興味のあるゴールについて調べ、全体で共有した。2年生では、特に1~4のゴールについて学習した。3年生では、平和や命の大切さについて考えた。

高校では「総合的な探究の時間」において、SDGsの達成を視野に入れた学習を年間を通して行った。1年生では、橋本市の協力により農林業や高齢者、子育てや危機管理など市の抱える課題に対して、橋本市への施策提言を行うこととした。2度の発表会を実施し選ばれた優秀なプレゼンテーションの2作品を市長への施策提言として発表した。2年生では、各クラス8グループに分け、各グループがSDGsの目標を決め、その中の課題を設定し、フィールドワークやアンケートなどの調査を通して、解決策を考えパワーポイントにまとめて発表した。クラスから優秀な2作品を選び、合計10チームが全体会でパワーポイントによる発表を行った。またその10作品は朝日新聞主催の「SDGs QUESTみらい甲子園」にも応募した。3年生では、自分の進路に関連したテーマを決め、課題を設定し、インターネットなどから集めた情報をもとに、SDG sの観点を視野に入れた「卒業論文」を作成した。一人2000字の論文は「総合的な探究の時間」の3年間の集大成となった。
また10月には外務省の「外務省高校講座」で、「SDGs実現に向けた課題」というテーマで在モーリシャス日本国大使館参事増田是人氏によるオンライン講演を行った。アフリカ諸国の直面している課題について、経験談をふまえた話を聞くことにより、SDGsについての理解が深まるとともに、課題解決に向けて自分たちがすべきことは何かを改めて考える機会となった。


国際交流は昨年度に引き続き、オンラインによる交流を実施した。

(1) 中国西安外国語大学附属西安外国語学校との交流(日中交流センター)

新年度新たに生徒を募集し、1、2年生17名が、昨年度から継続して西安外国語学校の日本語クラス1年生の生徒と「観光とSDGs~日中高校生の視点から~」をテーマに、3回にわたりオンライン交流を行った。交流するに当たり、歴史的に西安とつながりのある弘法大師空海の開いた高野山へ行き、多くの国宝や重要文化財を見学し、仏教の聖地として歴史的にも文化的にも重要な地位であったことを学習した。

西安外国語学校とは7月に3日連続してオンライン交流を行った。日中それぞれ4グループ作り、グループに分かれて毎回異なるグループと交流を行った。1回目は自己紹介と学校紹介、2回目、3回目は日常生活や趣味などお互いに興味のあることについて質問し合い、文化や習慣の相違点などを話し合った。生徒たちは異文化について理解を深めるとともに、実践を通してコミュニケーションを取るときに必要なことを学ぶことができた。また異文化理解のためにコミュニケーションツールとしての英語の大切さも感じた。


(2) 中国四川省成都外国語学校との交流(日中交流センター)

2学期に新たに生徒を募集し、1、2年生15名が、四川省成都外国語学校の日本語クラスの生徒と「パンダとSDGsがつなぐ日中交流」をテーマにオンライン交流を実施した。私たちの住む和歌山県にある人気観光地の白浜アドベンチャーワールドでは、中国の四川省成都パンダ繁殖センターとパンダの繁殖・飼育の共同研究を行っており、そのことが縁で、和歌山県と四川省は友好提携を結んでいる。中国でも日本でも人気のあるパンダを通して、中国と日本のつながりを学んだり、希少動物の保全や自然環境への支援につなげるSDGsの目標達成に向けた取り組みを学び合うことを目的とした。事前にアドベンチャーワールドでパンダの繁殖・飼育について学習したり、バックヤードツアーでSDGsの取り組みについて見学と説明を受け、企業が実践しているSDGsの取り組みについて学習することができた。

オンライン交流は4グループに分けて、1回目は自己紹介と学校紹介を行った。2回目はアドベンチャーワールドで学習してきたことを、各グループがパワーポイントにまとめて、グループごとに発表とディスカッションを行った。3回目、4回目は中国のパンダや動物園の様子を紹介してもらい、ディスカッションを行う予定である。


(3) ベトナム・クアンナム省の高校との交流(外務省対日理解促進交流プログラム)

外務省と和歌山県国際課の共催で和歌山県の6校とベトナム・クアンナム省の高校2校とオンラインによる交流を行った。本校からは5人の生徒が参加し、学校と地域の紹介をパワーポイントにまとめ、英語で発表した。参加した生徒たちは、ベトナムの街の様子や、学校生活、食文化、日本との歴史的な関わりなどを知り、ベトナムについてさらに興味が深まった。また今回のプログラムに参加して、英語を使ってコミュニケーションを取ることの楽しさや難しさを実感し、英語学習のよい動機付けとなった。


(4) 海外和歌山県人会との交流(わかやま国際ネットワーク)

県国際課主催で海外和歌山県人会の6つの県人会と県内小・中・高校計12校がオンラインで交流を行った。本校からは1学年全体が英語でのコミュケーションと異文化理解を目的として交流会に参加した。オープニングで本校邦楽部が演奏した。参加校の学校紹介では、本校から3人の生徒が橋本高校の紹介をパワーポイントを使って英語で行った。1月にはアメリカ・カリフォルニア州にある南加和歌山県人会と個別に交流を行い、バーチャルホームステイや英語での質疑応答を行った。生徒たちは交流するにあたり、英語で質問を考えたり、話したりして、自分の英語を試すよい機会となった。

来年度の活動計画

※2022(令和4)年度の活動計画を記入

①世界遺産や地域の文化財等に関する学習

中学校では今年度に引き続き、3学年とも「ふるさと学習」を「総合的な学習の時間」の中心として取り組む予定である。世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」について、世界遺産マスターに指導を受けながら、SDGsに関連した学習をすすめていく。

高校でも海外とのオンライン交流をする際に、地域の世界遺産や文化財について学習し、発信していきたいと考えている。

②SDGsの達成を視野に入れた学習

中学校では、「総合的な学習の時間」で、SDGsの17のゴールについて知り、ゴールを「自分ごと」ととらえ、ゴール達成のために何が必要かを考える予定である。

高校では、「総合的な探究の時間」で、SDGsを核に学習活動に取り組む。1年次では、橋本市と協力して、農林業や高齢者、子育てや危機管理など市の抱える課題に対して市長へ施策提案を行う予定である。2年次では、グループごとにSDGsの目標の中から課題をみつけ、フィールドワークやアンケートなどの調査を通して解決策を考えて、プレゼンの形で発表する予定である。3年次では自分の進路と関連したテーマから課題を設定し、SDGsの観点を取り入れた考察を、論文の形で表現する予定である。3年間の「総合的な探究の時間」における学習活動を通して、地域の文化や社会的な課題に対する理解を深め、持続可能な社会を維持し、担っていく力を培うとともに、広い視野を持って、異なる習慣や文化を持った人々とともに生きていくための資質や能力の育成を目標としたい。

また、国際交流活動については、まだオンラインでの交流が中心となると思われる。ICT環境も整ってきたので、一人1台パソコンを利用して、多くの生徒がいろいろな国や地域の人たちと交流ができる機会を増やしていきたい。