2019年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

生物多様性, 環境, 福祉, 持続可能な生産と消費

本校は,「よく考えて行う子,なかよく力を合わせる子,気力にあふれやりぬく子」を学校目標とし,ESDを「自ら考え,自ら行い,自らを高める活動」と捉え,「E…いいと思うことを S…進んで D…できる子」の育成を目指している。具体的な取り組みとして,環境に係わる活動を柱に,故郷山ノ内町の自然や文化的財産に係わる活動,地域の人と関わる活動,生き物とのくらしをつくる活動などを行っている。

① 環境に係わる活動

毎年志賀高原で行われている「ABIMORI~いのちを守る森作り~」の環境保護活動に,全校児童が関わっている。1・2年生は,どんぐりをプランターに播き苗木を育て,3年生は,植樹の苗木になるコメツガを志賀高原の森林から採取した。5・6年生は,全国各地,地域のみなさんと共に,スキー場跡地が再生するように植樹作業を行った。4年生は,遠足で焼額山に登りガイドの方から志賀高原の動植物について教えてもらい,志賀高原の現状や課題について考えるきっかけとなった。自分たちの活動が自然を守ることにつながっていると実感し,志賀高原への愛着や今ある自然を未来につなげていきたいという気持ちが育まれつつあると思われる。また,道徳や社会科の授業で,「ABMORIの活動と同じだね」「山ノ内町だったらどうかな」などと,自分たちの生活や地域と関連させて考える児童の姿が見られ,活動が子どもたちの中に根付いている。

② 持続可能な生産と消費に係わる活動

かつて山ノ内町の山間地域で盛んに行われていた炭焼きを,「自然破壊はしないで,利用されていない木を再利用したい」という願いで昨年度から継続して活動している6年生。
地域や町の協力を得て,台風などの被害で倒れた竹や間伐材を頂き材料を集めた。山から竹を切り出し運ぶ作業,釜となるドラム缶を埋めるための穴を掘る作業,ドラム缶を密閉させるために粘土をはっていく作業など,友だちと力を合わせる場面がたくさんあり,楽しいことも大変なこともみんなで分かち合うことができた。捨てられてしまう物に目を向け,体験を通して炭の温かさや価値に気づき,バザーで炭を販売することで,家族や地域の方に炭の良さを伝えることができた。

③ 地域の素材を生かした学習

「2年生の時に作った温泉まんじゅうを,今年は自分たちで育てた小豆を使ってまんじゅうを作りたい」という願いをもち,小豆の栽培を始めた3年生。春に種まきをした小豆をサルや台風から守り,秋には5キロ程の収穫が得られた。児童は,本で調べて餡作りを行った。しかし,自分たちで作った小豆の餡は美味しかったけれど,おまんじゅう屋さんの餡とは違った。もっと美味しい餡にするために,地元のおまんじゅう屋さんから餡の作り方を教えてもらい,おまんじゅう屋さんは,手間をかけて餡作りをしていることや砂糖だけでなく塩をほんのわずか入れることで甘さが引き立ち美味しくなることを知った。また,湯田中の喫茶店と協力して,餡を使ったスイーツの商品開発を行ってきた。山ノ内町の特産物を生かし,山ノ内町を訪れる観光客や地元のみなさんに食べてもらえるようなスイーツにしたいと願い試作を重ねた。児童は,町探検や社会科見学,リンゴ栽培活動など今までの経験から感じたことがスイーツ作りにつながっている。

④ 地域の人やものと関わる学習

山ノ内町で生まれ,志賀高原の間伐材で作られている楽器「コカリナ」の学習に取り組んだ4年生。コカリナ誕生に大きくかかわり現在コカリナを製作しているOさんと出会いでコカリナに込められた願いを知り,コカリナの仕上げをすることで自分のコカリナに愛着をもつことができた。地元でコカリナの普及に努めているK先生にコカリナを教えてもらい練習に励み,志賀高原遠足や音楽会,交流の場でコカリナを吹き身近な楽器の一つとなった。また,「地域の方に音楽を届けて楽しい時間を過ごしてほしい」と願って,ディサービスで地域の方と交流する機会をいただいた。地域の方とふれ合うことで,相手のことを考えて行動したり自分たちにできそうなことを考えたりする姿が見られ,自分たちも温かな気持ちになり共に楽しむことができた。

来年度の活動計画

「ABIMORI~いのちを守る森作り~」に係わる活動や志賀高原遠足(地獄谷野猿公苑,自然教育園,コメツガ採取,焼額山登山),高原学習(志賀山登山),コカリナなど,志賀高原ユネスコエコパークに係わる活動を柱に,地域の人やものと関わり合いながら,各学級で活動を進めていきたい。自分たちの学習や活動がSDGsとどうつながっているのか活動を振り返ったり,関連させて考えたり,自分たちの活動を工夫したりして,活動の原動力を耕していきたいと思う。