2018年度活動報告
本年度の活動内容
エネルギー, 環境, 国際理解, 平和, 人権, 持続可能な生産と消費, 世界遺産・地域の文化財等, 食育, 貧困
本校は平成24年にユネスコスクールに認定され,ESD(持続可能な開発のための教育)の視点を取り入れた学習活動を展開してきた。ESDの概念を取り入れることは,子どもたちに「批判的に考える力」「未来を予測して計画を立てる力」「多面的・総合的に考える力」「コミュニケーションを行う力」「他者と協力する態度」「つながりを尊重する態度」「進んで参加する態度」といった問題解決に必要なさまざまな能力・態度を身に付けることにつながるとされている。新学習指導要領でも「持続可能な社会の創り手となる」子どもの育成が求められており本校の学習活動が、教育の目的及び目標の達成には必要なものであることが分かる。
本校の児童は,自分の考えたことや気持ちを伝えることが苦手な子や,伝えることができても,友だちの思いや考えをしっかりと聞いて受けとめることができにくい子,学習で分かったことや考えたこと、自分の意見等を分かりやすく論理的に書き表すことが苦手な子が多く、表現力やコミュニケーション能力の育成が課題の一つとしてあげられる。また,与えられた課題に対してはまじめに取り組み,進んでみんなと協力しながら課題に取り組むことができる子は多いが,自分たちで課題を見つけ,多面的・総合的あるいは批判的に課題について考え,さらに深く課題を解決し,行動していこうとする力は,まだ弱いところがある。さらに,考えたことをもとに自分がどういうことをしていけばいいのかを判断し,主体的に行動していく力も弱い面がある。
このような児童の課題を克服するために,ESDの視点を取り入れた研究をさらに推し進め、各教科や総合的な学習の時間での教科等横断的なカリキュラムを編成し「自ら課題を見つけ,仲間とともに意欲的に解決しようとする子の育成」をテーマに,研究を行うことにした。
具体的には、蔵持の人・もの・自然・文化・歴史とのつながりを重視した「地域に根ざした学習」を柱に、①「ごみと環境~もったいないを考えよう~」の学習、②「百年後の蔵持を守る~米作りを通して~」の活動、③オーストラリアのハンティングデール小学校との交流、④「水を大切にしよう」の活動を行った。
① 「ごみと環境~もったいないを考えよう~」の学習(4年生)
【SDGs7 エネルギーをみんなにそしてクリーンに】
社会科で学習した「ごみの行方」を生かしながら、さらに「なぜごみを減らすのか」について考えた。自分たちの身の回りの「もったいない」ことについて調べ、身近なごみ問題に対して自分に何ができるかについて考えた。具体的には、名張市のホームページにある「食品ロス」を減らす取り組みについて学習し、自分でできることを決めて実行にうつすことができた。さらに、学習してわかったことや自分たちが考えた「ごみを減らす」取組の協力を全校に呼びかけた。
② 「百年後の蔵持を守る~米作りを通して~」の活動(5年生)
【SDGs7 エネルギーをみんなにそしてクリーンに】
蔵持地域の田んぼを使わせていただき、米作り体験(田植え、観察、案山子づくり、稲刈り)を通し、米をより身近なものにする。また、海外の交流校の農業の状況との比較をすることにより、自分たちの住む国の食料生産の現状を実感した。
③ オーストラリアのハンティングデール小学校との交流(全校)
【SDGs17 パートナーシップで目標を達成しよう】
本校では、子どもたちが広い視野をもつとともに、異文化に対する理解や、異なる文化をもつ人々と協調して生きていく態度を育てることなどを目的にオーストラリアのメルボルン市にあるハンティングデール小学校と交流している。今年は、手紙やSkypeでの交流を行った。
④ 「水を大切にしよう」の活動(ユネスコ委員会)
【SDGs6 安全な水とトイレを世界中に SDGs7 エネルギーをみんなにそしてクリーンに】
ユネスコ委員会の取組として、「マイエンザ」を使って水をきれいにする取組を行った。「マイエンザ」は、ヨーグルト、さとう、イースト菌、納豆、湯をつかって1週間ほどでできる溶液である。「マイエンザ」を使って、プールやトイレの汚れを落としたり、野菜作りに生かしたりすることができた。
来年度の活動計画
子どもたちにとって、地域は自分たちを成長させてくれる大切な場所である。自分たちとの関連が深く、自分たちで学習を深め、行動化に移しやすい「地域に根ざした学習」に取り組むことで、子どもたちは、「もっと蔵持のことを調べたい」「どうしたらもっと安全なまちにできるだろう」「蔵持のいいところをもっと発信したい」など、蔵持地域のよさに気づくとともに、地域を大切に思う心が育ってきている。
ESDの視点に立った授業を行うことで、子どもたちは友だちの言ったことに対して建設的に考えたり、一つの課題に対して多面的に考えたりして、未来を見据えた思考が少しずつではあるが、できるようになってきたと感じている。
今回の研究により、私たちは、「子どもたちの学ぶ意欲にいかに火をつけるか」、また、その「学びの火をいかに燃やし続けるか」を合い言葉に取り組んできたが、これまでの成果を踏まえつつ、引き続き、この学びの火をこれからも絶やさぬように取り組んでいきたい。