2018年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

環境

 本園は「心豊かでたくましい両河内の子」を教育保育目標とし、ESDを「興津川の美しい水と『緑のダム』としての森林に親しむ保育」の推進と捉え、ESDの実践を通して地域への愛着の醸成と自然の中でたくましく生きる力の育成を目標とした。

具体的には、地域の自然に触れる、地域の特産物による食やの体験をする、興津川の美しい水を守る大切さを知ることを柱に、

①園外保育に係わる活動②食体験に係わる活動③リサイクルに係わる活動を行った。

①園外保育に係わる活動

 今年度は、園外保育に出掛ける機会を多く計画し、地域の自然、地域の方と触れ合う体験を増やした。春は緑が美しい茶畑で茶摘み体験、初夏は桑の実摘み、秋は小中学校・自然の家・近くの山々等に出掛け、木の実、木の葉等に触れ、どこにどんな植物があるのか確認する等、自然の変化を感じながら園外保育を楽しんだ。少人数の自園は、全園児一緒に園外保育に出掛けることが多く、クラスの枠を超えた異年齢の関わりがより深まった。持ち帰った自然物を使って制作やお店ごっこをする等、子ども達の遊びが継続し深まっていった。

今年は大きな台風の被害の被害があり、いつも歩く山道に竹が倒れている等、園外保育中に自然災害の現場に遭遇することがあった。自然に恵まれ四季折々の景色を楽しみことができる地域であるが、子ども達は自然災害の恐ろしさを目の当たりにして自分の家の近くにも倒木があることや、風が強かったこと、停電になったこと等、自分の体験と照らし合わせて子どもなりに感じる機会となった。また、5月に園の近くの山に砂防ダムえん堤の建設が始まり、土木事務所主催の砂防ダムの出前講座を受けたことも地域の自然を守ることへの興味や関心が高まったと考えられる。

②食体験に係わる活動

今年度も以前から継続して行なっている地域の特産物による食体験を行った。タケノコ、茶、桑の実などがある。タケノコの事例では、年長児が保護者からいただいた皮付きの茹でたタケノコの皮を剥ぎ、鰹節で出汁をとりタケノコの味噌汁を作って味わった。タケノコの皮を剥ぎ、「こんなにたくさん皮があった」と一枚づつ並べながら楽しんだ。その後、園外保育に出掛けると、竹林の山を眺める姿に竹に関心が高まったことを実感した。

③リサイクルに係わる活動

9月、NPO法人の環境講座を受けた。子ども達は講座に登場する「ゴミおじさん」や「ごみラー」のキャラクターに親しみを感じながら自然に「リサイクル」への関心が高まった。最後に模擬分別を体験し、今までゴミだと思っていたものが大事な資源であることに気づくことができたのではないかと思う。自園では、PTA活動として隔月で「古紙回収」を行っているが、今までは子ども達自身の参加は少なかった。現在は毎日の保育の中で使い終わった紙の切れ端をリサイクルの箱に入れることを実践している。次回の古紙回収では子ども達が進んで参加できるよう家庭への呼びかけを工夫し実施したいと計画している。

初夏から夏の終わりにかけて「「オタマジャクシ」との出会いがあった。保護者より、「茶畑に間違って産んだのか、カエルの卵があった。」と持ってきてくれたことから、オタマジャクシの飼育が始まった。産まれてきたオタマジャクシを観察し、水替えなどの世話をする中で、オタマジャクシが棲む水はきれいな水でなければならないと気づく場面があった。みんながリサイクルをしたり、資源を大切にしたりすることは、川をきれいにすることや森林を守ることにつながっているということを伝えていきたいと考えている。

来年度の活動計画

平成29,30年度は地域での園外保育体験と地域の特産物を使った食体験を積み重ねて活動してきた。平成31年度は自園のESDテーマ「興津川の美しい水と『緑のダム』としての森林に親しむ保育」に立ち戻る。両河内地区は、古くは興津川の豊富な流量を利用し木材の筏流しが行われ製材業や製紙産業が盛んな地域であったが、現在では人口が減り放置された竹林茶畑などが目立ち、崩れが多数発生し水源涵養林としての役割を果たすことが難しくなっていることを踏まえ、

①園外保育で森林に親しむ体験を重ねる。森林に詳しい地域の方の話を聞く機会を持つ。

②興津川で遊ぶ体験をする。興津川に棲む生物に触れる。

③資源を大切にすることを学ぶ。毎日の生活の中で子ども主体のリサイクル活動をする。

以上を柱に活動していきたい。