2020年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

環境

本園は「心豊かでたくましい両河内の子」を教育保育目標とし、ESDを「興津川の美しい水と『緑のダム』としての森林に親しむ保育」の推進と捉え、ESDの実践を通して地域への愛着の醸成と自然の中でたくましく生きる力の育成を目標とした。

今年度は、4月から5月にかけて緊急事態宣言発令に伴う臨時休園と登園自粛、コロナウィルス感染防止による保育内容の変更等、十分な活動ができない1年だった。その中でも、できる事を考え、子ども達と共にできる活動を熟慮し、地域の自然・人に触れる、地域の特産物による食や遊びの体験をする、興津川の美しい水を守る大切さを知ることを柱に、①川遊びや水棲生物との触れ合いを通して、興津川に親しむ活動②地域の人との連携の中で、山からの恵みを五感で体験する活動を行った。

①川遊びや水棲生物との触れ合いを通して、興津川に親しむ活動

河川敷に出掛けると、春秋は日の光を反射しキラキラ光る川面に目を向けながら草花や虫を見つけ、夏は川辺でオタマジャクシ等の水棲生物を見つけ楽しんだ。川の中に足を入れ遊ぶ中で流れがあること、水の冷たさ、気持ち良さを体感した。今年度は大雨や土砂災害等の関係で、清流興津川も茶色く濁っている日が多く見られた。 園外保育で橋から川を見て、子ども達から「いつもと違う」「これじゃ川で遊べないね。」「流れが速いね」の声が聞かれ、いつもと違う姿の興津川に気づき、地元の川の水がきれいであることを確認する機会となった。

②地域の人との連携の中で、山からの恵みを五感で体験する活動

例年は、春は竹林へ出かけタケノコを見つけ、新茶の時期には地域の方が茶畑を提供してくれ先生となり丁寧な指導をしてくれる茶摘み体験を行い、地域の特産物を知る機会となっている。今年度は、新茶の時期が臨時休園・登園自粛と重なってしまい体験ができなかった。6月に入り地域の方に相談したところ「二番茶で良ければ‥」と茶葉を提供してくれ、手もみ茶作りの体験が出来た。例年は年長児全員で茶葉を手もみするが、今年度は感染予防の為各自が自分の茶葉を作るようにした。子ども達はお茶の香りに包まれながら、小さな手の中の茶葉を感じ、両手を緑色に染めて細かい茶葉を完成させていった。お茶を入れるとそれぞれにお茶の色が違うことに気がつきそれぞれのお茶を味わった。自分で手もみした新茶の味わいは格別のよう。「おいしい」「あまいね」「両河内のお茶は日本一だけど、このお茶の方が一番かも」と言って笑顔をみせていた。自分達が味わうだけでなく、家庭に持ち帰り自分達の作ったお茶を家族にご馳走する機会を設けると、「おいしいねって言われた!」と、得意そうな表情で報告にくる子ども達であった。「両河内のお茶」を作り、味わい、飲んでいただくことで、「両河内」に対する誇りが感じられ、この地域で育つことへの誇りにつながっていると感じている。

 

 

 

来年度の活動計画

両河内地区は、古くは興津川の豊富な流量を利用した木材の筏流しが行われ、特に本園の位置する和田島地区は、製材業や製紙業が盛んな地区であった。また、主要産物としてお茶・タケノコなどの栽培が盛んであったが、農家の働き手の高齢化や後継者不足が進み、現在では放置された竹林や茶畑なども目立ってきている。山の整備に携わる人が少ない為、山が荒れ、水源涵養林としての役割を果たすことが難しくなってきている現状がある。興津川の美しい水と豊かな自然の恩恵を体感することやここで遊んだこと生活したことが楽しいという体験の積み重ねを通してこの地域を大切にしていく、教育保育を実践していくことが、その恵みをもたらす「緑のダム」としての森林の機能を認識し、これから地域の自然を守る事とその維持に自ら行動できる人材育成につながると考え、

①園外保育に係る活動

②地域の人との連携の中で、五感で体験する活動

以上を柱に活動していきたい。