2018年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, 環境

 本校は、「知ろう 伝えよう 私たちのまち!~伝統文化と自然~」を学校理念として、ESDを、人間性を育み、「関わり」「つながり」を尊重できる個人を育むことと捉え、ESDの実践を通してつながりを尊重する力の育成を目標とした。

 具体的には、「地域の人々とかかわり“暮らす”」「地域の自然から学び“生きる”」を柱に、①地域の伝統文化に係わる活動、②生物多様性に係わる教育、③環境に係わる学習を行った。

① 地域の伝統文化係わる活動

 金沢市内の様々な伝統文化を継承している方々から、その技を体験させていただく活動を行った。本年度は「書道」「茶道」「和菓子づくり」を行っている方々に来校していただいた。

 「茶道」では、礼儀を重んじるところから、相手を大切にする「おもてなし」の心の大切さを学び、「和菓子作り」では四季の変化を取り入れた繊細な技術に感動する様子が見られた。

 児童はこれらの活動を通し、伝統文化の継承に尽力している方々が身に付けている技に感動し、そのような技を体得している方へ尊敬の念を持ち、また伝統文化を継承している金沢という地域そのものに愛着を感じることができたようである。

② 生物多様性係わる教育

 本校には中庭に“ホタル飼育小屋”がある。約35年前にホタルの飼育実践に取り組んだ際に建築されたものである。以降、ホタルの飼育は第4学年が受け継いでおり、本年度も継続して取り組んだ。

 実際には、顕微鏡で観察するくらい小さい幼虫から、エサやり、真夏の水質管理など夏休み中も含めて3ヶ月近く世話をし、2㎝くらいの大きさまで育てて、放流することができた。

 児童は、幼虫の飼育から生命のはかなさ、それでもつながっていく命の重さを感じたようである。そして、放流を通して「ホタルにも人にも住みやすい環境」について考え、ホタルが住みよい環境を作っていくのは自分達であることを自覚し、環境を維持していく必要性を考える機会となった。

③ 環境に係わる学習

 校区を流れる高橋川に焦点を当て、その環境や川に関する人々の暮らしの移り変わりを学んだ。児童は、実際に高橋川の様子を観察したり、高橋川の歴史について地域の方の話を聞いたりするなかで、川の汚れに興味・関心を持った。活動後、川に住む生き物・高橋川の歴史・川の様子・水質・ゴミという観点で調べる中で、洪水を防ぐための護岸工事によって高橋川が姿を変えたことや、川のきれいさによって住める生き物に違いがあること等を知った。

 この活動を通して、身近なことから環境問題について考える良い機会となった。また、夏の地域行事として参加している「扇台川祭り」の始まりを知ることにもなった。このように、高橋川から地域の歴史と人のつながりを感じることで、この環境と歴史を守ろうとする自覚が児童に芽生えたようである。

来年度の活動計画

 ESDの実践を通してつながりを尊重する力の育成を目標とし、①地域の伝統文化に係わる活動、②生物多様性に係わる教育、③環境に係わる学習を行う。「総合的な学習の時間」の教育課程において、本校の児童の実態に応じ、育てたい資質や能力を明示し取り組んでいく。また、各教科の学習では、学習指導要領と関連付け、ESDを核とした課題解決型の学習過程を重視した授業を行っていく。