2021年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

環境, グローバル・シチズンシップ教育(GCED)

本園は「心豊かでたくましい両河内の子」を教育保育目標とし、ESDを「興津川の美しい水と『緑のダム』としての森林に親しむ保育」の推進と捉え、ESDの実践を通して地域への愛着の醸成と自然の中でたくましく生きる力の育成を目標とした。今年度もコロナ禍で保育内容を変更しなければならない状況ではあったものの「何ができるのか」「どうしたらできるのか」を考え、子ども達と共にできる活動を熟慮し、地域の自然・人に触れる、地域の特産物による食や遊びの体験をすることを柱に、①園外保育に係る活動 ②地域の人との連携の中で五感で体験する活動、を行った

①園外保育に係る活動

春は竹林へ出かけると地域の特産物のタケノコを見つけ、山へ出かけると茶畑の茶葉の緑色を目にし、河川敷では草花や虫を見つけ手に取り楽しんだ。また、繰り返し竹林へ出かけることで、掘られずに大きくなったタケノコや掘られていても出荷されずに置かれたままのタケノコに出会うことがある。その姿を見て、「どうしてだろう」「なぜだろう」という気持ち(放置竹林への気づき)をもつきっかけとなっている。夏は川辺に行き、水の中に足を入れ水の掛け合いを楽しんだり、川の流れに逆らい歩いたりする中で川の流れの速さや水の冷たさ、気持ちよさを体感し、オタマジャクシや魚を見つけることで川の水が澄んでいることを目の当たりにする。また、清流興津川は毎年アユ釣りが盛んに行われ、全国から釣り人が川の流れに竿を投げ込んでいる。子ども達はその姿を真似て、自作の釣竿を持って「魚を釣るぞ!」と勇んで出かけたが釣れず悔しい思いをした。どうして釣れないのかを考え、釣り竿の改良をし再挑戦をしに川へ出かけて行った。秋は山へ出かけ栗の実を拾ったり栗のイガに触れたりし、山の高いところからキラキラ光る興津川や自然豊かな地域を目にする等、四季を通して地域に親しむことができた。

②地域の人との連携の中で五感で体験する活動

新茶の時期には地域のお茶農家の方が茶畑を提供してくれ、先生となり丁寧な指導をしてくれる茶摘み体験を行い、地域の特産物に触れる機会となっている。今年度も感染予防をしながら各自が手もみをし、自分の茶葉を作ることとした。子ども達はお茶の香りに包まれながら、小さな手の中の茶葉を感じ両手を緑色に染めて、細かい茶葉を完成させていった。その後「両河内のお茶を作るんだ」と、草花を使った色水遊びが始まり、お茶屋さんごっこに発展した。お茶摘み・手もみ茶作りが遊びにつながり、地域への愛着の芽生えとなっている。地域の方のご厚意でタケノコを頂き、園で皮を剥いたりスタンプ遊びをしたりした。タケノコの皮が何枚もあることや毛が生えてチクチクした感触、皮を剥いた時の香りを感じることができた。地域の中で見つけた素材での食体験と遊び、興津川の自然の恵みを感じながらの遊び、そして、地域の人とのかかわりの中で両河内(地域)への愛情が育まれていく。

今年度は新たな試みとして、静岡市沼上循環学習プラザより博士を招き、毎日飲んでいるお茶の茶殻と竹粉を使用した堆肥作りに挑戦した。子ども達は捨ててしまう茶殻と身近な竹で堆肥ができることに驚いていた。この活動を今後の保育活動へつなげ、地域へ発信ができるような活動にしていきたいと思う。

来年度の活動計画

両河内地区は、古くは興津川の豊富な流量を利用した木材の筏流しが行われ、特に本園の位置する和田島地区は製材業や製紙業が盛んな地区であった。また、主要産物としてお茶、タケノコなどの栽培が盛んであったが、農家の働き手の高齢化や後継者不足が進み、現在では放置された竹林や茶畑なども目立ってきている。山の整備に携わる人が少ないため、山が荒れ水源涵養林としての役割を果たすことが難しくなってきている現状がある。興津川の美しい水と豊かな自然の恩恵を体感することやここで遊んだこと生活したことが楽しいという体験の積み重ねを通して。この地域を大切にしていく教育保育を実践していくことがその恵みをもたらす「緑のダム」としての森林の機能を認識し、これから地域の自然を守ることとその維持に自ら行動できる人材育成につながると考え、①園外保育を通し興津川に親しむ保育 ②地域の人や物とのかかわりの中で五感を使った体験をする活動 以上を柱に活動していきたい。