2020年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

減災・防災, 環境, 平和

本校は校内に「若竹プロジェクト(ユネスコスクール)委員会」を設置し、ユネスコスクールの活動について、様々な教育実践を企画・運営している。具体的には「命」「心」「環境」をキーワードに、教育課程の中に位置づけて「人間教育」として実践している。近年では「防災」「国際理解」の実践活動にも取り組んでいる。

しかしながら2020年度は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受け、実施に至らなかった行事もあった。1年生の「家庭総合」の時間を活用して行っている「赤ちゃんふれあい交流授業」は毎年多くの親子の協力を得て貴重な体験を続けてきたが見送らざるを得なかった。また、生徒・保護者・教職員で地域清掃活動を行う「若竹クリーンプロジェクト」も対策を取りづらく実施を見送った。さらに、近隣の特別養護老人ホームにおいて、美術部や写真部が作品展示、アンサンブル部が演奏会を実施して交流を深めてきたが、これも感染予防から見送った。毎年大切にしてきた行事を実施することが出来なかったことは大変残念であるとともに、今まで重ねてきた実践が如何に貴重なものであったかを再確認する年度となった。

Ⅰ 2年生の「総合的な探究の時間」に組み込んで実施した活動

2年生の「総合的な探究の時間」を「ユネスコタイム」と位置づけ、様々な探究活動を「地理歴史・公民科」「理科」「保健体育科」の教員が担当している。生徒は3つのグループに分かれて1週間ごとに各科の担当する内容を順番に受講している。

(1)広島・神戸を訪れる修学旅行に向けた「平和・防災」に関する取り組み

様々な過去の資料を活用した戦争や原爆に関する学習と震災に関する学習を行い、修学旅行の意義を高めるとともに「平和」について深く考える活動を行っている。また、修学旅行後は拉致被害者の問題などの平和に関わる内容に取り組んでいる。

(2)伊勢湾に流れ込む「新川」水質調査の取り組み

本校は「新川」堤防沿いに立地しており、その堤防は学校風景の一部となっている。この川は江戸時代に開削された庄内川水系の人工河川で、戦前から交通の便も良いため紡績工場や染色工場などの繊維工業が発達し、高度成長期には住宅地域にもなっていたため、工場排水や生活排水で相当汚染されていた。近年は、繊維工業関連の工場も少なくなり、下水道の整備も進んだため汚染も減少している。

生徒は、バケツで川の水を汲みあげ、試薬を用いてペーハー値を調べ、記録する活動を継続している。このデータをもとに経年変化に注目しながら川の生態系にとどまらず川の歴史や人間生活との関連に着目した探究活動に取り組んでいる。

(3)心肺蘇生法とAEDトレーニングなど人命救助に関わる取り組み

生徒はグループごとに分かれて心肺蘇生のトレーニング用人形とAEDトレーナーを使った実習を行っている。1学期は主に傷病者発見から胸骨圧迫と人工呼吸について学び、2学期はAEDの使用法について、3学期は年間のまとめと傷病者の運搬法について学んでいる。認定試験に無事合格した生徒には普通救命講習修了証が渡される。この講座のために教員は、応急手当普及員の資格を取り、定期的に更新しながら生徒を指導している。

Ⅱ 防災委員会活動を軸とした防災活動

1年生各クラスから2名の防災委員を選出し、委員会として年2回の「防災新聞」を発行している。1学期末に名古屋市港防災センターを訪問する予定であったが、中止となった。名古屋市内にはほかにも名古屋大学減災館という防災学習に適した施設があり、隔年で訪問している。防災委員はそこで学んだことを全校生徒向けに新聞にまとめて発行している。2学期には名古屋市消防局の協力を得て「起震車体験」を1年生全員で行った。消防署員に防護服を着させてもらったり、非常持出袋の中身について解説を受けたりして興味関心を深めることが出来た。この様子も新聞にまとめて全校生徒向けに発行した。また、入学時に非常食を購入して学校に保管し、卒業時に返却する取り組みを行っているが、その試食会を実施して非常食の新規購入品の選定も行っている。

 

来年度の活動計画

2021年度は、今年実施できなかった行事の実施を探りながら新しい実施形態を模索することになる。これまで人と人とのふれあいを大事にする行事が主であったため、大きな転換点となる。

本校は、シドニーの近くにある「ブルーマウンテンズグラマースクール(BMGS)」と姉妹校提携をしており、隔年でホームステイ受入れを行っている。2021年は受入れの年にあたるが、実際に来日することが難しいことも予想される。折角の「国際理解」を絶やすことがないように、BMGSの生徒と本校の生徒がオンラインでつながることを考えている。オンラインを活用すれば、交流の機会が増えて「国際理解」の可能性が広がることにもなるため、実施に向けた検討を行う。