2020年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

文化多様性, 世界遺産・地域の文化財等, 国際理解, 福祉, 世界遺産・地域の文化財等, 食育, グローバル・シチズンシップ教育(GCED), その他の関連分野

本校のユネスコスクールとしてのESD活動は、本校が教育目標に掲げる「高い知性」「豊かな人間性」「健康な心身」「郷土愛と国際性」を実現する上で、重要な役割を果たしている。

一昨年度までの5年間の文部科学省「スーパーグローバルハイスクール」事業に続いて、昨年度からは「地域との協働による高等学校教育改革推進事業(グローカル型)」の3年間の指定を受け、Society 5.0を地域から支える人材の育成に向けて様々な事業を行っている。

そのような中で、本校は、①「国際理解」と②「自国文化理解」に主に焦点を当てるとともに、③「地域課題の解決」、④「郷土」、⑤「共生社会」等を中心とする学習活動に取り組んでいる。

今年度は新型コロナウィルス感染症の拡大により、国内外を問わず外に出ていく活動の多くが中止、または形を変えて行うこととなった。その一方、直接外に出られなくなった反面、オンライン形式で活動に参加する機会が増え、従来は参加できなかったような事業や催しにも、校内や自宅にいながら参加できるようになった。

 

①「国際理解」に係わる活動の例

スーパーイングリッシュデー(2回生、7月)…英語漬けの生活やアクティビティーを通じて自己表現力や異文化理解を高める目的で、昨年までは「イングリッシュキャンプ」との名称で1泊2日で行ってきた。今年度は宿泊せずに校舎内外を用いて、12名のALTの協力を得ながら、英語が公用語の国々についてのプレゼンテーションや英語を使ったゲーム等を行い、楽しく学習した。

語学研修(3回生、12月)…福島県ブリティッシュヒルズにて2泊3日の英語漬けの環境の中、高いレベルの英語でのコミュニケーション能力を育んだ。

オーストラリア・オンラインプログラム(4・5回生希望者、12月、3月)…お互いの文化を理解し尊重する態度を養い、国際的視野を広げ、英語力の総合的な育成を目的としたこの事業は、12月には7名の生徒が参加し、オーストラリアのビショップドゥルエット・ カレッジの学生と複数回にわたってZOOM経由で様々な交流や研修を行った。3月にも4・5回生を対象に、オーストラリアのサザンクロス大学が提供する5日間のプログラムが行われる。

オーストラリア高校オンライン交流(6回生英語、12月)…英語表現と英会話の授業の一環として、オーストラリアのアーミデール高校の日本語選択生徒とZOOMによる交流を行った。日本側から「今の日本の流行」というテーマで複数の短いプレゼンテーションを行った後、お互いの国の様子について自由に話し合った。とりわけ新型コロナウィルスへの両国の学校の対応の違いについての話には、生徒たちは大きな興味を示した。

トルコ留学生との交流(全校、11月~3月)…文部科学省による「アジア高校生架け橋プロジェクト」で来日したトルコからの女子生徒が11月下旬より本校に滞在し(当初の来日予定は4月)、本校生徒宅にホームステイしながら、授業や行事等を通して全校生徒と交流した。

 

②「自国文化理解」に係わる学習活動の例

・見学旅行(5回生、3月)…昨年まではアメリカとカナダを訪れて、現地の学生との交流や文化紹介、ホームステイ等を行っていたが、今年度は実施できない代わりに、北海道東部で国内外の観光客に人気の観光地を訪れ、道内の観光資源の魅力や活用方法等について理解を深める予定である。

・AKBイングリッシュデー(後期生希望者、12月)…昨年までは「AKBイングリッシュキャンプ」の名称で2泊3日でニセコを会場として行っていたが、今年度はオンライン(ZOOM)により1日日程で実施し、20名の生徒が参加した。室蘭工業大学の留学生5名を交えて、日本の伝統的な食品の利点や新しい活用方法等について、英語による活発なディスカッションやプレゼンテーション等を行い、自国文化への理解を深め、表現力やコミュニケーション力を高めた。

 

③「地域課題の解決」に係わる学習活動の例

・課題探究(4・5回生、通年)…地域課題探究(4回生)キャリア課題探究(5回生)では、校長を含む全教員によるサポートのもとに、個々の生徒が自ら設定した課題について調査や分析、プロジェクト等を行い、成果を発表した。さらに、今年度は課題探究を通して多くの生徒が、2020年に市制50周年記念を迎えた登別市やその他の団体と連携してのイベントやワークショップ等の実施、商品開発、外部の様々なコンテストや「マイプロジェクトアワード」等の発表会へのエントリー、テレビ出演等、多くの機会で活躍した。

 

④「郷土」に係わる学習活動の例

地域ウォッチング(1回生、8月~10月)…登別温泉を訪れて、ボランティアガイド会の案内による地獄谷周辺の散策、各事業所でのインタビューや施設見学、入浴体験等を通して、自分たちが住む町の特徴や魅力を調べ、学んだことをまとめ、後日発表した。

・英語による観光動画の作成(5回生英語、12月)…生徒たちが外国人に紹介したい地元のスポットに出向いて英語で観光紹介動画を作成するプロジェクトを行った。出来上がった動画はウェブ上にアップロードして、外国の学生に視聴してもらい感想等を集める予定である。

 

⑤「共生社会」に係わる活動の例

異年齢交流活動(全校、10月)…中高一貫校の特徴を生かし、今年度に行われた唯一の全校行事となった体育祭において、異年齢での交流や協力することの意義を学んだ。

・清拭布とマスクケースの作成と寄贈(有志生徒、4月~5月)…ユネスコ有志実行委員会が参加者を呼びかけて、コロナ禍にある地元の介護施設のために清拭布やマスクケースを作成し寄贈した。

赤い羽根共同募金(全校、11月)…ユネスコ有志実行委員会が中心となり、11月上旬の約1週間、登校時に玄関ホールで募金活動を行った。7月には、過去数年間に渡って実施してきた校内での募金活動が評価され、北海道より「共同募金運動功労者表彰」を受けた。

・「世界食料デー」の啓発活動への参加(生徒会、ユネスコ有志実行委員会、10月~11月)…国連食糧農業機関(FAO)が提唱する「世界食料デー」の普及活動を行う市民団体と連携し、10月には募金活動を行って収益を寄贈した。また11月には啓発大会の運営補助も行った。

「世界寺子屋運動」への参加(全校、12月~1月)…室蘭ユネスコ協会との連携により、ユネスコ有志実行委員会が全校生徒に呼びかけて書き損じハガキを回収した。

・「東日本大震災子ども支援基金」への協力(全校、10月)…体育祭の際に学校オリジナルTシャツ作成して全校生徒と保護者に販売し、収益金を室蘭ユネスコ協会を通して「東日本大震災子ども支援基金」に寄贈した。例年は7月の文化祭でこの活動を行っている。

小学生との語学体験活動(4回生、9月)…4回生の生徒が近隣にある幌別西小学校を訪れて、1年生から6年生までの各クラスで英語の授業を行った

 

⑥その他

・ユネスコ展示(10月)…例年は文化祭で教室2つを使った展示スペースで世界の諸問題に関する展示物を作成・展示しているが、今年度は文化祭が中止となったため、10月に行われた体育祭の際に廊下の一角に展示スペースを設置して、本校のユネスコ活動や令和2年7月豪雨に関する展示物を作成して掲示した。

・SDGsについての課題探究学習(3回生、12~3月)…SDGsの17の目標の意義について学び、個々の生徒が選んだ課題と解決方法について調査・分析を行い、発表する。

・社会科・理科施設見学(2回生、3月)…地元に大規模な製鉄関連工業施設が広がる利点を生かし、毎年2回生が日鋼室蘭製作所と室蘭市青少年科学館を訪問し、科学の進歩や持続可能な産業の在り方等について学んでいる。日鋼室蘭製作所は今年度は直接訪問することはできないため、ビデオによる企業説明に替える予定である。

来年度の活動計画

学校として行う活動については、コロナ禍であれば、従来行ってきた活動の内容や形態を工夫することにより、単純な活動縮小とならないように進めていく。特に、本校の開校からの重点である国際理解に関わる活動については、今年度のオンラインでの様々な実践をもとに、バーチャルではない生身の海外体験に少しでも近い満足感を得られるような、新しいアイデアによる活動を行う予定である。また、これまで生徒主導で行われてきた活動については、生徒たちの創意工夫をさらに促して、このような状況だからこそ可能で、求められる活動を行えるように支援していきたいと考えている。