2018年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, 気候変動, エネルギー, 環境, 国際理解, 持続可能な生産と消費, 世界遺産・地域の文化財等

ESD理念」の実践に向けて、次の二つを目標としている。

・人格の発達や、自律心、判断力、責任感などの人間性を育む。

・他人との関係性、社会との関係性、自然環境との関係性を認識し、「関わり」「つながり」を尊重できる個人を育む。

変化が激しく予測の難しい未来を生き抜く人材を育成するため、ESDの理念のもと教育活動を実施している。 教科では1年生理科の学校設定科目「高山植物」を中心にESDを実践している。高山植物の主な内容は、環境学習、地域学習、生物多様性を柱にした次の4つである。

①環境保全に関わる教育 

②生物多様性に関わる教育

③高山植物での学びを生かしたボランティアガイド活動 

④将来の礼文町を予測し、持続可能な社会の形成できる人材の育成 

 その他、礼文高校では毎年ロサンゼルスへの海外交流事業を実施しており、現地の中高生との交流や国際理解教育にも努めている。
 

①  環境保全に関わる教育

・学校行事で、地域のゴミ拾いや校舎周辺の緑化を行うクリーン・グリーン作戦を実施した。

・礼文島の高山植物を守るため、NPOと協力し外来植物除去活動を行った。

・礼文町高山植物培養センターに協力してもらい、レブンアツモリソウの保全対策について学び、プロトコームの植え継ぎ実験を行った。

・礼文島に生息する絶滅危惧種のレブンアツモリソウについて学び、生徒自身が絶滅危惧種の保全とその必要性について調べ、プレゼン形式で発表した。

②  生物多様性に関わる教育

・高山植物の授業で礼文島に存在する固有種を知り、生物多様性の重要さを理解し、種を守るための持続可能な環境保護を考えた。

・固有種がなぜ生まれたのかを地域の歴史とともに学び、環境変化による生物多様性への影響を考えた。

・外来種除去活動の際には在来種と外来種の特徴を知り、種ごとに違いがあることを学んだ。

・生物多様性条約についても学習し、世界規模での取り組みや現状を知らせた。

・生徒自身が植物の進化と多様性について調べ、どのような経緯で多様化していったのか、環境と進化の関わりを踏まえてプレゼン形式で発表した。

・身近にある希少な高山植物の生活史を観察するため、年間を通して野外実習を計10回行った。

③授業「高山植物」での学びを生かしたボランティアガイド活動

・生徒が学習している礼文島の自然の特異性を観光客に伝えるボランティアガイドを行った。

・ガイド活動を通して、観光客が礼文に対してどのような印象を持っているのかを知り、地域の魅力を感じさせた。

・学んでいることを他者に伝える活動を取り入れることで、学びを深めると同時に、コミュニケーション能力や、他者と協調する態度を育成できた。

④将来の礼文町を予測し持続可能な社会の形成を考える

礼文町を訪れる観光客の主な目当ては、礼文島の固有種であるレブンアツモリソウなどの高山植物と、ウニやホッケなどの海産物である。基幹産業を支えているものが自然に由来するため、礼文町の発展には持続可能な自然保護が欠かせない。

・ブレインストーミング法とKJ法を組み合わせて、礼文町における課題の解決策を考えさせた。

・自然保護と経済の両立を達成するために、持続可能な礼文島の社会を形成するための考え方を学ばせた。

・環境の変化による水生生物や植物への影響を学び、環境保護の必要性と人類の発展のために環境破壊が行われていることを知り、自然と人との関わり方を考えさせた。

・礼文町観光客入込数のデータから、観光客の島に対するニーズを分析させ、観光地としてどのような対応が必要かを考察させた。

来年度の活動計画

・クリーン・グリーン作戦…ゴミ拾いや鉢植えなどの環境美化活動。

・ボランティアガイド…「高山植物」での学びを生かした観光客に対するガイド活動。

・外来植物除去活動…桃岩展望台観光コースに生える外来植物の除草作業を行う。

・レブンアツモリソウの培養実験…絶滅危惧種のレブンアツモリソウを人工増殖させる実験を行う。

・生物多様性と進化に関する調べ学習とプレゼン発表

・絶滅危惧種とその保全に関する調べ学習とプレゼン発表

・持続可能な地域づくりのための探究学習…現在の地元にある課題を見つけ、解決策を探り、実現可能かを考察させる。

・利尻・礼文・サロベツ国立公園とアメリカの国立公園の比較。