2018年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, 環境, 国際理解, 平和, 人権, 福祉, 持続可能な生産と消費, 減災・防災, 世界遺産・地域の文化財等, 健康, 食育, 貧困

本校の教育実践のテーマ
『地域の課題に積極果敢に挑戦し、未来をひらき、支え続ける若い世代の育成~少子高齢化・人口減少・過疎化に挑戦する高校生~』
1 ねらい
近い将来に日本が直面する少子高齢化・人口減少社会が既に到来している周防大島町にある唯一の県立高校として、本校は地域の課題に関する探究的な学習活動や地域への貢献活動に力を入れている。基幹産業のみかん栽培と漁業は担い手不足が深刻化し、新たな産業として観光業に力を注いでいる周防大島地域を「島じゅうキャンパス」と見なして現代的課題の解決に向けた挑戦となる取組を展開し、地域コミュニティの持続・活性化に寄与する志と実践力をもつ生徒の育成をめざす。
2 今年度実践内容
(1)時代や地域のニーズに応える学科「地域創生科」での特色ある教育活動
「福祉コース」と「ビジネスコース」の2コースで、地域の活性化をめざして学習活動を展開。
「福祉コ-ス」では、1年次生が地域の高齢者施設を見学して理解を広げ、2・3年次生は地域の高齢者施設での実習を通して普段授業で学んでいる福祉の知識がどのように活かされるのかを実践的に学んだ。また、第28回全国産業教育フェア山口大会(「さんフェア」)に、手浴とフラ体操の2グループに分かれて参加をした。また、「福祉の学びをとおして~長く生きることは幸せだと思える社会に~」のテーマで3年次生3名が研究発表を行った。長寿社会を幸せに生きるためには周りの支えが重要であり、福祉をとおして「長生きが幸せだ」と心から思える社会作りをめざそうという提言であり、本校の教育実践の理念を体現した発表であった。
「ビジネスコース」では、周防大島地域の活性化に向けて、周防大島の魅力を発信するための取組を行った。さんフェアでは、2・3年次生が一年間行った学習活動の中心である「846縞(やしろじま)」についてのパネル展示、機織り体験コーナーの開催等により日頃の学習の成果を披露した。
(2)ふるさとへの誇りと愛着を育む教育活動の系統的・計画的な展開
本校では、1年次生の「総合的な学習の時間」と2・3年次生の学校設定科目「地域創生Ⅰ・Ⅱ」「フィールドワークⅠ・Ⅱ」を通して「島がすき、学校がすき、そこで生きてる人がすき」をコンセプトとした「島・学・人プロジェクト」を展開している。
①「総合的な学習の時間」における取組
ア 「英語コミュニケーション」
(普通科特別進学コース)
ハワイの高校生との交流や地元の小学校に出向いての英語の出前授業等、実際に英語を使ってコミュニケーションをとる楽しさを味わい、今後の英語学習に対するモチベーションを高めた。
イ 「安下庄海の市」への参加による地域貢献活動
(普通科普通コース・地域創生科)
地元で毎月一度開催される「安下庄海の市」において、学習成果を披露するパネル展示や各出店での地域活性型インターンシップ、「子ども夢広場」の企画・運営等を通して地域行事を盛り上げた。
②「すおうおおしまキレイな海岸フォトコンテンスト」の実施(全校生徒)
③ ふれあいみかん収穫作業(1年次生全員)
昭和57年から続いている伝統行事で、島内の農家の御協力をいただき実施した。担い手不足が深刻なみかん農家の仕事の大変さと楽しさを実感する貴重な機会となった。
④ 政策アイデアコンテストへの参加(3年次)
授業「フィールドワークⅡ」で政策アイデアコースを選択している生徒がアイデアをまとめて校外のコンテストに応募をし、書類審査を通過したグループが会場で発表を行った。発表を行ったコンテストは「内閣府主催『地方創生☆政策アイデアコンテスト2018』」「2018年高校生未来開発ビジネスアイデアコンテスト」「和歌山県主催『第2回和歌山県データ利活用コンペティション』」。地域の現状・課題と向き合い、分析し解決策となる政策アイデアを提案する取組を通して、未来を切りひらこうという志が生徒の中に根付いていった。
(3)世界の難民の子ども達に子ども服を届ける古着回収活動(全校生徒)
「ユニクロ」「GU」を展開するファーストリテイリングと国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のパートナーシップのもとで進められる「“届けよう、服のチカラ”プロジェクト」に2015年度から学校を挙げて参加している。専門委員会内に「ボランティア・ユネスコスクール委員会」を立ち上げ、委員が中心となって回収ボックスや呼びかけのチラシを作成し、島内の中学校や役場出張所と連携して回収ボックスを設置させていただき、毎年2000着前後の子ども服を回収している。10月にUNHCR職員及びユニクロ職員、カメラマン計5名が視察に来校され、世界の難民の現状についての話を生徒が聞く機会をいただき、感動した生徒らは本活動に対する意欲を新たに奮い立たせた。本年度は1138着の子ども服を回収し、コロンビアで避難生活を送る難民の方々のもとに届けることができた。
3 成果と課題
「地域とともにある学校」をめざし、ユネスコスクール、コミュニティ・スクール、全国的にも珍しい「地域創生科」を設置した学校として、本校は様々な活動に取り組んでいる。年々そうした活動に工夫・改善を加え厚みをもたせることにより、本校は自他共に認める特色ある高校に育ってきた。
そうした中、10月に起きた大島大橋への外国貨物船衝突による島内全域の40日にわたる断水の際には、学校運営協議会委員から「もっと学校を開いて生徒や先生が地域に出て行けなかったか」という問いを突きつけられ、自らの姿勢への振り返りを求められた。本校が地域から期待されていることは何か、本校の生徒・教職員全員が考え続けていかねばなるまい。
日々の教育活動の中で生徒は確実に成長し、本校の教育理念の浸透の手応えは感じられ、全国共通の教育課題である自己肯定感、自己有用感の醸成を本校は相当程度達成できていると考えている。生徒の成長にとって真に必要な取組の精選を進め、地域に必要とされる学校になるための努力を今後も続けていきたい。

来年度の活動計画

校内的には、管理職・校務分掌(中高一貫教育・地域連携部)・各年次等、縦と横の連携を確認しながら、組織的に活動を展開する。
また、学校運営協議会や校外(地域、連携中学校、行政等)との連携にも細やかに気を配る。地域の方々に本校の取組への理解を深めていただくために、学校HPやfacebookを積極的に活用し、本校の取組の事後報告だけでなく、学校行事予定等予告も十分に行うように配慮する。