2018年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

減災・防災

 本校は、「自助」「自助・共助」「自助・公助」を防災学習のテーマとして,3年1サイクルで学習している。今年度は「自助・共助」をテーマに学習を行った。防災学習とESDを関連づけており,ESDの実践を通して7つの力の育成を目標とした。
 具体的な活動内容は,体験的学習,探究的学習を柱に,①学年毎防災学習,②地区住民への質問紙調査と分析結果の考察,③総合防災訓練,④防災学習発表会を行った。

① 学年毎防災学習(体験的学習)
 1年生は,大崎市立田尻中学校の校長先生から「地震・津波のメカニズム」の講話をいただいた。実際に津波が起きたときの行動の仕方について,過去の事例などを挙げていただきながら考えることができた。2年生は,気仙沼消防署の方々から救急救命講習を受講した。また,養護教諭から止血法や包帯法などを学んだ。3年生は,階上小学校の1~4年生へ,防災紙芝居や塗り絵,防災カルタなどを活用して防災啓発活動を行った。また,ブルーシートを活用した簡易テントの作成も行った。学習を通して,緊急時には適切に判断して迅速に対応することの大切さを学ぶことができた。

② 地区住民への質問紙調査と分析結果の考察(探究的学習)
 階上地区1460世帯を対象に,東日本大震災以前の意識と地震発生時の避難行動に関する調査を行い,結果を生徒会防災委員が集計した。分析結果をもとに,部活動毎に課題を見つけて考察し,模造紙にまとめ,校内で発表会を行った。質問紙作成や発表会の際には東北大学災害科学国際研究所佐藤翔輔准教授から指導助言をいただいた。学習を通して,地区の防災意識は低くないものの,危機感が薄れていることを感じた。そこで,1つでも大切な命を守るために,生徒の思いや防災学習を通して学んだことを,地域に発信していく一方で,地域の方々からは過去の経験や教訓を教えていただくなど,互いに補い合い,共有し合うことの必要性を感じた。

③ 総合防災訓練(体験的学習)
 11月4日(日)の気仙沼市防災訓練に合わせ,午前中は地区住民の一員として地区毎に避難訓練を行った。訓練では,避難所の受付や,安否確認の手伝いなど,中学生にもできる活動を行い,避難後は,地区毎に炊き出し訓練や実際の消火訓練,放水訓練などを行った。また,訓練後には地区住民への調査結果と考察内容を発表し,地域に報告することができた。
 午後には避難所初期設営訓練を行った。生徒が学校にいることを想定し,大人に引き渡すまでの初期設営を行うことを目的としており,生徒会総務を対策本部とし,各委員会で役割を分担して行った。階上小学校の児童も避難者役として参加し,6年生は中学生と一緒に活動した。また,今年度は気仙沼向洋高校の生徒数名も避難者役として参加した。

④ 防災学習発表会(今年度の学習の報告)
 12月の参観日に,保護者や地区住民,防災教育推進委員,近隣の高校生や教員の前で防災学習発表会を行った。4部構成で,第1部では学年毎防災学習と地区毎の避難訓練について発表した。また,第2部で地区住民への調査結果の報告を行い,第3部で調査結果の部活動毎の考察を発表した。そして,第4部では新しい試みとして地域の方々との意見交換を行った。アンケート結果から,参加者のほとんどの方々が「良かった」という意見で,特に,生徒と地域の方々との意見交換は有意義なものだったという回答が多かった。一方で,生徒と地域住民とのコミュニケーションの取り方など,次年度への課題も見つかった。

来年度の活動計画

 来年度は,避難所初期設営訓練をより実践的なものにするため,避難所初期設営途中で大人に引き継ぎ,大人の指示のもとでどのような活動ができるかを学習させたい。
 探究的学習では,地区住民への質問紙調査にとどまらず,聞き取り調査も取り入れた新たな調査を地区住民と生徒に行い,防災に関する意識の違いを学習させたい。また,活動を通して防災に関する考え方を地域の方々にも理解してもらえるようにしたい。地区毎の避難訓練以外の地区行事にも積極的に参加することで,地域とのつながりを強めたい。
 そして,本校の防災学習の取組を地域にとどまらず多方面に発信し,多くの人々と意見を交わすことで,防災学習を持続・発展させていきたい。そのためにも,階上地区防災教育推進委員会との更なる連携の強化や東北大学災害科学国際研究所から指導助言をいただきながら進めていきたいと考えている。