2018年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, エネルギー, 環境, 国際理解, 世界遺産・地域の文化財等

本校は、「持続可能な社会の実現に貢献する科学技術人材育成」を活動テーマとして、

ESDを持続可能な社会の実現に貢献する人材を育成する教育と捉え、ESDの実践を通して生徒の高い課題解決能力と協同的に学ぶ能力と態度の育成を目標とした。

具体的には、教科横断的で組織的な教員間・生徒間・教員と生徒の共同による授業改善を柱に、①探求活動・対話型学習活動に係わる活動、②国際理解・国際交流に係わる教育、③世界遺産に係わる学習、④ボランティアに係わる学習を行った。

①  探求活動・対話型学習活動に係わる活動

第2学年の「総合的な学習の時間」に、生徒全員が文系理系の垣根を越えて課題研究を行う「ESD課題研究」を実施した。生徒は「傘」と呼ばれる10の大グループに分かれ、日常の疑問等から各自が設定した研究テーマについてさらに8の小グループに分かれて活動した。各「傘」に複数の教員がつき、生徒間・教員間・生徒と教員間で協働し、1年間課題研究に取り組んだ。9月に中間発表会を実施した。2月末にポスター発表会を実施。生徒の発表は生徒相互・教員等が評価し、優秀な発表は3月にパワーポイントを使って全校生徒に紹介する予定である。さらに生徒は、各自研究レポートをまとめてることになる。今年度は、大グループ「傘」の名称に、SDGsから考案した「知」「生」「住」「水」「力」「食」「金」「公」「気」「地」という漢字を設定し、研究を通して生徒がSDGsの達成を意識できるようにした。

②   国際理解・国際交流に係わる教育

7月18日から7月25日まで、国際理解教育の一環として、韓国を訪問し研修を実施した。全校生徒から選抜した10名の生徒が参加した。釜山、浦項、慶州などを訪れ、釜山長安高校訪問、蔚山にある黒田長政ゆかりの城跡見学、韓国の製鉄の歴史等が学べる浦項のPOSCO歴史館などを訪問した。特に釜山長安高校では、同校主催の「サイエンスフェスティバル」に参加。本校物理部所属生徒の実験披露や日本文化の紹介、ロボットコンテストへの参加などを行った。また、英語の授業等にも参加し、現地と学生たちと英語でディベートを行った。研修内容とその成果は、3月に全校生徒対象に報告し、学校全体の異文化理解を図ることにしている。

③  世界遺産に係わる学習

本校SSH事業の一環として、毎年夏季休暇中に、世界遺産である屋久島を訪問し、自然観察や調査を通して、自然と人間との関わりのあり方を考察する機会としている。本年度は、全校生徒から10名選抜し、7回の事前学習会を実施した。生徒は、「屋久島の植物を支える土壌水中の栄養分~花崗岩上に生育できるのはなぜ?~」と「コケや木の根が岩にしがみつく力~屋久島に植物が生育するために必要な力~」という2つの実験テーマを設定していた。7月31日に1泊2日の研修に出発する予定であったが、台風の影響で屋久島行きのフェリーが欠航。残念ながら中止せざるをえなかった。研修を実施できなかったが、実験・調査に向けて事前にしっかり考え、議論し、良い実験計画書を作成するという経験は、生徒の今後の課題解決能力に大きく貢献するだろう。来年度以降も、時期の設定や研修のあり方について再検討しながら、研修を実施している予定である。

④  ボランティアに係わる学習

今年度1年間、アイシティecoプロジェクトに参加し、使い捨てコンタクトレンズの空ケース回収活動を行ってきた。各クラスおよび各階に回収容器を設置し、生徒会組織である「SSHユネスコ委員会」主導で回収を行っている。生徒のリサイクル意識を高めており、保護者も協力してくれている。「SSHユネスコ委員会」では、例年通り本校文化祭でチャリティバザーを実施している。生徒・教職員の家庭で不要になった文具や日用品を提供してもらっている。地域住民の方々や他校生なども訪れチャリティに協力してくれた。

来年度の活動計画

現在実施している活動は来年度も継続して実施する予定である。「ESD課題研究」は現1年生で1年間事前学習を行ってきており、来年度4月から課題研究を行う予定である。新1年生にはもちろん1年間の事前学習を実施する予定である。「ESDセミナー」は、日程・計画を再検討して、世界遺産の屋久島を訪問し、フィールド調査や実験を継続実施する予定である。「韓国研修」も今年度同様の日程と計画で継続実施し、国際理解・国際交流をさらに進めたい。また、ICT等を活用した国内外のユネスコスクール等との交流も模索したい。