2019年度活動報告

本年度の活動内容

活動分野

海洋, 環境, 世界遺産・地域の文化財等, 持続可能な生産と消費

当校は、「内外海の素晴らしい自然や伝統を未来につなごう」を活動テーマに、全体を通して、総合的な学習の時間(ふるさと学習を含む)とESDのファクターである体験・探究・発信・交流を位置付けた計画、実践を行ってきた。実践を通して、「本地域の海の豊かさ(自然環境)」と「人との関わりやつながり(社会環境)」を実感し、「ふるさと内外海」が水産業や観光を中心に今後も持続可能な地域社会として発展していくことができるように、自らの生き方を見つめることのできる力の育成を図った。

具体的には、地域の自然環境、伝統文化、産業を柱に、いくつかの活動分野を横断的に取り入れながら活動を行った。

① 地域の伝統文化、文化遺産・食育に係わる活動

 6年生はまず「人とのつながり」と「社会とのつながり」の面で、なれずし作りに取り組んだ。食の世界遺産に認定された田烏区に伝わる鯖のなれずし作りを田烏の森下氏に教わった。森下氏の伝統を後世に残したいという熱い思いに感銘を受け、積極的になれずし作りに取り組んだ。初めて鯖を捌く児童がほとんどであったが、丁寧な指導のもと、手際良く作業できるようになった。

また、県立大学の教授に、発酵食品について講義していただいた。へしこやなれずしの効能や、なぜ内外海地区で作られるようになったのかという背景を学習することができた。伝統的な作業だけでなく、科学的な視点からも、なれずしの良さや地域の素晴らしさに気づくことができた。

② 地域の伝統文化、文化遺産・食育に係わる活動

さらに6年生は、京都へつながる海の幸が内外海地区から始まっていることに誇りを持つために鯖街道を実際に歩く活動を行った。京都までは最短距離である針畑峠越えの約72kmの行程を歩いた。日程や児童の体力面を考えて、全体を3回に分けて実施した。

まず、起点であるいづみ町に行き、鯖街道資料館で鯖街道の歴史を学習した。そこからは徒歩で上根来地区を目指し、第一弾ゴールの登山口まで到着した。第二弾は、上根来から京都久多まで約27kmを踏破し、第三弾は久多から京都鞍馬街道までの約17kmを徒歩で、最後は鯖街道終点の出町柳桝形商店街までバスで移動し、商店街の方に出迎えてもらった。自分の足で歩くことで先人の苦労や知恵を、実感を伴って理解することができた。

③ 環境・持続可能な生産と消費に係る活動

 6年生は4年生の時から「海と山のつながり」を軸に、地域の山での鳥獣被害の調査や植生の観察、山の栄養が海に流れることで得られている水産資源について学んできた。ワカメの養殖体験、関連施設見学等の体験的活動から、海の環境を守るためには山の環境を守らなければならないと知り、植樹を行った。

 また、5年生は定置網漁体験を行った。定置網漁に携わる方にマイクロプラスチックの話を聞き、環境保護について考えを深めることができた。今後、マイクロプラスチックを減らしていくためには何ができるのかを考えていく。

多角的に地域の環境を学ぶことができた。活動を通して、地域の人への啓発を行い、自分たちにできることはなにかを考えることができた。

来年度の活動計画

 新学習指導要領実施に伴い、カリキュラムマネジメントを行う。体験活動の計画的な実施を図るために、4~5月にESDカレンダーの作成を行い、年間の活動の見通しを持つ。また、児童につけたい資質・能力について計画の中に記述する。

活動内容については、これまでの学習を継続し、地域の水産業の体験や伝統文化の継承を行う。具体的には、鯖、わかめ等の養殖についての学習、なれずし作り、鯖街道踏破等を実施する。学習成果は、学習発表会で他学年や保護者、地域の方々に報告する。