2018年度活動報告
本年度の活動内容
福祉, 持続可能な生産と消費, 減災・防災, 健康, その他の関連分野
本校では,ユネスコスクールとして,ESDを主に総合的な学習の時間において「生き方を考える学習」というテーマを設定して位置付け,「志教育」との関連を図りながら,持続可能な社会づくりの担い手としての資質・能力及び態度を育むことをねらいとしている。
本テーマでの学習活動は今年度で3年目となる。課題発見から課題解決への過程を経験させ,思考力・判断力・表現力を伸ばすための指導に重点を置いた。また,社会との関わりの中で生きていくことを考えさせるために,企業やNPO法人等の団体,地域人材等の積極的な活用を図っている。
【ESDで育てたい資質・能力】
ESDで育てたい資質・能力
総合的な学習の時間における評価の観点
志教育の視点
①
❶批判的に考える力
❸多面的,総合的に考える力
問題や関係をとらえる能力(思考力)
もとめる
②
❹コミュニケーションを行う力
❻つながりを尊重する態度
適切に表現してかかわる能力(表現力)
かかわる
③
❷未来像を予測して計画を立てる力
❼進んで参加する態度
主体的に解決する態度(課題解決)
はたす
④
❺他者と協力する態度
自己の役割を果たして共に生きる態度(生き方)
もとめる
かかわる
はたす
本校では,全校テーマである「生き方を考える学習」について,3年間の学習を通して生徒各自の意識を高められるように,学年ごとに段階的に活動テーマを設定している。また,各学年の活動テーマを「問い」の形で設定することで生徒の探究心を刺激し,主体的に課題解決に取り組むよう促している。
学習の流れとして,個人の課題からグループ分けをし,グループ研究として活動を進める。研究のまとめとしては,新聞やレポート,プレゼンテーションの形式でまとめ,文化祭等で学習内容について発信する。
【全校テーマ「生き方を考える学習」(各学年28時間)】
年度初めに,全校生徒を対象の一斉授業を行い,3年間の学習活動の概要について説明した。各学年のテーマを確認し,1年次,2年次,3年次と段階的に探究を進めていく学習活動であることの共通理解を図り,1年間の学習活動の流れについて見通しを持たせることができた。
1学年テーマ「社会を知ろう」
問い:「私たちの社会にはどんな良さや課題があるのだろうか?」
1学年では,まず初めに,世界に目を向けて「SDGs」について学習した。世界で取り組まなければならない17の目標を確認し,関心のある目標について調べ学習を行った。個人レポートを作成することで世界の課題を知ることができた。次に,市の震災復興・企画課の方から気仙沼市の現状について講話をいただき,自分が暮らす地域の課題について学んだ。また,世界に誇れる魅力が多くあることにも改めて気付くことができた。その地域の魅力についてグループでテーマを設定し,調べ学習を行った。図書資料やインターネットで情報収集する他に,市内漁業関連施設の見学を行い,調べて分かったことや考えたことをグループごとにまとめる活動を行った。
2学年テーマ「人々を知ろう」
問い:「社会にはどんな生き方や取組をしている人々がいるのだろうか?」
2学年では,1学年次の地域社会についての学習を受けて,地域で活躍する「人々」に焦点を当てて学習した。学習の導入時に「なぜ働くのだろう」という年間を通した問いを設定し,様々な活動を通して働くというのはどういうことなのかについて探究させた。
7月の職場体験学習の前に,地元商工会議所の方々を招いて職業講話を行った。事業内容のプレゼンから具体的な仕事内容を知り,就業へのイメージを持って職場体験学習に臨むことができた。
地域で活躍している人々を招いてのインタビュー学習では,グループに分かれて生き方や取組についてのインタビューを行った。インタビュー内容から,魅力的な生き方や働くことの意義について理解を深めることができ,分かったことや考えたことをまとめる活動を行った。
3学年テーマ「生き方を考えよう」
問い:「将来の自分は社会の中でどのように生きたいのか?」
地域で活動するNPO法人や企業の方々を講師として招き,課題解決的な学習に取り組んだ。各団体の方から,地域の課題を提示してもらい,団体の方々とディスカッションを重ねながら具体的な解決に向けて生徒主体で提案プログラムを作成した。まとめとして,その団体の方々を招いてプレゼンテーションを行った。
また,3年間の探究学習の集大成として,3年生の生徒一人一人が,将来の生き方についての考えや思いをスピーチにまとめる活動を行った。
1,2年生は,個人やグループで研究したことをレポートや新聞形式,また,プレゼンテーションの形でまとめ,文化祭で地域の人々や保護者に発表した。3年生は,提案内容を写真や図などを用いてプレゼンテーションの形式でまとめ,協力していただいた団体の方々を招いて発表した。個人の振り返りとして,1年間の活動を通して学んだことや身に付いたと思う力を短い文章でまとめさせ,評価や次年度の計画にも活用した。
生徒は活動に対して大変意欲的に取り組んでおり,生徒・保護者の評価も高い。3年間の様々な活動を通して,ESDで育てたい資質や能力を向上させることができたと実感している。
来年度の活動計画
ESDの取組として,31年度も総合的な学習の時間を中心に,学習活動内容の改善を図りながら取り組む。
全校テーマ「生き方を考える学習」
1学年 探究学習1「社会を知ろう」
問い:「私たちの社会にはどんな良さや課題があるのだろうか?」
2学年 探究学習2「人々を知ろう」
問い:「社会にはどんな生き方や取組をしている人々がいるのだろうか?」
3学年 探究学習3「生き方を考えよう」
問い:「将来の自分は社会の中でどのように生きたいのか?」
ESDを推進していく上で,以下の3点の改善を図っていきたい。
・ 学習活動に協力していただける地域人材確保の効率化を図るため,コーディネーター的な役割を果たしてもらえる方の協力を継続させる。
・ 3年間の活動の流れについては,概ね系統性あるものになっているが,実施時期や具体的な活動内容については,修正が必要である。特に3学年の企業等の方を招いての活動では,日程の調整が必要であり,通常授業時間内の活動だけでは難しい面がある。
・ 学習内容については,新聞やレポート形式での展示発表,プレゼンテーションソフトを活用したスピーチ発表を行っているが,パネルディスカッション形式など,校外への発信方法を工夫したい。