2020年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, 減災・防災, 環境, 平和, 人権

本校は、「自律・実践・創造」を学校理念として、ESDを環境、平和などの現代社会の課題を自らの課題と捉え、ESDの実践を通して「地域を知り、地域で育ち、地域に貢献できる社会人として生きる」人間性の育成を目標とした。

具体的には、環境調査、研究、発表を柱に、①生物多様性に係わる活動、②防災に係わる教育、③平和・人権に係わる学習、④キャリア教育の中で、将来の自分と地域社会とのつながりを意識させる教育を行った。

①生物多様性に係わる活動

本校は小高い山を切り拓いた八百津町の中心部から南西に位置する高台にある。この高台から北部は木曽川の河岸段丘が発達し、豊かな田園地帯が広がっており、通学路は北側からに限られている。しかし、正門の南側には航空写真で確認すると、御嵩町につながる7kmほどの林道(伊岐津志林道)があり、その中ほどにため池が確認できた。そこで、承諾を受けられた範囲で林道とため池の調査を行った。

結果、ため池の水は農業用水として問題なく、日本固有の魚類も多く生存していた。しかし、外来種の侵入が確認できたので見守っていく必要がある。また、ため池の水からマイクロプラスチックの存在が示唆された。この調査は本校が加盟しているユネスコスクールの活動としても価値あるものであり、文化多様性と文化の持続可能な開発への貢献の理解の教育を通して、すべての学習者が持続可能な開発を推進するために必要な知識及び技能を習得することができる。

②防災に係わる教育

本校では、毎年発生する地震や台風などの災害に備えて、防災係を募っている。そして、地域(御嵩町)と連携し、8月から11月の4カ月に計4回の講義(御嵩町防災アカデミー)への参加を勧めるなど、学校だけでなく地域社会にも役立つ若者の育成に尽力している。そして受講者には学校独自科目として1単位認定し、講座最終日には防災士試験を受けた。試験内容が多岐に渡り、テキストも分厚く、何をどう勉強したらいいか苦労したが、放課後の時間などを使い、受験者同士で集まって試験対策のための勉強会を実施した。資格取得ができなかった生徒については、他の近隣の防災安全課と連携を取り、再受験の機会を設定した。

③平和・人権に係わる学習

杉原千畝氏の精神を受け継ぐ人道的価値観を育む教育を進めている。氏の功績を深く知るために、八百津町元国際交流員リバモア・ハニト氏による講演【ユダヤ人から見た杉原千畝】を1年の全クラスで実施した。人権尊重の立場から物事を見て、深く考える学びのための土台の構築を目指した。

④社会での調和と自立を目指した教育

 2年生の教養コース(就職希望者向けカリキュラム)でのデュアルシステム(実践力の向上、勤労観・職業観の育成を目的に、学校での座学と企業での実習を組み合わせて行う教育システム)で、選択者(今年度は20人)の活動を通して自らの職業観を育てるとともに、実習先企業の課題発見をきっかけに、将来にわたって地域の企業とその業界が活力を持ち続けるための課題を考察する姿勢を養った。今年度に関しては、コロナ禍の影響で7月から始まり、受け入れができなくなった企業もあるなど不運なところもあったが、企業に従事した生徒たちはそれぞれの課題を発見し、2月にオンラインで成果発表会を行う予定である。

来年度の活動計画

人道的価値観を育む教育

杉原千畝氏の精神を受け継ぐ人道的価値観を育む教育を進め、人を思いやる心や感謝する心などを育み、将来の地域を支える社会人としての資質を育てる。

社会での調和と自立を目指した教育

デュアルシステムで自らの将来像を考え、他人と連携し協働する力をつけるとともに、地域の発展に貢献できる人材を育てる。

ふるさとを知りふるさとを守る教育

八百津祭りや八百津町産業文化祭などの地域行事へ参加することにより、ふるさとに愛着を持ち、自然を大切にする心を育てるとともに、自ら進んで取り組める能力を養う。