2022年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

減災・防災, 環境

本園は「心豊かでたくましい両河内の子」を教育保育目標とし、
ESDを「興津川の美しい水と『緑のダム』としての森林に親しむ保育」の推進と捉え、
ESDの実践を通して地域への愛着の醸成と自然の中でたくましく生きる力の育成を目標とした。

今年度は、新型コロナウイルス感染症の予防と感染に配慮しながら十分な活動ができないその中でもできる事を考え、
子ども達と共に可能な活動を熟慮し、

「地域の自然に触れる」
「人に関わる」
「地域の特産物による食や遊びの体験をする」
「興津川の美しい水を守る大切さを知る」

ことを柱に、

①川遊びや水棲生物との触れ合いを通して、興津川に親しむ活動
②地域の人との連携・小中学校の中で、山からの恵みを五感で体験する活動

を行った。
また、9月に発生した台風15号による甚大な被害の中、停電・断水経験・他園をうけいれての教育保育の実施等を行った。

① 川遊びや水棲生物との触れ合いを通して、 興津川に親しむ活動
猛暑ため、自園から川へ行くまでに熱中症を心配する。 それでも気を付けて河川敷に出掛ける。
春秋は日の光を反射しキラキラ光る川面に目を向けながら草花や虫を見つけ、夏は川辺でオタマジャクシ等の水棲生物を見つけ楽しんだ。
川の中に足を入れ遊ぶ中で流れがあること、 水の冷たさ、気持ち良さを体感した。
今年度は大雨や土砂災害等の関係で、清流興津川も茶色く濁っている日が多く見られた。
園外保育で橋から川を見て、子ども達から「いつもと違う」 「これじゃ川で遊べないね。」「流れが速いね」 の声が聞かれ、
いつもと違う姿の興津川に気づき、地元の川の水がきれいであることを確認する機会となった。
台風の傷跡は未だ残っており土砂で崩れた箇所の工事が痛々しい。

② 地域の人との連携の中で、山からの恵みを五感で体験する活動
○春は竹林へ出かけタケノコを見つけ手にした。 ままごと等、 各自イメージしたごっこ遊びを楽しむ
○新茶の時期には地域の方が茶畑を提供してくれ先生となり丁寧な指導をしてくれる
茶摘み体験を行い、地域の特産物を知る機会となっている。今年度は、5月に茶摘み年長児全員で茶葉を手もみ体験をする。
子ども達はお茶の香りに包まれながら、小さな手の中の茶葉を感じ、 両手を緑色に染めて細かい茶葉を完成させていった。
お茶を入れるとそれぞれにお茶の色が違うことに気がつきそれぞれのお茶を味わった。自分で手もみした新茶の味わいは格別のよう。
「おいしい」「あまいね」「両河内のお茶は日本一だけど、このお茶の方が一番かも」と言って笑顔をみせていた。
自分達が味わうだけでなく、家庭に持ち帰り自分達の作ったお茶を家族にご馳走する機会を設けると、
「おいしいねって言われた!」と、得意そうな表情で報告にくる子ども達であった。
「両河内のお茶」を作り、味わい、飲んでいただくことで、「両河内」 に対する誇りが感じられ、
この地域で育つことへの誇りにつながっていると感じている。
後日、園児が収穫した茶葉を製茶したものをいただき、 全園児に配布し家庭でも味わう。

来年度の活動計画

両河内地区は、古くは興津川の豊富な流量を利用した木材の筏流しが行われ、
特に本園の位置する和田島地区は、製材業や製紙業が盛んな地区であった。

また、 主要産物としてお茶・タケノコなどの栽培が盛んであったが、
農家の働き手の高齢化や後継者不足が進み、現在では放置された竹林や茶畑なども目立ってきている。

山の整備に携わる人が少ない為、山が荒れ、水源涵養林としての役割を果たすことが難しくなってきている現状がある。

興津川の美しい水と豊かな自然の恩恵を体感することやここで遊んだこと生活したことが楽しいという
体験の積み重ねを通してこの地域を大切にしていく、教育保育を実践していくことが、
その恵みをもたらす 「緑のダム」としての森林の機能を認識し、これから地域の自然を守る事とその維持に自ら行動できる人材育成につながると考える。

近隣の小中一貫校とも交流を深め 『郷土を愛する子』 育成を掲げ教育保育を進めていく。