2021年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, 減災・防災, 気候変動, エネルギー, 環境, 文化多様性, 国際理解, 平和, 人権, ジェンダー平等, 福祉, 持続可能な生産と消費

不二聖心女子学院の取り組みについて

本校の教育理念は、「一人ひとりが神の愛を受けたかけがえのない存在であることを知り、世界の一員としての連帯感と使命感を持って、より良い社会を築くことに貢献する賢明な女性の育成を目指す」というものである。世界の一員としての連帯感と使命感を持つということは、ESDが重視する「地球上で起きている様々な問題が、遠い世界で起きていることではなく、自分の日々の生活に関係していることを意識付ける」ことと極めて関連が強い。ユネスコスクールが重点的に取り組む3つの分野と本校が重視する3本柱(環境教育、国際理解教育、平和・人権教育)との関係を意識しながら様々な活動を展開し、他者や世界との「つながり」を重視し、強め、実感させ、生徒自身の生き方の「変容」を期待していくことが本校のESDの大きな目標である。

①環境教育(ユネスコスクール重点目標「②持続可能な開発および持続可能なライフスタイル」との関連性が強い)

○校内の自然環境を利用した、生物多様性を意識した森づくり活動・森林保全活動(高1総合)
・NPO法人「土に還る木 森づくりの会」と連携したシイタケの植菌
・NPO法人「土に還る木 森づくりの会」と連携した植樹体験
・NPO法人「土に還る木 森づくりの会」と連携した、間伐材を利用した木工作品のアイデアコンテストの実施。商品化、チャリティセールでの販売を予定していたが、コロナ対策の関係で実施できず。
・「矢作川水系森林ボランティア協議会」の指導による「森の健康診断」
・上記の「森の健康診断」の成果を踏まえた上での間伐体験

○生物多様性と森林保全に関する講義・講演(高1総合)
・三井物産フォレスト株式会社の方による、社有林を活用したCSRについての講演
・静岡大学農学部教授による世界農業遺産・茶草場農法と生物多様性についての講演
・常葉大学名誉教授による富士山域の森林の保全についての講演

○「温暖化緩和策としての森林保全」を議題とした模擬国連の実施(高1総合)

○姉妹校と連携しながら活動を行う委員会において、二酸化炭素削減のためのコンタクトケース回収運動を全校生徒にむけて実施。
・SDGs5番の「ジェンダー平等」をテーマとするワークショップにオンラインで参加し、インターナショナルスクールも含めた姉妹校と交流した。

②国際理解教育(ユネスコスクール重点目標「③異文化学習および文化の多様性と文化遺産の尊重」との関連性が強い)

○海外への留学生を送る(姉妹校を含む)
・長期留学(約1年間)・・・カナダ(3名)、イタリア(1名)、フランス(1名)
・長期留学(約1年間)を計画していたが、コロナ禍のため中止または延期・・・カナダ(1名)
・短期留学(約数週間)を計画していたが、コロナ禍のため中止または延期・・・フランス(1名)

○留学生の受け入れ
・長期(約1年間)の受け入れを計画していたが、コロナ禍のため中止・・・今年度はなし
・短期(約数週間)の受け入れを計画していたが、コロナ禍のため中止・・・フランス(1名)、台湾(1名)、イタリア(1名)
・韓国の姉妹校より団体受け入れの受け入れを計画していたが、コロナ禍のため中止

○海外体験学習の実施(高校生希望者を対象)
・韓国での体験学習をオンライン(姉妹校と交流)で実施。
・姉妹校主催のカンボジアでの体験学習へ生徒派遣(今年度はコロナ禍のため中止)
・台湾での世界各国の姉妹校生徒が集まる文化交流プログラムへ生徒派遣(今年度はコロナ禍のため中止)
・海外大学生との交流などを行うグローバルキャリアプログラムをオンラインで実施
・姉妹校Virtual Exchange Programへの参加(生徒2名)
・ニュージーランドの姉妹校生徒とオンライン交流会

○トビタテ留学JAPAN 第7期生 アカデミック(テイクオフ)コースに2名の生徒が選抜。いずれの生徒もフィリピンへの短期留学を準備中。ただし、コロナ禍の影響により計画の延期・修正も随時行っている。

○静岡県ふじのくにグローバル人材育成事業ジョージタウン大学オンライン英会話プログラム(2週間)に代表生徒を派遣。高1~高3生徒計6名が活動。

○グローバルな意識を涵養するチャリティ活動へ参加・協力
・クリスマスチャリティーセールでのフェアトレード商品の販売を例年行っているが、コロナ対策のため実施できず。

○高校2年生全員で「フランス・ルーツへの旅」の実施
・本校の設立母体である聖心会創立者の故郷ジョワニーやパリのユネスコ本部等への訪問を計画していたが、コロナ禍のため、「ルーツへの旅」そのものは中止。その他の事前学習(次項参照)は予定通り実施。
・聖心会のシスターによるフランスで本学院を創立した聖マグダレナ・ソフィア・バラについての講演
・姉妹校である聖心女子大学教授によるフランスの社会と文化に関する講演
・SDGsカードゲームの実施(高2・高3)
・ユネスコ職員の方とのオンラインセッション(高2・高3)
・静岡県立美術館の学芸員の方によるフランスの美術に関する講話
・富士山世界遺産センターへの訪問・出前講座「富士山とSDGs」の実施

○JICAに派遣された方による国際協力とキャリア形成をテーマとした講演(高校2年生)

○ミャンマーで女性の社会進出を支える家事代行業を起業した卒業生が企画した「世界とつながる」をテーマとした講演(中高全学年希望者対象)

○第15回全日本高校模擬国連大会の本大会に生徒派遣(高2生徒2名)

○第5回全国高校教育模擬国連大会(AJEMUN)への参加(高校生12名)

○校内生徒が自主活動組織「Dear World」を立ち上げ、世界に目を向けることを目的として留学啓発・外国語コミュニケーション・ディスカッションなどの活動を実施。

○公益社団法人日本ユネスコ協会連盟主催「高校生カンボジアオンラインスタディツアー」に生徒5名参加

③平和・人権教育(ユネスコスクール重点目標「①地球市民および平和と非暴力の文化」との関連性が強い)

○長崎での平和学習旅行(キリスト教と原爆)とその準備(中学3年)
・予定していたが、コロナ禍のため中止

○女性としての生き方「人間学」について学ぶ講演や活動(高校3年)
・明治大学総合理数学部助教の卒業生による「学ぶこと、学ぶ喜び」についての講演
・助産師の方による「いのちの現場」についての講演
・複数の高校や大学で宗教科の授業や宗教科教育法などを担当する卒業生による「聖書の語る女性たち」についての講演
・慶應義塾大学名教授による「国際社会と日本」についての講演
・「男性の育児休暇取得」や「夫婦別姓」をテーマとしたディベート活動の実施

○チャリティ活動、奉仕活動への参加
・郊外活動については本年度はコロナ禍のため、例年に比べてほとんど実施できず。
・6月には七夕の飾りつけ、12月にはクリスマス会の看板作りなど、校内でできる奉仕活動を実施。社会福祉施設等30施設へ成果物を発送。
・クリスマス・キャロルのシーズンに、チャリティー・ラッフルを実施。売上約20万円を6つの教育支援・社会福祉団体に寄付。
・おかずを節約したお弁当を食べ、おかずの分として100円を寄付し、集め、貧しい地域や被災地に寄付をする「節約弁当」を実施。
・東京や大阪など全国10か所以上の障がいをお持ちの方や、路上生活をされている方などの支援団体に送る友愛小包の実施。

○困難を抱える方の暮らしを知る。
・カリタス南相馬のシスターより、現在の福島の様子や原発事故と東日本大震災についての講演(高校1年)

○校内生徒が自主活動組織「FUJI RAINBOW PRIDE」を立ち上げ、LGBTQをはじめとするセクシュアルマイノリティに関する理解を深め、性の多様性について考えていく活動を実施。

○校内生徒による自主的な活動「シトラスリボンプロジェクト」(コロナ禍で生まれた差別・偏見をなくすための活動)が実施された。

○第24代高校生平和大使に生徒1名が選抜され、校内外にて活動を行った。

来年度の活動計画

環境学習については、昨年度と同様に「森づくり」をテーマに据え、森の健康診断や間伐体験、間伐材を利用した木工作品のアイディアコンテストを前半の活動として行い、後半には「温暖化緩和策としての森林保全」を議題とした模擬国連活動を行っていく。

国際理解教育については、姉妹校を含む海外校への長期留学・短期留学の促進、姉妹校を含む海外校からの留学生の受け入れ、韓国などの国家間関係が難しい地域との交流継続や東南アジア諸国での海外体験学習の実施に力を入れていく。高校2年生全員が参加する本校の設立母体である聖心会のルーツを巡る「フランス・ルーツへの旅」も実施する。

平和・人権学習については、毎日行われているお祈りや、定期的に実施される奉仕活動などに引き続き力を入れ、取り組んでいく。中学3年生で行われる長崎での平和学習では、現地での研修や講話、教会での祈りを通して、戦争や宗教(信教)の自由について理解を深め、平和を維持する大切さを学ぶ。
いずれにおいても、新型コロナウイルスの感染対策に留意しながら実施していく。コロナ禍でも充実した活動ができるよう、オンラインでの研修や体験学習を模索していく。