2021年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

海洋, 減災・防災, 気候変動, エネルギー, 環境, 文化多様性, 世界遺産・無形文化遺産・地域の文化財等, 国際理解, 人権, ジェンダー平等, 福祉, 持続可能な生産と消費, 健康, 貧困

ユネスコスクールガイドラインの中で、以下2点について重点的に取り組んだ
1 持続可能な開発のための教育(ESD)を通じて育てたい資質や能力を明確にし、自分で、あるいは協働して、問題を見出し、解決を図っていく学習の過程を重視した教育課程を編成する。
1-1 育てたい生徒の資質の明確化
葺合高校で育てたい資質や能力を本校独自で定めた「Neo MAKS」12の力とし、学校設定教科「国際」や学際系の科目の中、さらに学校行事の中でそれらの力を育成することを実践している。
Mind   ① 物事を多面的に見る力  ② 他者の痛みを理解しサポートする力  ③ 多様性の中で協働する力
Attitude ④ 経験と知識を融合させる力  ⑤ リーダーシップをとり責任を持って調整する力  ⑥ 柔軟性に富んだ問題解決力
Knowledge ⑦ 自国や他国の文化・歴史に関する深い知識と理解  ⑧ 科学的知識を活用する力
Skills   ⑨ ICTを主体的に使う力 ⑩ コミュニケーション力
Neo    ⑪ 普遍的正義感  ⑫ 新しい価値観の創造

1-2 問題解決学習を重視した教育課程の構築
生徒が主体的にあるいは協働的に問題を見出し、解決を図っていく学習の過程を重視した教育課程を編成し、学際系科目の7科目を設定している。
上記12の力をどの科目のどのような活動で育てるかを各科目で決めている。
(1)グローバルスタディーズIA(GSIA) (2)グローバルスタディーズⅡB(GSⅡB)
(3)グローバルスタディーズⅡC(GSⅡC)(4)グローバルスタディーズⅢC(GSⅢC)
(5)学際国語  (6)学際リサーチ  (7)学際フードデザイン(令和3年度より)

2 総合的な学習の時間を中心とした教科横断的な指導計画を立てるなど、指導内容を適切に定め、さらに、指導方法の工夫改善に努めること。
2-1教科横断的な指導内容と指導方法
それぞれの科目の形態と取り組み内容は次の通りである。
(1)グローバルスタディーズIA(GSIA)国際科1年生 必修
課題研究に向けた基礎学習を行う科目で、「言語」「宗教」「人口」「教育」「文化」「貧富の差」「政治」「経済・産業」を題材とした。日本人英語教員とALTが担当し英語で授業を行なう。

(2)グローバルスタディーズⅡB (GSⅡB) 国際科2年生 必修
SDGsの17の目標より絞り込んだ5つの分野(教育、環境、健康、福祉、人権)から、各自が関心のあるテーマを選び、課題研究に取り組み、英語で論文作成を行った。また、ポスターやパワーポイントの作成を行い、プレゼンテーションも実施した。英語科教員、ALT、外国人講師等が担当した。

(3)グローバルスタディーズⅡC(GSⅡC) 国際科2年生 選択
地歴公民科教諭、英語科教諭とALTの3名が担当する学校設定科目である。生徒が複眼的な視野を育成し、社会の問題解決を目指して、主体的に学び考える日本語と英語による授業を展開している。政治・経済・環境・人権・教育に関する諸問題をテーマに取り上げ、考察してきた。

(4)グローバルスタディーズⅢC(GSⅢC)国際科3年生 選択
英語科教諭3名とALT2名が担当する科目である。7月にオンラインで海外の姉妹校5校と神戸のインターナショナルスクールの参加を得てWWL International Conference Online 2021を本校で開催した。テーマは“Resilience in Action During the COVID-19 Global Crisis”(新型コロナウイルス感染拡大による世界危機におけるレジリエンス)とし、「情報」「教育」「環境」「健康」「人権」の5分野で行った研究内容を発表した。会議の後は、各分野の課題解決のための活動計画をたて、実践した。ポスターの作成や啓発活動を行うなど問題解決のために実際に行動を起こした。コロナ禍において、国際協力の重要性が高まっていることを鑑み、10月から「核軍縮」を議題に18か国を代表する形に分かれて模擬国連に取り組んだ。

(5)学際国語 普通科2年生 英語系 文系必修
学際国語では、国内・世界における「課題」について。日本語で書かれた文章または資料を総合的に読む解釈し、新たな視点からそれらの問題を考察することを目的にしている。文理融合をテーマに扱った文章の読解活動を行う。グループによるアクティブ・ラーニングを実施する。探究活動としてはNIE活動を行い、そのまとめとして新聞を作成する。

(6)学際リサーチ 普通科2年生 英語系文系 選択
理科と地歴公民科の教諭が担当する「学際リサーチ」の目標は人権、環境、経済に関するテーマについて、社会的視野と科学的視野から考察し、課題に対しての解決策を考え、提案する力を身に着けることである。また、生徒間における議論を通して価値観を認めある姿勢を育てる。
1学期のテーマは「原子力発電所のある世界ない世界、あなたはどちらの未来を選択しますか」「ゴミ問題としてグローズアップされるプラスチックは本当に悪なのか」「新型コロナウイル ス感染症 with/after コロナにおけるNew Normalとは」であり、2学期は各自が興味を持つ新聞記事を選択し、社会的・科学的視点を意識して、解説、解決策を提案した。3学期は各自のテーマで課題研究を行い、小グループに分かれてプレゼンテーションを行う。さらに研究論文を作成する。

(7)学際フードデザイン 普通科3年 文系 選択
令和3年度に開校した新設の学際科目である。自己の暮らしと世界の課題を結び付け、新たな価値観や行動を生み出せる態度を育成するため、食生活と世界の諸問題との関連を知り、解決方法について考える。また、食育活動に主体的にかかわることで、食生活問題の解決方法を提案する。

2-2 社会に開かれた学びの実践――地域の社会教育機関、NPO等との連携

各学年の探究活動と、上記7科目の国際・学際系科目は、教室の学びだけにとどまるのではなく、社会に開かれた学びの実践の場となっている。国際機関、大学、企業との連携で特徴的なものとして、WHO Kobe センター所長による英語での講義、IT企業(株式会社OPTiM)による講演会、アメリカのスタンフォード大学の授業を受け、課題研究をまとめるStanford e-Kobe Program (9 月から8回)がある。本年度の講座は対面とオンラインを併用して、国際機関2講座、国内大学7講座、海外大学2座、企業6講座、自治体・NPO19講座の計35講座を開催することができた。内容は、国際保健、AI, グローバル社会、共生社会、リスクマネジメント、コミュニケーション、課題研究の進め方などである。さらに1年生対象には「探究の日」を設定し、グローバルな課題解決に取り組む国際機関、企業、NPOや自治体による対面やオンラインでの13講座を開講した。

本校は年間3回、課題研究の発表・意見交換・解決に向けたディスカッションを校内・校外の高校生と共に行っている。7月には、海外の姉妹校(スウェーデン・オーストラリア・フィリピン・インド・イラン)を招待し、オンラインで高校生国際会議を行い課題解決のため活発な意見交換をした。12月にはインターナショナルスクールを含めた近隣の国立・公立・私立の高校14校で、課題研究の発表とディスカッションを行う交流発表会をオンラインで主催した。1月には学際科目を中心に授業公開を行い、他の神戸市立高等学校3校が対面・オンラインを交えた協働学習を進めている。

来年度の活動計画

生徒が主体的にあるいは協働的に問題を見出し、解決を図っていく学習過程を重視した学校設定科目の学際系科目7科目(グローバルスタディーズIA(GSIA)、グローバルスタディーズⅡB(GSⅡB)、グローバルスタディーズⅡC(GSⅡC)、グローバルスタディーズⅢC(GSⅢC)、学際国語、学際リサーチ、学際フードデザイン)が今年度でそろった。来年度はさらに生徒の12の力を育成できるように、時代のニーズに合った教材開発、指導法の改善を進めていく予定である。
2022年度も、対面とオンラインを組み合わせて学校外の国際機関、大学、企業、自治体、NPO等度連携をして生徒に高度な学びを提供していく。 また、国内・海外の生徒との協働活動も今年度同様年間3回は行っていきたい。2022年7月に本校で開催予定の高校生国際会議は、海外5カ国(地域)から高校生を招待し、課題研究の発表の他に、活発な議論を行ない、提案を実現するための行動計画を立てて、会議後もその実践を目指していく予定である。2022年12月には、本校主催で引き続き課題研究交流発表会を実施する。探究活動への取り組みが熱心で特徴のある高校に参加してもらい、理系、文理融合型のポスター発表やディスカッションを企画する。2023年1月のフォーラムも実施予定である。また引き続き、生徒が視野を広げたり実践力をつけたりする成長の機会となるよう、校外で行われる大学等主催の課題研究発表会や協働学習の取組には、生徒の積極的な参加と深い学びを支援していきたい。